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学校特集

女子聖学院中学校・高等学校2025

じぶんを育み、活かし、他者と力を合わせて「じぶんを叶える」
教育の3本柱は、キリスト教とGlobal Arts教育とExperiential Learning

掲載日:2025年2月14日(金)

「自らの賜物を用いて他者と共に歩むことのできる女性」を育てること。1905年の創立以来、この教育目標を実現するため、キリスト教に基づいた人間教育を実践し続ける女子聖学院。中高6年間の一貫教育を通して培う「神を仰ぎ人に仕う」精神は、卒業後、何十年経っても揺るぎなく、それぞれの人生を切り拓く土台となっています。「キリスト教教育」「Global Arts教育」「Experiential Learning(体験的学び)」を教育の3本柱に、そして「Be a Messenger」を教育スローガンに掲げる同校の女子教育について、教頭で広報室長の塚原隆行先生にお話を伺いました。

「じぶんを、育む Global Arts教育」と
「じぶんを、活かす Experiential Learning」

■毎朝の礼拝は「心のごはんをいただく時間」

 女子聖学院の1日は、毎朝の礼拝から始まります。
 パイプオルガンの調べに合わせて讃美歌を歌い、聖書の言葉に耳を傾けて、生きる力と指針を授かる時間です。1年200回、6年間で1200回、日々の礼拝で聖書の言葉をいただくことで、人格形成のベースとなる人間観や価値観を育んでいます。ちなみに、礼拝のことを「心のごはんをいただく時間」とも呼んでいるそうですが、なんと素敵な表現でしょうか。

女子聖学院_教頭で広報室長の塚原隆行先生
教頭で広報室長の塚原隆行先生

塚原教頭:「毎朝、聖書を通して良い言葉をいただくことにより、自分は神様の大切な作品であり、しかも傑作なのだと知り、『自己肯定感』を高めます。そして、共に生きる隣人(=他者)もまた、自分と同じ価値を持つ大切な命であることを知り、『他者肯定感』も高めていきます。神様は一人ひとりに異なったプレゼント(かけがえのない良さ)を与えてくださっています。私たちは、これを『賜物』と呼んでいますが、じぶんに与えられた賜物を見つけて磨き、人々と共に生きる中で良い影響を与え合い、喜びを共にする。つまり、『与えると、じぶんももっと豊かに与えられる』。これが本校の伝えたい、人生の捉え方です」

■クラス形成・学年形成の原点は、中1の「JLMキャンプ」

女子聖学院_夏休み恒例の「JLMキャンプ」にて
夏休み恒例の「JLMキャンプ」にて

 中1の生徒にとって、同校のアイデンティティに初めて本格的に触れるのは、夏休みの宿泊行事「JLMキャンプ」(2泊3日)になります。JLMとは、「Jesus Loves Me」の略称で、山梨県の清里にある「清泉寮」で寝食を共にしながら、「神様が私たちを愛している」という言葉の真意を考えることを目的としています。

 初日は、現地の清里聖アンデレ教会で開会礼拝を行った後、森歩きのプログラムで自然の恵みを味わい、夜にはおいしい食事を一緒にいただき、キャンプファイヤー、キャンドルサービスなどで交流を図ります。このように、3日間生活を共にするなかで互いを知り、新しい人間関係を作っていくスタートラインに立つのです。

塚原教頭:「この宿泊行事で大事にしているのは、お互いの良いところに目を向けることです。互いを知ることで安心感が生まれ、6年間共に歩んでいくうえでのクラス形成・学年形成の源となります」

 中1夏の体験をベースにして、学年は一つの家族となり、学年が上がるごとにさまざまな役割と責任を新たにしながら、一緒に成長していきます。そして、その関係性は卒業後も変わらずに続いていくようです。
 塚原先生は、こんなエピソードを紹介してくれました。

塚原教頭:「塾の先生方が学校見学に来校された際、普段は授業中の様子を見ていただくことが多いのですが、ある時、たまたまお昼休みの時間に重なりました。高3の教室を訪れると、生徒たちが机を寄せ合って和気あいあいと一緒にお弁当を食べていました。6年弱の時間を共に過ごし、学校行事で一緒に汗を流した仲間であるという関係性は、大学受験を前にしてクラス内で立場が分かれてくる高3の秋(年内入試で進路が決まる人と一般入試まで闘いが続く人)になっても変わりません。卒業後もずっと変わらないのです」

 穏やかで柔らかな空気で満たされている、同校ならではの1シーンです。

■「じぶんを、育む Global Arts教育」〜探究学習

女子聖学院_「マイ・コンパスプロジェクト」では活発に意見が交わされる
「マイ・コンパスプロジェクト」では活発に意見が交わされる

 3本柱の一つである「Global Arts教育」とは、課題に対する解決策を創造するためのマインドとスキルを養う教育のことです。自分自身を高め、成長させ、それによって他者のためにじぶんを生かすことができる。そのような人へと成長するために欠かせない学びです。

 その学びの要となるのが中学3年間の探究学習「マイ・コンパスプロジェクト」で、「じぶんのために主体的に学び、取り組む」ことができるように、段階的に自分軸を養っていきます。
 中1ではさまざまな社会課題を自分事として探究する力を身につけ、中2・3ではゼミ形式の共同探究で地域への取材や専門家へのインタビューに挑戦します。そして3年間の学びの集大成として、中3では自分が理想とする未来をポスター形式やプレゼンテーション形式でアウトプットする「未来の○○展」を開催。
 また、これまで「探究学習+SDGs」の取り組みの一環として、毎年中3の夏に北海道で行ってきた宿泊行事は、今年度から沖縄へと行き先を変更し、秋には「平和学習+環境学習」を実施しました。

■「じぶんを、育む Global Arts教育」〜リーダーシップ研修

 探究活動と並んで、リーダーシップ教育も「Global Arts教育」の重要な要素です。
 同校では、記念祭(文化祭)や運動会など多くの学校行事を生徒たち主体で運営していますが、その大きな支えともなっているのが、今年で4年目を迎えた「リーダーシップ研修」(中1〜高2)です。
 これは、立教大学経営学部の舘野泰一准教授によるワークショップで、それぞれに役割を分担しながら互いに成長していく「シェアド・リーダーシップ」の考えに基づいたもの。大学で教える内容を中高生向けにアレンジした形で行われますが、毎年立教大学のゼミ生も加わって実施されています。
 生徒たちは身近な課題を例に「リーダーシップのあり方」について学び、さまざまなアイデアを出し合いましたが、このワークショップでの学びの成果は、多くの学校行事を生徒たちだけでスムーズに運営するというところにも現れています。

女子聖学院_諸行事は、生徒たちの手でテキパキと進行していく
諸行事は、生徒たちの手でテキパキと進行していく

塚原教頭:「本校の最大の行事である6月の運動会は、前年度から生徒たちが一生懸命準備を重ねて開催しています。今年も、運営から競技遂行、応援合戦と学年に応じてそれぞれの立場で奮闘していました。応援に来校されていたある保護者の方が、下級生たちを束ねる高3生の姿を見て、『うちの会社にほしい人材』と褒めてくださったそうです。この言葉は、本校がどういう生徒を育てているのか、生徒にどのような力が育っているのかを端的に伝えてくださっていると感じました」

■「じぶんを、活かす Experiential Learning(体験的学び)」
〜GX・SX教育とDX教育ユニット

「じぶんを、育む Global Arts教育」によって、主体的に学びに取り組むことができるようになった生徒たちは、「Experiential Learning(体験的学び)」によって、他者のためにじぶんを活かすことができる人へと成長していきます。

女子聖学院_お隣りにある聖学院との合同プロジェクト「SDGsプロジェクト」にて
お隣りにある聖学院との合同プロジェクト「SDGsプロジェクト」にて

 同校では、3年前から隣接する聖学院中高(男子校)と合同で、「中高生が共に学び合い、成長する教育環境を創出する」ことを目的とした「SDGsプロジェクト」をスタートさせています。男女がそれぞれの得意分野を活かしながら、互いに刺激し合うプロジェクトです。
 聖学院SDGs教育アドバイザーである聖心女子大学の永田佳之教授の指導の下、PBL形式で「防災エコ」「環境エコ」など、さまざまな課題に取り組んでいます。持続可能な学校づくりを模索するこれらのワークショップはGX・SX教育と言えますが、GXとはグリーントランスフォーメーション、SXとはサスティナビリティトランスフォーメーションの略。つまり、「環境問題の解決」と「経済成長」を両立させるためのさまざまなテーマに取り組んでいるのです。

 また、2024年度からはさらに聖学院中高と「DX教育ユニット」も新設。このユニットでは、教育活動のDX化(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。デジタルシティズンシップを根幹に据えた、生徒のICTリテラシーの向上を図る男女合同プロジェクトです。
 別学でありながら、課外活動では「共学」としての学びも得ることができるのは、実は同校の魅力の一つでもあります。初回のワークショップでは、介護食などが3Dプリンターで作られている様子に驚き、生徒たちは聖学院の中高生たちと一緒に、「tickercad」というアプリを用いてキーホルダーを作成しました。
 同校では、「学び続ける人となる」ためのデジタルシティズンシップ教育に積極的に取り組んでいますが、このように最新の研究に触れながら、新時代に対応できるICTリテラシーを高めています。

「じぶんを、叶える」女子聖学院の進路指導

■社会人として必要な基礎は、すべて中高6年間で身につける

 同校では、キャリア教育の一環として、進路を考える機会を積極的に設けています。さまざまな分野で活躍しているOGを招く「進路プログラム」もその一つ。ある年、北海道庁や東京の企業に勤める社会人数年目のOGを招いた時には、お二人は奇しくも後輩たちにまったく同じことを伝えたそうです。

塚原教頭:「それは、『学力は大切。でも社会人としてもっと大切なのは、コミュニケーション力である』という言葉でした。その基礎を本校で身につけることができた、と」

 1クラスの生徒数は約30人。1学年4クラスで約120人という程良い規模のため、6年間を共に過ごす中で、横のつながりだけでなく学年を超えた縦の関係も濃密に築かれます。
 毎年、卒業する高校生が自分自身の受験体験を後輩に伝える場が設けられますが、生徒会や学校行事・部活動などで一緒に活動した身近な先輩の姿は、在校生の良きロールモデルです。先輩の体験談には後輩への温かい激励が込められ、在校生がじぶんの夢に挑戦する大きなモチベーションとなっています。

■「あなたはどうしたいのか?」と問い続ける

女子聖学院_「JSGラーニングセンター」は18:20まで利用可能
「JSGラーニングセンター」は18:20まで利用可能

 もちろん、生徒たちが学びに集中できる環境整備も怠りません。
 授業の上積みをする課外講座「JSG講座」は、全学年を対象にした「前期」「夏期」「後期」に加え、「高3冬期」「高2春期」も実施して、近年の難関大学の合格実績の伸長に効果を上げています。また、補習のための学習室(中学)、大学生や大学院生のサポートを受けられる自習室「JSGラーニングセンター」(チューター常駐放課後学習センター)もあり、わからないことをそのままにすることなく、かつ自学自習の習慣を作る環境を整えています。
 さらに、先生方は年間を通じて繰り返し面談をし、生徒の考えを言葉として引き出すために問いかけ続けます。「大学で何を学びたいのか」「将来、何をしたいのか」、そして「あなたはどう生きたいのか?」と。

塚原教頭:「本校は、学校生活・学校行事を生徒自身が主体的に作り上げ、卒業後の進路も一人ひとりが主体的に選びとっていく学校です。なぜそうできるのかといえば、学校生活のさまざまな場面で、『あなたはどうしたいですか?』と、生徒に問う文化を持っているからです。大人(教員)の役割は、生徒を最終的に『学び続けることのできる人』『問いを持ち続けることのできる人』へと導くために、時には伴走し、時には見守ることだと考えます。教員は、生徒がじぶんの憧れを持ち、失敗を恐れずにのびのびと挑戦し、納得してじぶんの道を選びとっていけるように、自己探究をする6年間を全力で支えます」

■指定校推薦と高大連携協定

 生徒たちに寄り添い支える姿勢を堅持する先生方は、進路指導でも親身に生徒たちの相談に乗り、励まし続けています。そして、生徒が希望する進路を叶えるため、中高大連携プログラムもさらに拡充させています。

 3年前に高大連携協定を締結した東京女子大学とは「女子聖のためのオープンキャンパス」を開催するほど強固な関係を築いており、昨年からは在校生、保護者のための大学説明会が同校で開催されています。また教育内容連携の一環で、毎年「仕事塾」「一日東女生」へ優先的に参加できるほか、今年からは「AIデータサイエンスセンターでの学び」も加わり、大学の学びに触れる機会を増やしています。中学生から参加することができるため、早い段階から大学を知る機会となっています。

「仕事塾」は、東京女子大学の経営系のゼミに参加するプログラム。「一日東女生」は、女子聖の高校生が大学生に混じって大学での授業を受けられるというもので、学食も利用可能。オープンキャンパスよりもう一段濃密な体験となっています。「AI データサイエンスセンターでの学び」は、高校生が大学の最新施設を使ってプログラミングを学ぶことができるプログラムで、東京女子大学情報数理科学科の先生が授業を行うことが決まっています。

 また、上智大学との連携では、2018年以来毎年、高校生を対象にした「公募推薦入試説明会」を開催しています。このような年内入試に備えるため、「カンザキメソッド」講座を開設して志望理由書を作成するサポートもするなど、進路への支援体制は万全です。

塚原教頭:「上智大学公募推薦入試説明会は、大学の教育内容や公募推薦制度への備え方をレクチャーしてくださいます。自ら志望動機をまとめるなどハードルは高いのですが、ほぼ毎年、公募推薦で入学する生徒がいます。今年も、高校生約60人が参加しました」

■理系分野への関心を高める高大連携

女子聖学院_今年度から、芝浦工業大学と高大連携協定を締結。「サマーインターンシップ」でロボット研究をする生徒の様子
今年度から、芝浦工業大学と高大連携協定を締結。「サマーインターンシップ」でロボット研究をする生徒の様子

 近年、注目が高まっているデータサイエンス教育へのアプローチも充実しています。
 この7月には、武蔵大学国際教養学部の東郷賢教授が同校14名の中高生を対象にデータ分析の出張授業を行いました。統計ソフトであるRStudioを使用して実際に分析するという初めての体験に、生徒たちは興味津々だったそうです。
 芝浦工業大学とは今年度から「サマーインターンシップ制度(研究室での研究)」に高3生(理系)が参加し、研究体験をすることができるようにもなりました。

女子聖学院_7月末、女子聖学院と聖学院の生徒を対象に、武蔵大学の教授による「情報」の授業が行われた
7月末、女子聖学院と聖学院の生徒を対象に、武蔵大学の教授による「情報」の授業が行われた

 さらに今年度から、東京電機大学の石川潤教授のロボット・メカトロニクスの研究室で学ぶ機会もできました。これは、同研究室に進んだ女子聖のOGが飛び級の5年で修士を収めるという、大変優秀な実績を残したことがきっかけで実現したのだそうです。
 こうしたOGたちの実績に加え、先生方が各大学との連携を進めてきた結果、上記の大学のほか、青山学院大学、国際基督教大学など多くの大学と指定校推薦制度を結んでいます。

塚原教頭:「こうしたさまざまな大学との繋がりは、生徒の視野を広げ、学ぶモチベーションを高める役割を果たしています。本校の進路は、『学校での学び』『大学との連携』『講座と面談』『一人ひとりの希望』の4つが合わさった結果なのです」

■「信頼できる仲間」×「志高く」×「自律」×「一生懸命やり抜く」

女子聖学院_青・紅・黄の3色対抗戦で行われる運動会。上は、青組の熱量マックスの応援ダンス
青・紅・黄の3色対抗戦で行われる運動会。上は、青組の熱量マックスの応援ダンス

 同校での6年間は、4つの「できる」を実現するための時間と言えます。その4つとは......。
 第一に、「信頼し合える仲間ができる」。
 第二に、「仲間と良い刺激を与え合い、志高く自分の目標を見つけることができる」。
 第三に、共に歩むなかで、「自分を律し、タイムマネジメントが上手になる」。
 そして第四に、一緒に一つのものを作り上げる場面が多い環境のため、「一生懸命、120%やり抜く」姿勢が身につく。
 これらはいずれも、社会人として必要な力です。「信頼できる仲間」と手を結んで「志を高く持ち」、それぞれが「自律しながら」、共に「一生懸命やり抜く」。卒業後のキャリア形成においても、その後の人生においても、女子聖学院の生徒たちはこの4つの掛け算によって「じぶんを叶える」人になっていくに違いありません。

東邦大学看護学部との高大連携協定締結!

 近年は、全体の2割の生徒が医療分野を志望するなど、同校でも理系への関心が高まっています。そうしたなか、東邦大学看護学部との高大連携協定が実現しました。20年以上前から、東邦大学看護学部には多くの卒業生が進学しており、東邦大学系列の病院で働いていますが、大学側の追跡調査によれば、系列病院で看護師となった同校の卒業生で、退職した人が一人もいないのだそうです。看護師の仕事は激務ではありますが、「神を仰ぎ人に仕う」精神をもつ女子聖の卒業生なればこそ、と言えるのではないでしょうか。この協定により、同校の生徒たちは東邦大学看護学部の充実した医療教育環境を活かした、専門知識と実践力を身につける絶好の機会を得ることとなります。

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