学校特集
佼成学園女子中学高等学校2017
掲載日:2017年10月5日(木)
京王線「千歳烏山駅」から徒歩6分。閑静な住宅地にある佼成学園女子は、「英語の佼成」として知られており、中学時代にしっかりとした土台を固め、高校で花開かせる教育に定評があります。中学生はゼロベースから英語をはじめても、卒業時までにほぼ全員が英検3級以上を取得しています。
部活動や行事などを通して先輩に刺激を受けながら、それぞれが個性を伸ばし、自信を育むことができる環境のため、高校からの『特進文理コース』(海外や国内の難関大学進学をめざす)、『特進留学コース』(1年間のニュージーランド留学が必須)、『進学コース』(部活動と勉強の両立をめざす)では、どのコースでも中高一貫生が活躍しています。
「ネイティブの教員が学校生活の中にとけ込み、生徒は日本人教員と同じように、心の壁をつくることなく接しています。英語でコミュニケーションする力を身につけ、高校ではその力をどのように活かすべきかを学べる。『グローバルの佼成』と言われるような学校に進化させていきたい」と語る新校長の宍戸崇哲先生に、佼成学園女子の特色や強みを伺いました。
中学時代に培う基礎力があってこそ高校で花開く
宍戸校長:本校は英語教育に力を入れていますが中学生はゼロベースからでも、卒業時にはほぼ全員が英検3級以上を取得します。中学生のうちに英検である程度の級が取れると自信になります。すると高校に進学してから他の教科に集中して勉強ができます。言うまでもなく、大学入試においても非常に有利ですし、2020大学入試改革にも余裕をもって臨めます。
また本校では中学時代に英検、漢検、数検で揃って3級を取る、「トリプル3」の取得を推奨しています。この目標を達成することができれば、目標に特化した高校の学びの中で、大きく伸びる力になることは間違いありません。中でも数学は、アクティブラーニングを取り入れ、生徒の考えを引き出しながら学ぶといった、女子にフィットした数学指導を始めたところです。英語、数学ともに習熟度別の少人数クラスできめ細やかな指導を行っていますので、こちらの成果にも期待しています」
今春は難関国公立大学に11名、早慶上智には22名が合格。一貫生も特進留学コースで学んだ生徒が東京外国語大学に、特進文理コースで学んだ生徒が国立看護大学校に合格するなど、国立大学をはじめ、早慶上智にも多数の合格者を輩出しています。
宍戸校長:今年、早稲田大学国際教養学部に入学した生徒は、中3で英検2級を取り、高校は特進留学コースで学びました。ニュージーランド長期留学(高1の1月〜高2の12月)から帰ると準1級を取得しました。
本校では、放課後、中学生に勉強を教えるチューターを卒業生にお願いしています。その卒業生も早稲田のウインドサーフィン部で活動するかたわら、チューターを務めてくれており、生徒にとっては憧れの先輩の一人です。
高校生の活動に触れる機会も多く、中学生は先輩の姿から刺激を受けたり目標を見つけたりしています。「来年は私たちの番」「あの先輩のようになりたい」など、生徒自身が自ら感じ取った思いは、自ら学ぶ力につながっています。人数では高校から入学する生徒のほうが多いですが、中高一貫生がこの学校の中心であることは間違いありません。
ある意味、グローバルリーダーであると感じています。
「英語の佼成」から「グローバルの佼成」へ
「ヤングアメリカンズ」に刺激を受ける中学生たち!
宍戸校長:高校がスーパーグローバルハイスクール(SGH)校なので、中学もその影響を受けています。例えば、高1が取り組む『ヤングアメリカンズ』という催しでは、アメリカ人50名を招いて、3日間、アウトリーチという形で歌やダンスを教えてもらいます。その結果、日頃おとなしくて、人前ではなかなか心を開けなかった生徒たちが、3日後には、みんなの前で歌やダンスを披露できるようになります。中学生は、客席で先輩たちの取り組みを観て、「私たちも早くやりたい」という思いを抱きます。その思いが行動力につながり、中学生は小規模の集団ながらも、本校の核となってくれる生徒に育ってくれています。
なぜ、佼成学園女子は英検に強いのか。
宍戸校長:今年度は、高3で英検1級が4名、準1級は約40名います。中には入学当初から英語力に優れていた生徒もいますが、多くはゼロベースから始めた生徒たちです。中高一貫校の強みは、中学で一生懸命勉強に取り組んだ子ほど大きな成長が見られるなど、日々の教育の中で実感したことを、次の入学生に活かしていけることだと思います。英検も、これまでに多くの生徒がチャレンジし、毎年、教員が工夫をしながら、ノウハウを身につけてきたことが大きく、本校の教育の柱として定着しています。
宍戸校長:佼成学園女子では、毎年6月と10月に『英検まつり』(英検受験2週間前からスタート)を実施しています。中1から高3まで、すべてのクラスが参加し、放課後の級別『英検対策講座』に取り組むだけでなく、毎朝、どれだけ英単語、英熟語を覚えたかを競う『英単チャレンジ』にも挑みます。この『英検まつり』を担当しているのは英語科の教員だけではなく、全教科の教職員がこれに関わります。当然のことながら、生徒は自然と巻き込まれて『英検まつり』を楽しみます。クラス対抗で競い合うため、体育祭と同じような感覚でクラスが団結し、よい刺激を受け合いながら合格者数を伸ばしています。
宍戸校長:高校に、英語に熱心なクラスがあることも生徒を引っ張る要因になっています。例えば『特進留学コース』の生徒は、約1年間、ニュージーランドにホームステイをして提携校に通います。ニュージーランドで生きるためには英語力が必要なので、留学前に英検2級をめざします。その子たちの「絶対に合格する」という高いモチベーションが、他のクラスにも波及するのです。先生にお尻を叩かれてやるのではなく、生徒自ら『負けていられない』という気持ちをもって頑張る。それも英検に強い理由の一つです。
宍戸先生:本校には6名のネイティブ教員がいます。その内、2名は専任で、日本人の教員と区別なく、教材づくりや学校生活の運営にも関わっています。そのため生徒たちは、英語の授業時間はもちろん、ランチタイムや放課後、あるいは学校行事などでもネイティブの教員と触れ合い、英語で会話をする機会があります。
また、中学の音楽・美術の授業は英語で行っています。専任のネイティブの1人が音楽の教員なので、自然な形でイマージョン教育(中学3年間/音楽・美術/ティームティーチング)に取り組んでいます。合唱コンクールでは、中学生は英語の課題曲に取り組みます。その指導、指揮をするのもネイティブの教員です。
また1級、準1級を受験する生徒たちの対策として、インタビュー練習をネイティブの教員が担当します。このように、生の英語に触れる機会が非常に多いため、生徒たちは4技能をバランスよく学ぶことができていると思います。そのため、本校の生徒たちは外国人と相対しても、決して物怖じしません。
海外研修も充実。中学時代から目標を作ることが可能
宍戸校長:英語は、身につけただけでは宝の持ち腐れです。社会や生活の中でどのように役立てるかも学ばなければいけません。高校では、それぞれの個性や目標に合わせて選べる3つのコースを設けています。どのコースに進んでも、グローバルな資質を養えるよう、さまざまな海外研修プログラムを用意しているのが本校の特色です。
例えば、特別文理コースのSG(スーパーグローバル)クラスでは、タイでフィールドワーク(高2/約20日間)を行い、翌年にはロンドン大学(SOAS校)で英文のエッセイの指導を受けます(高3/約40日間)。特進留学コースでは、約1年間のニュージーランド長期留学を行います。留学コースの生徒は、帰国後、全員がセファール※でB2レベルを取得しています。そういう高校生の姿を間近で見ているため、中学生も海外研修に積極的です。中学生の修学旅行(中3/6泊7日)はニュージーランドですが、さらに力をつけたいとニュージーランド中期留学(中3/約2ヶ月)を希望する生徒も大勢います。「私も先輩のようにB2レベルを取りたい。さらにその上を目指したい」という気持ちが、原動力になっているのです。
欧州を中心に広く活用されている語学力のレベルを示す国際 標準規格。
A0からC2までの7段階が設定されている。
宍戸校長:『進学コース』『特進文理コース』には、高1でスリランカに行くプログラム(日本スリランカ青少年交流/希望者制/約8日間)があります。スリランカは2007年まで内戦状態にありました。その原因は異宗教の対立にあります。3つの宗教は言語も異なるため、それまで異宗教の子どもたちは、同じ国民でありながら話をしていませんでした。このプログラムは、そんなスリランカの子どもたちの中に中立の日本人が入り、コミュニケーションをとって調整することで、異宗教間のわだかまりを解くことを目的とした体験プログラムです。今、日本がアジアの中で果たさなければいけない役割を担うことで、参加した生徒は知らず知らずのうちに国際感覚や、グローバルリーダーとしての資質を身につけることができます。
本校の教育理念は、「国際社会で平和のために貢献できる人材の育成」です。そのために海外研修、あるいは日々の部活や行事を通して、さまざまな人間力を育んでいます。文化の違う人とともに、力を合わせて一つの目標を成し遂げようとする時に、それぞれの思いや考えが交錯するのは当たり前のこと。それを調整する力を、日々の行事や生活の中でしっかりと鍛えていくことにより、舞台が国際社会に変わっても、日本人としてのアイデンティティをしっかり持ちながら、調整役という立場に立って、正解がないと思われるようなことにも果敢に挑戦することができるようになるのではないでしょうか。
中高一貫生には、英語力を身につけることはもちろん、こうした教育理念に基づく人間力の養成を図っていきたいと考えていますので、ぜひご理解をいただき、多くの受験生に本校を受験していただきたいと考えています。
英語は道具にすぎません。ただ、切れ味の鋭い道具にしなければいけません。佼成学園女子は、それを鍛えた上で、武器(英語)を使い、自分の考えを発信できる、あるいは他人の考えを聞いた上で、自分の意見を発信できる教育を行っています。人間力、表現力、論理的思考力、そういう力を養うことにもっともっと力を注いでいきたいと思っています。また、有効な意見述べるためには、幅広いリベラルアーツ的な知識を身につけておくことが大切です。それらをブロックのように組み重ねていき、知識を知恵に変えられるような力を身につけさせることを目指しています。ぜひ一度本校に足をお運びいただき、雰囲気や教育の内容に触れてください。