学校特集
共立女子第二中学校高等学校2024
掲載日:2024年8月10日(土)
八王子の丘陵地に広大なキャンパスを持つ同校。豊かな自然環境の下、「社会で活躍する女性」を育てるために全人的な女子教育を展開しています。母体である共立女子学園が1886(明治19)年に創立されてから138年。今年、共立女子第二中学校は創立40周年を迎えました。「自然が教科書」というように、自然環境の恩恵をたっぷり受けながら、生徒たちは一歩一歩確かな足取りで成長しています。自分のことは自分で決め、自分らしく活躍する「セルフリーダーシップ」を育む共立女子第二の魅力を、入試広報部主任の戸口義也先生に伺いました。
自然豊かなキャンパスで育まれる人間力と共感力
八王子の丘陵に位置する広大なキャンパスからは高尾山や陣馬山などの山並みを望むことができ、春には枝垂れ桜が咲いてホトトギスの鳴き声が響き、初夏には新緑、秋には見事な紅葉がキャンパスを彩り、虫の声も聞こえてくる。四季折々の変化を見せてくれるなんとも贅沢な環境の中で、生徒たちはのびのびとした学校生活を過ごしています。
緑の森に囲まれた約22万平方メートルの敷地内には、9面ものテニスコートやゴルフ練習場、400メートルトラックを整備した総合グラウンドなどの運動施設が揃っています。大きな観客席を設けたグラウンドは、陸上、サッカー、ソフトボールなど複数の運動部が同時に汗を流して活動できる広さです。
また、WiFi環境を整備した学内には、4つの理科実験室や音楽室・美術室・書道室・工芸室・調理室などがあり、蔵書数が約6万冊を超える図書館や3室続きの本格的な和室など、施設の充実ぶりにも目を見張ります。
戸口先生:中高生が育っていくには、とても良い環境であると自負しています。本校に伸びやかで素直な生徒が多いことも、この恵まれた環境と無関係ではありません。卒業生のアンケートでも、本校の魅力のダントツの1位が学習環境と自然環境です。自然が生み出すゆとりある空間が、生徒たちのおおらかさや優しさ、豊かな情緒性を育み、心に余裕のある大人へと成長させていくのではないでしょうか。他者を思いやる気持ちや自己を顧みる視点が、ごく自然に生まれてくるベースになっているのではないかと思っています。
生徒たちがこうした環境で中高6年間を過ごすありがたさに気づくのは、実は卒業してからずっと後のことかもしれませんが、自然の恵を存分に受けながら、生徒たちは学習や学校行事、クラブ活動、生徒会活動、課外活動に積極的に取り組んでいます。
1位:環境(豊かな自然、図書館、校舎やトイレが綺麗)
2位:制服
3位:友人と仲間たち(たくさんの良い出会い、一生の友達)
4位:学校行事(多くの行事群)
5位:校風・雰囲気
6位:女子校らしい学び
7位:進学システム(併設大学あり・併願推薦制度)
8位:通学の便(無料スクールバス)
9位:クラブ活動
10位:先生との関係(先生との距離感が近く、相談しやすい)
そして、この自然環境が同校ならではの「体験・実験重視」学習を支えています。理科の授業では、中高ともにキャンパスで野外観察を行う時間を多く設けています。普通なら植物図鑑でしか目にしないような植物も、間近に観察することができるのです。
3年前から始めた中庭の「ポタジェガーデン」にはレイズドベッドが作られ、コンテナ、プランターなども用いて、野菜作りを行っています。ミックスレタスやカブ、ジャガイモ、ミニトマトなどといった野菜だけでなく、コンパニオンプランツ(近くに栽培することで互いの成長に良い影響を与え共栄し合う植物)として、カモミールやバジルなどのハーブ類も植えています。
毎年5月頃には、中1の理科の時間にポタジェガーデンで種まき、苗植えを行うのが恒例です。生徒たちは、堆肥作りやコンパニオンプランツの役割などを学びながら、座学の授業では深く扱わないような内容も体験的に学ぶことができるのです。
収穫後の野菜の試食会や、自分たちで育てた野菜を嬉々として持ち帰る生徒たちの表情が明るいこと! 育成と収穫の両方を味わう貴重な体験となっていますが、土をいじる習慣が身について、自宅のベランダで家庭菜園を始めた生徒もいるようです。
戸口先生:菜園で収穫した野菜は食育や調理実習にも活用することで、単なる理科教育の分野を超えて食物に対する意識を高めるなど、生徒たちの視野を広げることにも影響を与えています。天文教室や野外授業なども含め、本校の特徴である体験重視の学びで「自然観」と「科学する心」を養うことは、進路選択にも少なからず影響を与えます。理工系・医療系への女性の進出が期待される昨今、理科教育に適した条件が揃っている本校の自然環境は、大きなメリットであると考えています。
数年前、高校の「英語コース」の授業でクスノキの匂いが話題になったことがあり、「では、外に出てみましょう」と、野外授業に切り替えたそうです。生徒たちはキャンパス内にあるクスノキの葉や枝を採集し、数日間乾燥させた後に、フラスコで煮詰めてクスノキの臭い物質である「樟脳」を作ってみたのです。まさに、教科横断型の学びが日常的に展開されていると言えるでしょう。
10年後、20年後を見据えたキャリア教育
1886(明治19)年に創立。「誠実・勤勉・友愛」を建学の精神とし、女性が自主性を持つとともに社会的に自立することを目的として、日本で初めて校名に「女子」の冠をつけて設立された私立学校が共立女子学園です。現在、同校では「リーダーシップ
の共立」という共立女子学園のビジョンのもと、社会で活躍する女性を育成するため、生徒一人ひとりが自分の持ち味を生かし、自分が自らの人生の主人公として生きる「セルフリーダーシップ」の育成に努めています。
共立女子学園が伝統的に行ってきた実学教育は、この「体験・実験重視」の学習によって引き継がれています。
戸口先生:本校の校訓には、目指す3つの女性像が表れています。「誠実」は豊かな感性を身につけた女性、「勤勉」は自ら考え、発信できる女性、そして「友愛」は他者を理解し、共生できる女性です。そのためにも、さまざまな課外活動や学校行事を通して、10年後、20年後を見据えた女子校ならではのキャリア教育を構築しています。
同校では、中高6年間を通して行われる進路指導を「針路プログラム」と呼んでいます。大学進学だけをゴールにするのではなく、その後も主体的に自分の進路を選択してキャリアを積み重ね、社会貢献できるようになるために、という願いをこめて。学年ごとに目標を定め、段階的に将来への意識を高めると同時に、大学に進学するための学力を養成していきます。
まず中学では、「自分を知る・社会を知る」として、人格形成に重きを置いています。中2では社会人による講演会などから「働くこと」について考え、中3の11月には生徒が自ら選んだ職場に連絡をとり、「職業体験」をすることによって職業観を養いながら将来を考えるきっかけとします。
高校では、「学問を知る・大学を知る」として、中学時代から漠然とイメージしてきた進路をより具体化するために、高大連携を通して大学や学部のことを知る機会を数多く設定。併設校である共立女子大学をはじめ、他大学の先生方を招いての講演会や大学訪問などの機会を多く設け、自分の目指すべき進路を定めていきます。
今年は、高校のキャリア教育が本格的にスタートして3年目。JSBN(日本学生社会人ネットワーク)を通して、講演会を実施します。6月には、事前にアンケート(「人生で成し遂げたいこと」「日本をより良い国にするために総理大臣に提案したいこと」など)を実施して「キャリア講演会」を開催。小グループに分かれてディスカッションしながら自分のキャリアについて考え、それを発表することによってお互いの考えをシェアしました。
戸口先生:本校のキャリア教育は、自律と自立の両輪です。一つは、自分でキャリアデザインすること。つまり、自身のキャリアを構築していく試みです。もう一つは、自立した成長を目指すこと。目指すキャリアを実現するためには総合的な学力も必要ですから、キャリア講演会、進路ガイダンス、学部研究ガイダンス、職業ガイダンスなど、さまざまなキャリアワークショップを設定しています。多くの大学から先生方や入試担当者の方を招いて、学問・研究分野の紹介や取得できる資格、高校での学習方法など具体的なお話を伺い、最終的には自分自身で自らのキャリアを決定できるように導いていきます。
2024年度の現役進学率が99.3%という同校では、大学との高大連携も積極に進めています。同校では高1から、難関大学を目指す「特別進学コース」、多様な進路に対応しながら総合的な学力の向上を目指す「総合進学コース」、英語力に特化した「英語コース」、さらに高2からは併設大学の共立女子大学を目指す「共立進学コース」に進むこともでき、4コース制となります。
「共立進学コース」の生徒は、高2から神田一ツ橋の大学キャンパスで大学の講義を体験。高3からは週1に回大学に通いますが、これは大学入学後の単位として認定されます。
戸口先生:大学の単位を先取りできるということは、それだけ入学後に時間のゆとりができます。留学をしたり、インターンシップを経験したり、自由度の高い大学生活を送ることができます。もちろん、ボランティアやサークル活動、資格取得にも十分な時間を割くことができます。それによって、自分自身を見つめ、自分が何をやりたいかをじっくり探すことができるのです。併設校ならではの高大接続は、「共立進学コース」の大きなメリットと言えます。
共立女子大学は、「就職に力を入れている大学ランキング(女子大編)」で全国1位、「面倒見が良い大学ランキング(女子大編)」全国2位(共に大学通信調べ2021より)、さらに、「女子大出身の女性社長数」全国3位(東京商工リサーチ調べ2023より)と、就職実績の高い大学として知られています。また現在、共立女子大学だけでなく、他大学との連携も積極的に進めています。
戸口先生:学びに対する面倒見の良さと、質の高い教育は女子大全般に共通しています。共学のマンモス大学に比べると少人数制の授業が多く、教員の指導も丁寧なのだと思います。それが学力の高い学生を生み、就職実績としても表れているのではないでしょうか。
心に余裕のあるキャンパスライフが育む人間力
高校で生徒会長を務めた卒業生が、「共立女子第二の良いところは、第1希望で入学する子が多いことですよね」と言ったそうです。親子2代で共立生という生徒も珍しくなく、「入りたい学校に入学」して自己肯定感がプラスの状態から中高6年間がスタートするのですから、学校生活に積極的に取り組もうとするのもうなづけます。
毎年5月に行われる体育祭でクラスの結束力が高まり、異性の視線を気にすることなく自分らしさを発揮できるのも、女子校ならでは。
戸口先生:先ほど、本校では「自立と自律の心」が養われるとお話ししましたが、生徒たちは学校を良くしていきたいという気持ちが強いですね。生徒会の役員選挙もびっくりするほど盛り上がりますし、信任投票ではなく、だいたい決選投票までいきます。それだけ主体的に学校生活に取り組んでいる表れだと思います。体育祭も生徒たちから「もっと変えていきたい」と声が上がり、今年初めて体育祭実行委員会を立ち上げて、企画・運営まですべて生徒たち主体で実施しました。選手の招集や機材のセッティングなどもすべて生徒たちが行い、予想以上にスムーズな進行でしたね。
秋の文化祭の時も、生徒会執行部から「SNSのアカウントがほしい」と要請があり、以来、Instagramは生徒たちが運営することになったのだとか。「共立女子第二の良さを知ってほしい」と、積極的に情報発信しているそうです。生徒たちから「○○がやりたい」といろいろな提案が上がってくるのは、母校愛はもちろんですが、精神的に余裕のある学校生活を送れている証とも言えるでしょう。
「いろいろなことを考えることができる」心の余裕が、「当たり前のことを当たり前に実行する」という貴重な価値観を身につけさせていくのかもしれません。
戸口先生:先日、ある大手進学塾の先生が本校を訪問した際、「ここに来ると、寿命が5年伸びる気がします」と言われました。大きな空の下、爽やかな風を肌で感じ、季節の移ろいを感じることができる環境は情操を豊かにします。一度キャンパスに足を運んでいただければ、きっとみなさん好きになってくださるのではないでしょうか(笑)。学校説明会などで直接、本校の良さを実感していただければと思います。
キャンパスが穏やかな空気で満たされているためか、受験生である高3になっても、校内のいたる場所でグループで勉強し合う姿がよく見られるそうです。
そのような、心が解放される空気感を実感していただくために、ぜひ同校にお出かけください。