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学校特集

自修館中等教育学校2024

グローバルマインドを育む次世代型学習法「CLIL」を導入
好奇心をとことん究める独自の探究授業「C-AIR」もバージョンアップ!

掲載日:2024年10月18日(金)

1999年の創立以来、中高完全一貫教育の下でカリキュラムの連続性を担保し、「探究」を主軸に「社会で生きる力」の育成に力を注いできた自修館。生徒の成長過程を丁寧に見守りながら、「自学(何を学び)・自修(何を身につけ)・実践(何を行うのか)」を追求する教育を多角的に展開してきました。そして、25年間の積み重ねを土台に、「進化と共存に向け、探究を通じて社会を動かす力」を育成する独自の探究プログラム「C-AIR」を構築。「探究」「グローバルマインドの育成」「EQ教育」を教育の3本柱に、社会の変化に合わせてますます進化する同校の学びについて、教頭の大藤行央先生と英語科主任の小野琴美先生にお話を伺いました。

時代の変化に合わせて、
自修館独自の探究授業「C-AIR」をバージョンアップ

■これからの時代に求められるのは、「社会に働きかけて実現していく力」

 同校では、「自学・自修・実践」できる生徒の育成のため、「探究」「グローバルマインドの育成」「EQ教育」を柱とした教育を実践しています。同校が考える「自学」とは学び続ける力であり、「自修」は考え抜く力、そして「実践」はチャレンジする力と位置づけています。学習指導要領の改訂に伴い、中高の必修カリキュラムとなった「探究」は、同校が創立以来、最も重要視してきた学びでした。

自修館_教頭の大藤行央先生
教頭の大藤行央先生

大藤教頭:「今でこそ多くの学校で『探究』を取り入れていますが、本校では、創立当初から『探究』活動を実践してきました。開始した25年前に比べて社会事情も大きく変化しています。『課題発見→思考→課題解決』というプロセスにおいて、これからの社会では周囲の人たちや地域と協働し、折り合いをつけながら解決方法を導き出す力がより求められていると感じています」

 社会情勢に合わせてバージョンアップしている独自の探究授業「C-AIR」とは、「Change and Coexistence-oriented Agents through Inquiry and Research」の頭文字をとったもので、6年間を通じて生徒の探究力を引き出し、伸ばしていくことを目的としています。
 私たちが暮らす社会と単につながりを持つだけでなく、社会に積極的に関わり、働きかけることを活動のベースとし、学年に応じて段階的に進めていきます。

「C-AIR」プログラムの概要

●1・2年生......経験型【「社会」の見方を知る】
 地元・伊勢原市の行政や神奈川県内の大学・研究機関と連携し、情報収集をしながら、ポスターやスライドでプレゼンテーションを行うグループ学習を実施。
●3・4年生......学術ゼミ型【「社会」とつながる】
 12の学術分野に分かれてゼミ活動を実施。各ゼミは2名の先生が担当。
●5年生......自律型【「社会」に働きかける】
 グループ・個人研究など研究スタイルや発表形態もテーマに合わせて自由に選び、個々人の資質や、それまで獲得した知識を活かして自律的な探究活動を実施。
●6年生......選択型【「社会」の今後を見通す】
 選択制授業。総合型選抜入試や学校推薦型入試も視野に入れ、自由課題で探究活を行う。


 社会で何が起きていて、この先どうなるのか。そして、自分には何ができるのか。
「C-AIR」では、自分が興味・関心を持てるテーマを入り口に、社会と向き合うプロセスを段階的に学んでいきます。1・2年生はグループ活動の中で探究活動のサイクルを習得するとともに、社会に対する自分なりの視点を養っていきます。3・4年生では、探究テーマは「自分らしい社会とのつながり」を考えることを重視し、外部の施設や企業への取材も積極的に行っていきます。

■「探究ゼミ」では、生徒が自ら探してきたスタートアップ企業を取材

自修館_2年生の行事「大山宿坊体験」にて
2年生の行事「大山宿坊体験」にて

「探究ゼミ」は、各先生が自身の専門に合った内容を担当しています。物理の先生である大藤教頭は、自身のゼミで4年生の男子2人を引率して、ロケットを使った物流システムの実現を目指している会社に取材に行きました。「将来宇宙輸送システム株式会社」という名称のその会社は、生徒が自ら探し出してきたところ。2拠点の物流を鉄道やトラックではなく、ロケットで輸送するというスケールの大きな次世代産業に取り組んでいます。

自修館_3年生の「関西フィールドワーク」にて
3年生の「関西フィールドワーク」にて

大藤教頭:「日本橋にある小さなスタートアップ企業ですが、宇宙間輸送という壮大なプロジェクトの事業化を目指しています。その会社を見つけてきた生徒はもともと宇宙や高速輸送に興味があり、もう一人は火星の移住や宇宙への関心が高い生徒でした。生徒たちも熱心に質問をしていましたが、会社の方もとても喜んでくださって、30分程度の取材予定が結局1時間半ぐらいになるまで盛り上がり、本当にいろいろなことを教えてくださいました」

 湧き上がる好奇心から次々と質問を繰り出す生徒たちと、まるで子どものようにキラキラと目を輝かせながら質問に答える大人たち。世代を超えて、宇宙間輸送という夢のストーリーを嬉々として話している様子が目に浮かぶようです。

■食品衛生管理資格を取得して、カフェ作りのワークショップを提案

 5年生になると、グループ・個人研究と生徒自身が研究スタイルを自由に選択し、それまでに培ってきた探究スキルを使って、1年間をかけて成果を形にしていきます。

大藤教頭:「社会とつながる取り組みも、単に取材して何かを教えてもらうという受け身のスタイルではなく、社会に働きかけて自ら実践する取り組みとして、今年から地元のショッピングモール『ららぽーと湘南平塚』と連携して、生徒の企画立案によるワークショップを行いました」

 これは、「ららぽーと湘南平塚」の一角を使って、一般のお客様を相手に生徒たちがワークショップを実施するというもので、生徒たちがプレゼンした5件中3件のプログラムが採用されました。

自修館ワークショップ「DAY@ららぽーと湘南平塚」

 5年生の探究活動の一環で、9月7日に実施されたワークショップは以下になります。

☆世界に1つの海のキーホルダー作り〜SDGsを学ぼう〜☆(無料)
 SDGs14の「海の豊かさを守ろう」を学んで、レジン(透明感のある樹脂)で海のキーホルダーを作る。
☆ミサンガで学ぼう! フェアトレード☆(無料)
 人にも環境にもやさしいフェアトレードの糸(オーガニックコットン)を使用したミサンガ作り。
☆体にやさしいパフェを作ろう!☆(参加費500円)
「ららぽーと湘南平塚」で扱っている食品素材を使って、低カロリーで栄養抜群のパフェ作りに挑戦。


自修館_日々の学校生活の中で、生徒たちは「自学・自修・実践」を体得していく
日々の学校生活の中で、生徒たちは「自学・自修・実践」を体得していく

「体にやさしいパフェを作ろう!」は、食べ物を扱う企画のためもともとハードルが高く、当然のことながら企業側の審査も厳しくなります。しかし、企画を提案した生徒は事前に食品衛生管理者の資格まで取得し、その熱意と努力が評価されて採用に至りました。

大藤教頭:「不採用になった2件も、生徒の熱意は十分に評価していただきました。企業側が考える判断基準(「安全・安心」「社会的意義」など)をクリアすることはできませんでしたが、一つのワークショップを実行に移していくまでに、実社会ではさまざまなハードルがあることを身をもって知ることができたのは、とても貴重で、将来の糧になる経験だったと思います」

「C-AIR」は、生徒が自らの好奇心を極める過程で、社会の仕組みや流れを予測し、さらには自分に何ができるのかを考えるプログラムです。探究活動で得た学びをどう社会に役立てるか、どのように行動できるかと、「社会に向き合う姿勢」と「課題解決能力」を培っていくのです。
 また、5年生の探究活動は、テーマも発表形態も自由。自分で見つけた探究課題を究める生徒もいます。

大藤教頭:「4年生まで宇宙に関する探究をしていた生徒は、たまたま友達と昆虫スナックを食べたことがきっかけに、5年生になってからは昆虫食の探究を始めました。専門家に取材したり、昆虫食を扱っているお店の方にインタビューしたり。そのように、いろいろなことに興味の幅を広げていけるのも、本校の探究の良さだと思っています」

 テーマが自由だからこそ、好奇心や探究心の赴くまま、とことん課題に取り組み、生徒たちは視野を広げていきます。そして、「思考力・判断力・表現力」を磨き、コミュニケーション力や協働力など「社会に生きる力」を身につけていくのです。

EQ(こころの知能指数)教育で自分を知り、自己肯定感を育む

■各学期に「EQ診断」をしてこころの特徴をグラフ化

 同校では、教育の柱の一つである「EQ教育」に基づいて、1〜3年生で週に1回「SS(セルフサイエンス)」という授業を行っています。「EQ(Emotional Intelligent Quotient)」とは、心の知能・感情知性と呼ばれるもの。1990年にアメリカの心理学者が提唱した理論で、「人と仲良く付き合っていくには相手の感情を読み取り、自分の感情をうまく表現する能力が必要」という考え方に基づくものです。これからの時代に求められるのは、IQ(知能指数)ではなく、EQ(こころの知能指数)が高い人材とも言われます。

 同校では各学期に「EQ診断」を実施して、こころの特徴をグラフ化。自分の行動の特徴や強み・弱みを可視化して、自分に合ったコミュニケーション方法を知り、セルフコントロールする手立てを学んでいきます。

大藤教頭:「本校は、面倒見が良い、生徒に寄り添った教育を行う学校と言われてきましたが、本校の『自学・自習・実践』の精神は、最適解を探す中で、周りと折り合いをつけながら前に進むことができる生徒の育成だと考えています。そこで、単に与えられたものをきちんと『自主的』にやっていくのも大事なことですが、必要な学びを自ら考え、より『主体的』に学びに取り組んでいく力をつけるカリキュラム作りを意識しています」

自修館_英語科主任の小野琴美先生
英語科主任の小野琴美先生

小野先生:「3年生の『SS』の授業で、自主的な学びと主体的な学びの違いについて説明したことがあります。例えば、夏休みの宿題を期限までに毎日2ページずつやると決めるのは自主的な学び。テストで100点を取ろうと決めて、そのために何をすべきか自分で考えるのが主体的な学びだと。『勉強に限らずどんなことをするにしても、自分で判断して決めていくことが大切』というような説明をしたところ、『決めてもらった方がラク』と言っていた生徒もいましたが(笑)、これから学び進める中で、気づいていくことを期待しています」

グローバルマインドを培う「CLIL」を導入

■実生活に即した話題を英語で学ぶ「CLIL」がスタート

 実践的な英語力をアップさせること。そして、グローバルマインドを培うこと。この2つの目的を達成するため、同校では生徒の発達段階に応じて「多様な価値観を受け入れ、世界の仲間と共同して共通課題に取り組んでいける」グローバルマインドを育成しています。
「英語を話す=ネイティブ並みの流暢な英語を話す」という固定観念が強い日本では、6年間英語を学んでいても、「英語を話せる」と言える生徒は多くありません。英語を話せる素地はあるのに、それではもったいないという発想が「CLIL」導入の根底にあったそうです。

 そこで、全学年で実施している「AE(Active English)」(1クラスを2分割)に加えて、今年度から、3〜5年生の英語の授業で「CLIL(クリル)」をスタート。次世代型学習法と呼ばれるCLIL(Content and Language Integrated Learning) は、英語(多言語)を使って時事問題や数学、音楽などの他教科を学ぶ学習法です。CLILでは学期ごとに学びのテーマを設定。スタートアップの今1学期のテーマは、3年生が『グローバルカルチャー』、4年生が『海洋プラスティクス』、5年生は『エコツーリズム』でした。

小野先生:「例えば『フード・ウェイスト(食品ロス)』の英文資料を使いながら、消費期限と賞味期限の違いを英語で説明してみるといったように、英語学習を目的として実生活に即した話題を学んでいきます。ブロークンでいいので、英語をコミュニケーションツールとして前向きに取り組んでいける生徒を育てたいと考えています。スタートアップ段階なので、英語オンリーではなく日本語で話すこともOKとし、最後のまとめは英語でライティングするといった方法をとりながら、徐々にレベルアップしていく予定です」

 文法を学んだり暗記したりするといった学習法と違い、CLILは英語を使って思考する習慣がつきやすく、文脈の中で言語を理解していくことで記憶に定着しやすくなるメリットがあります。思考力やコミュニケーション能力の向上、異文化理解などさまざまな効果が期待できるのも特徴です。
 日本人の先生が教える『CLIL -J』(週2時間)とネイティブの先生が教える『AE(CLIL -E)』(週1時間)を、体系的に英語を教える通常の授業と並行して実施しています。

自修館_英語の授業では、コミュニケーションが活発に交わされる
英語の授業では、コミュニケーションが活発に交わされる

小野先生:「いろいろな話題に触れられるのも、CLILの良いところです。概念の知識が転移するという言い方をするのですが、英語は苦手と思っている生徒でも内要の概略は理解できますし、例えば絶滅危惧種の英語名をスラスラと言えるなど、関心のあるポイントに触れると輝き出す生徒も出てきます。そのように、ツールとしての英語をアウトプットする楽しさを知っていってくれればと思います」

 先生の話を一方的に聞くのではなく、グループごとに調べ学習を行ったり、自分で考えたり話したりする時間が多いためか、生徒たちもCLILの授業はあっという間に過ぎてしまうと感じているようで、通常の英語の授業に比べてアクティブな反応が増えているそうです。

小野先生:「学年に応じて丁寧に段階を踏みながら、実践的なアウトプットの体験や概念知識を蓄積していくことで、グローバルマインドの育成に繋げていきたいと考えています」

■英語をアウトプットする体験を増やす

自修館_「ハワイ短期研修」にて、記念の1枚
「ハワイ短期研修」にて、記念の1枚

 英語を使う機会としては、海外研修の機会も積極的に設けています。今年も、多くの生徒たちが、夏休み期間を利用して、シンガポール・ニュージーランド・ハワイ(いずれも希望制)に出かけていきました。
 姉妹校(アオレレ・カレッジ)があるニュージーランドをはじめ、さまざまなルーツを持つ国を訪問するなど、現地の方との異文化交流を深める機会を増やしています。

小野先生:「ハワイでは現地の企業や歴史的な施設を見学したり、ハワイ大学の学生と交流したり、スピーチやプレゼンテーションにも挑戦します。ニュージーランドは留学体験に近いなど、行き先ごとに少しずつ内容が異なり、生徒たちは自分の目的に合った国を選んでいます」

自修館の海外交流プログラム(抜粋)

●ニュ―ジーランド交換留学(4〜5年生)......バディとなる現地生徒の家にホームステイしながら、2週間の授業体験を実施。1カ月後には日本でバディと共に過ごし、お互いの文化を学び合う。
●ハワイ短期研修(3〜5年生)......ハワイ大学の学生と交流しながら9日間の英語レッスンを受け、国際的なコミュニケーション力を強化。
●海外フィールドワーク(5年生)......全員がホームステイを体験し、現地の高校生との交流の中で、「英語を学ぶ」のではなく、「英語で学ぶ」プログラムを実践。SDGsをはじめとした世界の共通課題を意識した活動に取り組む。
●ターム/1年留学(4〜6年生)......3カ月から1年間の留学を実施。


■今年度から、ネイティブの先生が常駐する「グローバルラウンジ」を本格稼働

 同校では、ネイティブの先生が常駐する「グローバルラウンジ」を、月〜金の昼休みと放課後に生徒たちに開放しています。英語の講座を開設したり、ネイティブの先生が2週に一度行う1年生のショートホームルームの際に利用するなど、校内で異文化に触れることができるスペースとして活用。
 このように、さまざまなプログラムはもちろんのこと、同校では英語でコミュニケーションする場面を日常的に多数設け、生徒たちに自信をつけさせる機会としています。

小野先生:「授業では周りの目が気になってうまく喋れない生徒が、ここではとてもおしゃべりだとネイティブの教員に聞いたこともあります(笑)」

自修館_グローバルラウンジで活動中の、ESSサークルの1年生たち
グローバルラウンジで活動中の、ESSサークルの1年生たち

 お話を伺った後、グローバルラウンジを覗いてみました。ちょうどESSサークルの1年生たちが英語教材を放送するテレビ画面を見ながら、ネイティブの先生方と楽しそうに、臆することなくおしゃべりしていました。

「EQ教育」で培われた自分らしさの上に、探究的授業や「C-AIR」「グローバルプログラム」で得た多様な知識と経験を乗せていく。生徒たちは、同校の6年間で培われた人間力と思考力、行動力を持って、主体的に人生を切り拓く人として巣立っていくのです。

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