学校特集
千葉日本大学第一中学校・高等学校2024
掲載日:2024年9月9日(月)
千葉日本大学第一中学・高等学校の校訓は「真」「健」「和」。まっすぐな気持ちで真理を探求し、心身ともに壮健で、自分と他人を尊重して協働の精神を持てるような人格の完成を目指しています。学力の他に、基本的生活習慣の確立、学校行事や部活動などによる学校生活の充実などを目標に、約1100人の生徒が集い、学校生活を送っています。2024年度からは、教頭であった羽鳥和弘先生が校長に就任されました。着任に伴う思いを伺いました。
新校長が、続けていきたいもの、変革したいもの
羽鳥和弘先生は、千葉日本大学第一中学校・高等学校(以下、千葉日)で教員を務めて約40年のベテランです。
「生徒たちは毎年変わりますし、日々成長をしていきますし、教員という仕事は本当に飽きないというか刺激があるというか、40年はあっという間でした」と話します。
日本大学卒業後、数学科の非常勤講師を経て専任教諭に。テニス部の顧問として活動しながら、生活指導主任、教務主任、教頭補佐、教頭を歴任。日々、学校に通い、勉強に取り組み、行事に精力的に参加し、部活などに打ち込む生徒たちを、愛情をもって見つめ続けてきました。
「卒業後もたくさんのOBOGが学校を訪ねてくれます。日本大学理工学部などが隣接していることもあり、『時間が空いたから』とふらっと来る卒業生もいます。『こちらは今忙しいよ』というタイミングだったりするんですけどね」と羽鳥先生は笑います。
同校で過ごした6年間が、生徒たちにとって充実したかけがえのない時間だったからこそ、訪れたくなるのでしょう。
中にはテニス部で指導していた卒業生が我が子を入れたいと受験し、入学後にはそのOBが部の父母会の会長をしたこともあるそうです。
取材当日の校長室には、テニス部で指導した卒業生たちから贈られたという、校長就任祝いの胡蝶蘭が大切そうに飾られていました。
「卒業生がいつでも気軽に来たくなる、こうした風土や環境はこれまで通り、大事に受け継いでいきたいですね」(以下、羽島先生)
その一方で、千葉日に入学したら日大に進学すればいい、というイメージは変えていきたいと話します。
日本大学は、文系、理系、医歯薬系の16学部86学科、日本最大級の規模を誇る総合大学です。もちろん千葉日からも、付属推薦など日大への進学という選択肢はあり、同校の2023年度の卒業生の現役進学率は93%、そのうち日大への進学は約51%を占めました。
このような恵まれた環境下ですが、自分の学びたいことは何か、将来希望する職業に就くためには何をどの大学で学ぶべきかを突き詰めて考えてほしいと羽島先生は語ります。
「生徒各々が自分の希望を見定め、国公立の大学や海外留学も含めて、より広い視点で進路選択をできる学校にしたいのです」
目標は「生徒が夢をつかめる学校」です。生徒一人ひとりに輝く場があり、卒業までの6年間で、将来の職業につながる夢を見つけることができる学校を目指しています。
そのために強化しているのが、確かな学力をつけること、グローバル教育、キャリア教育です。
日大進学、その他国公立や難関私大を目指す生徒、それぞれが夢に向かえる学力をつけるカリキュラムを推進。細やかなクラス設定など、生徒たちの志望をサポートしています。
そのためにまずは中学校では、起床時間・家庭学習・就寝時間を「三点」とし、規則正しい生活習慣の確立を目指します。生活環境が整った生徒は自己管理能力が養われるため、学力向上につながります。
グローバル教育は、中高6年間で実践的な英語力をつけ、世界の多様性やさまざまな価値観に触れ、知り、考えられるようなプログラムを多数用意。中1~高2まで行っているオンライン英会話に加え、中2・中3での留学生との交流会、希望者参加型の海外研修(中3:シンガポール語学研修・高1:イギリス語学研修・高2:オーストラリア語学研修)など、さまざまな形で異文化交流を図っています。
キャリア教育の一環としても役立つのは「千葉日探究プログラム」。次章でこの学びについて、具体的に見ていきましょう。
将来の夢を見出し、実現するための探究活動
これまでもオリジナルの探究学習を行ってきましたが、2024年、「千葉日探究プログラム」としてリニューアル。
中1・中2は「探究ナビBasic」として、探究学習の基礎を学びます。中1では自分の興味関心に基づき、好きなものを徹底的に掘り下げ、その魅力をプレゼンテーション。調べ方や観察方法、まとめ方、さらに効果的な発信方法なども学習します。
中2の前半は、船橋市が主催する「こども未来会議室 ~船橋の未来に"たね"をまこう~」に参加。「わたしが市長になったら」というテーマに沿って探究と発表を実施。代表者を選出し、参加校同士で意見交換を行いました。
後半では、中1時で探究した「好きなこと」の動画を作成するなどICTスキルを高めます。この2年間での探究プロセスを通じて、課題発見・解決に必要な考え方やスキルを育成します。
中3では世の中にはさまざまな仕事があることを知ると同時に、自分の適性や潜在的に持つ願望、意識を見極め、働くことへのイメージを広げます。提携する企業に協力を仰ぎ、各社がどんな哲学を持ち運営しているのか、実際の業務内容やどのように社会貢献しているのかなどを探ります。この「インターン」を通じて、自分の好きなことが職業にどうつながるかを考えていきます。
高1での「ソーシャルチェンジ」では、社会問題への問題意識を想起。身近な社会問題を個々の視点から見つけ、解決方法を考えます。そこから高2で取り組む「StartupBaseU18」という、高校生・高専生のための起業体験プログラムにつなげます。
高3では仕上げの「マイストーリー」として、自分史を執筆します。自分自身を振り返ることで、気づいていなかった自分の可能性などにも目を向けられる機会となっており、大学進学後の学びへのモチベーションにもつなげています。
「6年間をかけて、より一貫性を持った形に刷新しました。自分自身の将来像を見据えていってほしいですね」
このように段階を踏んで、将来の夢につながる進路を自ら見出していける生徒を育てています。
様々な進路を歩む先輩方に支えられて伸びていく
千葉日では、ロールモデルとなる人物との交流や講演なども積極的に行っています。
例えば「外資系企業に興味がある」という高1女子の声に応え、現在Apple Japanに勤めている卒業生にレクチャーを依頼。そのOBは学生時代のことや留学経験について、就職後に社会人としてどう過ごしているかなどを語ったそうです。
同校とこの卒業生がすごいのが、さらに在校生たちへの貢献を考え、実行に移したことです。
「彼と話し合って情報処理担当の教員と連携し、中2の探究学習の時間で情報処理関連を教えてもらうことになりました」
最先端のテクノロジー事情を肌感で知っている方から学べる貴重な機会です。
獣医師や獣看護師として現役で働く卒業生と、それを目指す生徒をつなげています。小さなグループで話し合うチャンスを作り、実際に働いたときを想起できるように心がけています。
「獣医師といっても、どこかに勤務している方と開業している方ではまったく状況が異なります。開業し、なおかつ患者数が多い方はどんな運営をしているのか、生徒が思い描いていることと現実にはどんな乖離があるのか。少人数ですから具体的なところまで質問してもらいたいですね」
日本大学の医学部・薬学部・理工学部に隣接する抜群の立地で、かねてより大学連携も活発な同校。中1から、理工学部での実験に参加したり、ロボット研究室を見学したりと、ニュースでしか見ることのないような最先端技術に、実際に触れられます。
高1・高2で体験できる医学部の連携授業は、夏休みに神田駿河台にある日本大学病院に4日間にわたって通学。救命センターや手術室、臨床検査部などを見学します。医学生と共に最新医学に触れ、最終日には研究発表を行います。
「夏休みに医学部や薬学部の研究室に伺うのは、日大系列校の中でも本校だけのオリジナルです。この体験があるからか、医薬を志す生徒が多いですね。なお、看護師さんについて実際の患者さんに接する体験もできます」
今後は高校で、横浜国立大学の化学の教員となった卒業生の研究室を訪ねることも計画されています。
「オープンキャンパスよりも深く、研究室の中まで入って具体的に何をしているのかまで見せていただける、貴重な経験になります。教員も卒業生も、在校生のために精力的に取り組み、協力を惜しみません。
我々は様々なことに触れる機会を増やし、環境をしっかりと整えていけたら。それにより、挑戦心を持った生徒が増えてほしいと願っています」
恵まれた教育の恩恵を存分に受けられる千葉日。自ら一歩踏み出すことで、選び取れる将来像は無限に広がっていける環境なのです。
誰にでも、輝ける場所がある
同校で重視していることの一つに「経験」があります。それが得られる機会として位置づけられているのが学校行事です。
「夏休みに希望者が岩手県の農家にホームステイする自然体験学習は、30年以上続けられている伝統行事です。学校生活の中で打ち込んだものがあり、その中でさまざまな経験を積めたと実感してほしいのです。熱心に取り組めることがたくさんある、この雰囲気は大事にしていきたいですね」
6月に実施される体育祭や11月に開催される文化祭は特に学園をあげて盛り上がる2大行事です。
体育祭では毎年、高2が3つのグループに分かれ、熱い応援合戦を繰り広げます。
例年文化祭で中3が取り組むのは、およそ30年にわたる歴史を持つ模擬裁判です。模擬裁判は、教員が被告人や証人となり、代表の生徒が裁判官、検事、弁護士に、一般生徒は傍聴人となり、最後に有罪か無罪か投票します。
「現代社会が抱える課題も含まれ、正解はありませんし、簡単に白黒つけられる内容ではありません。それぞれが役割の中で、質問の仕方を工夫するなど、最善を尽くす姿が見られます」
「生徒一人ひとりが輝く場を作りたいと思っています。成績のいい子だけが評価されるのではなく、部活や学校行事に精一杯打ち込んできた生徒にも『一生懸命やれば活躍できる場面がある』という実感を持ってもらいたいのです。社会に出ると、そういう子たちが飛躍する機会がたくさんありますから。
あらゆる経験をして、自分の好きなものを見つけるのもいいですし、『自分はこれだけはしたくない』というミスマッチを見つけるのも重要です。本校の6年間で自分自身の道を見つけてほしいですね」
実際に足を運び、在校生の明るく刺激に満ちた学校生活の様子をぜひご覧ください。「この学校で学びたい」という希望に満ちた未来がきっと見えてくるはずです。