学校特集
二松學舍大学附属柏中学校・高等学校2017
掲載日:2017年9月1日(金)
「新しい歴史を、ともにつくる」という、気構えをもって入学した中高一貫1期生が、それぞれの花を咲かせて、この春、卒業しました。東大に2名が合格。そのほか、国公立大学に4名、早慶上理レベルに10名、GMARCHレベルに54名(国公立、難関私大のべ70名)が現役合格を果たしました。卒業生が73名ですから、素晴らしい結果です。今回の取材では学年主任の森寿直先生に、1期生とともに歩んだ6年間を振り返っていただきました。
「自問自答」が、二松学舎柏の教育の原点
大学合格実績で素晴らしい成果が出た背景を教えてください。
森先生:中1の頃から考えると、「よく、ここまで伸びてくれた」という思いがあります。東大に合格した2名の生徒も、中学時代に難関大を狙える力はあると思っていましたが、正直東大に入れるとは思っていませんでした。
中間層の生徒は、上がる可能性もあれば、下がる可能性もあります。そういう意味では、やるべきことをきちんとやって、上がる可能性を引き出し、多くの生徒がGMARCHレベル(立命館・難関女子大を含む)に合格したことは、学校の取り組みの成果といえると思います。
森先生:本校の教育は「自問自答」が原点なので、たくさん課題を出したり、極端に難しい問題を与えたりするようなことはしていません。子どもたちが主体的に学ぶことを大切にしています。
中学校では「いろいろなものに興味をもつこと」「立ち止まって、深く考えること」、この2つの芽が育つように、日頃から種をまいています。芽が出る時期は子どもにより異なりますが、枝葉を広げていく姿に頼もしさを感じながら、大切に育てた結果、「東大に行きたい」という子を東大に、「美術大学に行きたい」という子を美術大学に、「GMARCHに行きたい」という子をGMARCHに導くことができました。
難関大学に合格した生徒さんの成績は、入学時から上位でしたか。
森先生:トップ層に関してはそうですね。東大文1に合格した生徒は、入学時から数学がよくできました。中3の時にはベネッセ全国模試の数学で100点を取るという目標を達成しました。上智大に合格した生徒は読書が好きで、国語の模試で満点を取るような生徒でした。彼らのような、勉強に対して前向きな子たちに影響を受けて、中間層の生徒たちが引き上げられたことが、今春の大学合格実績につながったと思っています。たとえば、授業中にいい質問をどんどんしてくれました。また私が「頭がよくなる論理クイズ」と題して、毎日、ホワイトボードに問題を掲示すると、生徒がそこに集まってきて「ああだ」「こうだ」と言いながら解いていくのですが、そういうものにも熱心に取り組んでくれました。「先生、できました」と、いち早く答えを持ってくるのは、東大理1に合格した生徒でした。今は藤井四段の影響もあり、将棋がブームとなっていますが、東大文1に合格した生徒とは、放課後によく将棋を指しました。生徒たちとの距離を縮められたことも非常に大きかったと思います。
学ぶことが楽しい生徒に引っ張られ、中間層の生徒が伸びた
1期生のクラス編成は?
森先生:1期生は、高校では2クラスでしたが、中学では3クラスでした。数学は習熟度別にしたほうが、効果が高いであろうと考えて、数学の成績で取り出したクラスを1クラス(C組)作りました。毎年、数学の成績によりクラス替えを行ったので、生徒は数学には特に力を入れていました。その結果、学部別の進学先を見ても理系学部へ進んだ生徒が多くいます。
私は2年間、C組の担任をしましたが、東大文Ⅰ、理Ⅰ、筑波大、上智大に進学した生徒は、このC組からスタートしています。おもしろいことに、数学ができた生徒が文系を志望し、国語ができた生徒が理系を志望するという逆転現象も起きました。「沼の教室」のような、問題解決型×教科横断型のプログラムを中1から取り組んだ結果、文理の壁を感じない生徒が多く育ってくれたと実感しています。
学校の近くにある手賀沼を題材に、環境や歴史を学習→問題を発見→問題を発表→仮説を立てて調査・話しあい→結論を導きます。1つのものを深く掘り下げることにより、授業をしているすべての教科がつながっていることを体験する、問題解決型+教科横断型のプログラム。ほかに「古都の教室」「都市の教室」などを行っています。
森先生:文理の壁を作らず、幅広い分野に興味を持った生徒が多く育った背景には、天声人語など、3社の新聞コラムを読み合わせるプログラムの影響も大きかったと思います。同じ題材でも否定的な書き方をしている新聞社があれば、保護している新聞社もあります。
読み比べを続けることで、いろいろな視点があることに気づき、自分なりの考えをもつ指針にもつながります。彼らは1つの事実に対して「人として正しい答え方」を中学生なりに考えていました。新聞コラムの話題を食卓で話したことをきっかけに、司法や政治に興味をもった生徒もいました。あえて「苦手な科目で勝負したい」とも言っていました。文理選択の段階(高1の終わり頃)で、自分がしっかり勉強すればなんでもできる、どんな職業にも就けると思えることは本当にすごいことだと思います。
森先生:中学校の「読書マラソン」も、大学合格実績が出て、効果を実感したことの1つです。3年間で42195ページ読むことを目標としていますが、上智大に進学した生徒は、1年間で4万ページを読破していました。いろいろな作家の「三国志」を読み、作家の書き方を指摘したり、「お前は孫権、お前は曹操」と、友だちと登場人物を重ね合わせたりしていました。読書量と学習の相関関係はわからないところもありますが、このクラスに関しては、読書量トップ5のうち4名が、難関大(東大・筑波大2名・上智大)に合格したことから考えると、読書が学習効果を高めていることは間違いないようです。
読書ノートを月に1度、提出させて、読書量をグラフにして掲示。誰が何ページ読んだかを公表したり、ホームルームの時間に、読んだ本の内容を教え合ったりもします。各クラスで工夫をし、読書が苦手な生徒も、友だちの言動に感化されながら、次第に本を読む習慣をつけていくプログラムです。
森先生:受験生の保護者の方が、本校に興味をもってくださる理由として、よく耳にするのが、「一人ひとりをきめ細かく見ている」と、いうことです。これは中学校を作った時から心がけてきたことであり、本校の特色とも言えると思います。たとえば、毎日提出する、自学自習用の「365ノート」のやりとりにより、担任は個々の生徒の学習意欲をチェックし、必要に応じてコメントを書き込みます。今はまた違った形での補習になっていますが、当時は毎朝の「モーニングレッスン」で行う数学などのテストでボーダーライン以下の生徒を放課後、必ず残して、満点を取るまでフォローしました。1期生については、「満点を取るまでやりきる」というスタンスで3年間取り組んだため、粘り強くやり抜く力が身についたと思います。数学の基礎力もついて、文系志望にもかかわらず、数学を使って受験をする生徒が数多く見られました。
自分で何を勉強するかを考えて、1日1ページ以上家庭学習として取り組むノート。毎日勉強する習慣をつけることを目的に行っています。
生徒一人ひとりに目を行き届かせて、全員を伸ばす
大学進学に向けて、取り組んだことを教えてください。
森先生:高校進学時に、一貫生は3クラスから2クラスになったので、これを機に成績によるクラス分けを行いました。「上のクラスに入りたい」という気持ちも、勉強に熱が入る要因です。また、生徒たちが「1期生として、これまでになかった結果を出す」という気持ちが強かったことも、入試に対する心構えが早くから備わった要因だと考えています。
主催する「サイエンスアゴラ」に訪問。
難関大学の受験対策はマンツーマンで行いました。中間層、あるいは下位層の生徒に対して、丁寧に指導をすることに力を入れる一方、上位層は個別指導で対応しました。授業中に難しい問題を配布することもありましたが、放課後や夏休みを使い、教員とマンツーマンで、志望校に合わせた補習や過去問対策を行ったことが力になったのではないかと思います。
私は、筑波大志望の生徒のうち、物理で受験する2名(一貫生1名、高入生1名)を担当しました。その生徒には、夏に筑波大が実施している理工学群物理学類の体験教室(高校生対象・講義や実験などを行う)に行かせました。そして筑波大のいろいろな学群、学類の過去問を入手し、物理の問題に取り組ませました。入手できた筑波大が過去に出している物理の問題を全てできるようになってから送り出したことも、2名とも合格を手にすることができた大きな要因ではないかと思います。
現在は、より生徒の可能性を引き出すために、アクティブに学ぶ「グローバルコース」、手厚い指導で進路を開拓する「特選コース」、学ぶ習慣が身につく「選抜コース」を設けて、生徒の主体的な学びを引き出している。
お話を伺っていると、すべてのことが生徒さんの栄養になっていますね。
森先生:実際は毎週、毎週、大変でした(笑)。遅くまで残って、学年団の先生方と、生徒1人ひとりの顔を思い浮かべながら、「来週はこうしよう」というような話し合いをしていたと思います。その時は苦労もありましたが、むしろそれがよかったのかなと、今は思います。生徒に合うタイミングで、生徒に合う指導が6年間できたのではないかと思います。
たとえば、どのようなことを話し合ったのですか。
森先生:次のモーニングレッスンでどう深めるか。総合学習の時間になにを学ばせるのか。それはいつも話し合っていました。毎週の土曜日3時間の組み立ては、教科書もなければ、前例もないので、生徒の状態を考えながら、道徳、論語、沼の教室、古都の教室などのプログラムを組み立てていきました。そういう意味では、生徒にフィットしているものを、一番いい状態で提供できた気がしています。
教育内容は、毎年発展している
森先生:東大に合格者が出たことで、どうしてもそこが注目されますが、私たちが力を入れていたのは中間層の生徒たち、あるいは下位層の生徒たちをどう伸ばすか、ということです。中央大の法学部に合格した生徒は、中学時代に1度もC組に入ったことがありませんでした。他の生徒たちも同じです。いつ、伸びるかは、一人ひとり異なります。丁寧にサポートすることが大切であり、その点では1期生たちは時間をかけて伸ばすことができたと思っています。
ニ松學舍は、一般的に「文系の学校」と思われがちですが、決してそんなことはありません。これからも生徒の希望に合わせて対応していきます。3期生(現高2)からは、「自問自答論文」にも取り組んでいます。現在の中3から大学入試制度が変わりますが、記述式の問題にも十分対応できる力をつけていると思います。現在、中学は3コース制となり、一人ひとりが希望する進路をかなえやすい環境を整えようと頑張っていますので、ぜひ一度、学校へ足をお運びいただき、生徒の様子をご覧になってください。
生徒一人ひとりが自分の興味を持った分野で問いを設定し(自問)、それに対しての結論を導く(自答)プログラムに中3が1年かけて取り組む。自分で問題を見つけて、調べて、解決するまでの道のりが「研究」であり、それを8000字程度の論文としてまとめて、発表する。
緑豊かな自然に囲まれたニ松學舍柏は施設・設備も充実。グランドは東京ドーム3個分の広さがあり、校舎は高台の立地を生かし、自然光を採り入れられるようにガラス面が多い設計となっています。
また2011年に完成した「新体育館」は走路コース170M、バレーコート6面ある驚きの広さ。体育の授業や実践練習を必要とする部活動を強力にアシストします。他にも日本の伝統を凝縮した茶道室や情報教育コンピュータールーム、英会話のLL教室まで、生徒の学園生活と環境に配慮されたキャンパスは必見です。
ニ松學舍柏までスクールバスは「柏ルート」「新柏ルート」「我孫子ルート」「北総ルート」の全部で4ルート。中でも「北総線ルート」は印旛日本医大駅、印西牧の原駅、千葉NT駅、小室駅の4駅に停車するなど、通学サポートは万全です。運賃は全てが無料。生徒を送り出す保護者にとってもうれしい情報と言えるのではないでしょうか。
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