学校特集
昭和学院中学校・高等学校
"当事者"として、自ら考え、行動できる 人材の育成を目指す昭和学院の中高一貫教育!!
江戸川を挟んで東京都と向かい合う千葉県市川市。かつてはこの町の自然と文化に魅せられ、著名な作家や画家、音楽家などの文化人が居を構えた土地として知られています。昭和学院がその一角に誕生したのが1940年。
以来「明敏謙譲」の校訓のもと、明朗にして自主性に富み、品位高く個性豊かな多くの人材を輩出してきました。70周年の2010年には新キャンパスも完成。淡いオレンジ色を基調とした校舎と、青々とした芝生に囲まれたその学び舎は、市川市の「景観賞」を受賞するほどのデザイン性と自然にあふれています。
こうした恵まれた環境の中、生徒たちの「青春のとき」をバックアップする教務副部長の園家誠二先生にお話を伺いました。
中1から「特進クラス」を新設。
英語は習熟度別で丁寧に指導
昭和学院中学校高等学校は2010年の新キャンパス完成、2012年の新カリキュラム導入、そして2015年の「中1からの特進クラス導入」と次々と改革を断行し、今春には多くの受験生から注目を集めました。教務副部長の園家誠二先生は「昨年まで中3から設置されていた特進クラスを、今年度からは中1スタートに改めました。生徒数は29名、男女比は4対6で女子の方が若干多い編成となっています。一般クラスとの違いは教科書、教材、授業の中身です。教科によっては進度も少し早めに設定しています」
英語は週に7時間。この教科は入学時点で生徒の学力に大きな差があるので、時期を限って習熟度別に分けたり、一緒に指導したりと臨機応変に対応しているそうです。
また昭和学院では「状況や生徒の発達段階に配慮して生徒と教員の距離感を適切に保つことを常に心がけて指導に当たり、生徒の成長をより大きなものにしています」と話す園家先生。
「休み時間や放課後、ラウンジや廊下で生徒が教師をつかまえて、質問している姿を良く見かけますが、これが本校の日常的な風景です。教員は生徒たちが納得するまで、長時間向き合い、ときには資料探しに奔走します。自分でいうのも変ですが、本校の教員たちは本当によく働いていると思いますよ(笑い)」
中1から特進クラスを設定することで、中高6年間を計画的に活用でき、きめ細かなプログラムと学習指導が可能となりました。そのことは、生徒たちの将来の道を広げることにもつながります。
特進クラスと言っても決められたレールの上を黙々と勉強するクラスではありません。むしろそれまで乗ってきたレールを外し、自分から考えて、勉強していけるように育てることが真の狙いと園家先生は言います。まだ始まって半年が経過したところですが、特進クラスの生徒たちは熱心に部活動や学校行事に取り組んでいるそうです。
想像力を育て、他者とのコミュニケーションをスムーズにする朝読書
昭和学院の目指す教育は「知・徳・体」のバランスの取れた人材を育む"全人教育"。思考力を伸ばし、豊かな人間性を育むために、同校では以前より読書指導にたいへん力を入れています。読書を習慣化するために、中学校では毎朝8時から20分間、朝読書の時間を設置。高校でも1学期と2学期にそれぞれ2週間ずつ、同じ時間帯に朝読書をしています。 中1では、ジャンルを問わず各自が読みたい本をひたすら読み進めます。さらに成長に応じてクラスや学年でテーマを決めて読むようにすると、友達と意見を交換することもでき、読書が一層楽しくなります。
「現代の子どもたちの多くは、自分のこと、仲がいい子、家族のことくらいまでは関心がありますが、クラスで起きたこと、学校で起きたこと、地域や社会で起きたことには関心が薄いのが現実です。つまり"他人事"で済ませてしまう風潮が色濃くなっているのです。こうした環境下ではいじめも起きやすい。生徒たちにはいろいろなことを体験して、さまざまな人に出会い、心を豊かにしてほしい。そのためにも言葉を通して思考力を高め、感性を豊かにする読書を本校では推奨しているのです」(園家先生)
新キャンパスのメディアセンターには6万冊を超える書籍が用意され、図書館員も3名が配置されています。本の選定に迷った時のため、オリジナルの学校推薦図書百選「読書の旅、羅針盤」も発行されています。
また関連行事として「ビブリオバトル」も定期的に開催されています。
「簡単に言ってしまえば、面白かった本を友達同士で紹介しあい、誰の説明が一番おもしろく、その本を読みたくなったかを競います。最初はクラス単位で、最終的には全校生徒約360人の前で推薦する本のプレゼンをします。中1の生徒でも聴衆の前で驚くほど堂々と熱く語り、我々教員たちもついつい引き込まれるほどのプレゼン力に驚かされています」(園家先生)
昭和学院の生徒たちは、朝読書で鍛えた読む力、感動する心、表現力に磨きをかけ、これからのグローバル社会に必須となる「コミュニケーション能力」を着実に育んでいるようです。
朝読書の成果をここで発揮!
「ビブリオバトル」では
お気に入りの本をプレゼンします。
自主的に学んで、夢に向かって「逆算」できる生徒に!
昭和学院の教育には、生徒たちが自学自習の意欲を高めるための工夫が随所に施されています。その取り組みのひとつが「学習自己管理ノート」です。親に、学校に、塾に管理されて勉強するのは小学校時代まで。自ら抱く夢の実現のためにも、中学生からは自主的な学習姿勢が必要になります。
「多感な思春期の子どもたちには、現実的な目標だけではなく、もっと大きな"果てしない夢"を持ち続けてほしいと思っています。大人になれば、多くの壁にぶつかり、現実とのギャップにもがき苦しむ時が必ずくるのです。生徒たちにはまだまだ考える時間もチャンスも豊富にあります。夢の実現に必要な段取りを「逆算」して考え、今やるべきこと、準備すべきことを想像の中で描ける生徒に育ってほしいと願っています」(園家先生)
「逆算」して自らの行動目標を具体的に考えられるようになれば、夢がグンと近づいてきます。目先のつらいことでも、それをやらないと夢にたどり着けないとわかれば、耐えられるのが必然です。
「学習自己管理ノート」はこうした夢の実現のための日々の積み重ねです。たとえ夢が叶わなかったとしても、このノートの記録こそが、生徒たちの成長の証であり、次の夢へのステップとなるのです。
2010年に新築された未来型創造キャンパスにも、メディアセンターをはじめ、コンピュータ室や英語CALL教室、プラネタリウム、テーブルが配置されたコミュニケーションスペースなど、機能性が高く、学びへのモチベーションを刺激する快適な空間が整えられています。「夢の実現」に向けた第一歩は昭和学院から。同校ではハード・ソフト両面から生徒たちを全力でサポートしていきます。
"プラネタリウム"
当事者になって輝ける部活動や学校行事
昭和学院は部活動が非常に盛んで、全国レベルで活躍するクラブも多数あります。中学校は運動部12、文化部16、同好会9。学年が違う生徒たちとひとつの目標に向かって努力する点と、"縦のつながり"を理解し、コミュニケーション力を高めるうえでも、中高教育においてはなくてはならない存在、それが「部活動」と言えるでしょう。同校の文化部では高3と中1が一緒に活動することもあります。年齢差はじつに6歳。しかもこの時期の6歳差は大人のそれとは大きく異なるのです。考え方の相違に、対立することも多々あるでしょう。それをどう乗り越えるか、それも貴重な体験と園家先生は言います。
「中1でもその部活動を動かす大切な当事者です。当事者としてどれほど深くかかわれるかで部活の楽しさも変わってきます。今の子どもたちは、何かしてもらうことに慣れてしまい、本人自ら行動しない。足りないのは"当時者意識"ではないでしょうか。
文化祭で活躍した、部活で良い成績を残した、ビブリオバトルで熱く語ったなど、学校生活のあらゆる場面で関わり、当事者になることが自信につながるのです。教師の役割はそうした活躍の場をどれだけ提供することができるのか。それはリーダーシップのみを育むというだけではありません。社会は少数のリーダーとそれを支える多くのフォロワーで構成されています。この大多数のフォロワーがいるからこそ、世の中は『良い社会』『良いクラス』になり得るのです。本校では"当事者意識"を常に持たせることで、リーダーシップや"フォロワーシップ"を育んでいきたいと思っています」(園家先生)
昭和学院には体育祭、文化祭、宿泊訓練、修学旅行などの行事が豊富に用意されていますが、その多くが生徒たちの企画・運営で行われています。つまり昭和学院の教育には常に生徒一人ひとりが"当事者"となるための仕掛けが施されているのです。
国際化教育で新しい世界への道を示す
英語と文化を学ぶカナダ語学研修。
千葉県内でも早い時期から海外教育研修を始めるなど、以前より国際教育にも力を入れてきた昭和学院。 ボーダーレスな世界への視野と見識を広げるための"実践英語"を主軸とした英語教育が充実しています。中学校では週6、7時間を設定し、そのうち1時間はネイティブと日本人教員による「ティーム・ティーチング」を実施しています。「英語CALL教室」では1人1台のパソコンが使用可能で、自分の発音と正しい発音の波形を比較できるソフトや、外国映画を教材とできるソフトなどが完備され、リスニング力の向上をはじめとした、実践的な英語力の育成に活かされています。
また生徒全員がインターネットを利用した英検学習教材のIDを持ち、ネットを通じて自宅にいながら英検の勉強ができる環境が整えられています。
このように日頃から"英語"に触れる機会が多い昭和学院では、当然、海外に興味を持つ生徒が多く、高1の夏休みには希望者を募って、3週間のホームステイによる海外教育研修会を実施しています。今年で32回目を数えるこの研修は、異文化体験、自立の機会づくり、語学研修を目的としており、今年も40名がカナダのバンクーバーへ旅立ちました。
「私が初めて引率したのは17年前です。その時はアメリカのサンフランシスコでしたが、私も生徒たちも現地の人たちと暮らす中で、日本人が当たり前と思っていることがそうではないということを痛感させられました。想定外の出来事に何度も遭遇し、大人の私でさえ人生観が変わるくらいの経験をしました。多感な時期の生徒たちにとって、この体験がどれほど大きなものかわかります」(園家先生)
自分の発音を確認することができます。
同校の海外研修では、まず生徒たちに異文化体験をさせ、自分の殻を崩してから、世界を押し広げることを目指します。もちろん英語で自分の思いを伝えることに越したことはありませんが、生徒たちの語彙力や表現力には限界があり、思うように相手に伝わらず、歯ぎしりする場面が多かったとか。でもいざとなれば紙に書いたり、ボディランゲージを交えたりして乗り切っているそうです。
「一昨年引率したときの生徒のひとりが『言葉がうまく通じなくても、同じ人間である以上通じないことはない、ということが心の底からわかった』と言っていました。これは単純なことですが、すごい発見なんです」と園家先生。この体験を通して、お互いを理解することの大切さ、コミュニケーションツールとしての英語の効力を再認識します。同校の生徒たちはこの研修を契機に、英語に対する意欲的な学びを一層深めるそうです。
大学入試改革に対応した情報化とアクティブラーニング
「調べ学習」の総合基地!
2010年に完成した新キャンパス「未来型創造キャンパス」には最新機器を活用した施設が整っています。コンピュータ室には生徒が調べ学習などで自由に使えるPCがあり、英語教室にも一人1台のPCと電子黒板が設置されています。 「現代の中学生、高校生を取り巻く教育環境は大きく変わりました。これまでは教員自身が経験し、身に着けてきたことを子どもたちに教えることが常でしたが、これからは教員自身が経験していないことを教え、新しい時代に必要な"生き抜く力"を育てなければなりません。これは今までの教育には類をみない、特殊なミッションと言えるでしょう」(園家先生)
IT社会の発展とともに育ってきたデジタルネイティブの生徒たち、今後もPCやタブレットを駆使しながら、学力を磨いていくことでしょう。たしかにPCはマニュアル通り、つまりレールに乗って操作すれば、一定の成果は必ず得られます。しかし園家先生は「便利な世の中になりましたが、いずれは生徒たちもレールの上に乗ったままでは解決できない問題に直面します。その時がきたら、当然自分で考え、判断しなければならないのですが、デジタルネイティブと言われる現代の子どもたちには、その能力が不足しています。そこで文科省はICT教育(情報通信技術を活用した教育)とアクティブラーニング(能動的学習)を推奨し、問題解決能力や思考力の向上を謳い、2020年の大学入試改革にまでつなげました。思えば昔の子どもたちは、遊びを通じて何が安全で何が危険かを学び、自ら道具やルールまでも作って遊んでいました。当然、携帯電話やスマホもありませんから、年頃になれば必死になってラブレターを書いていましたよね(笑)。
そういう意味で昔の子どもたちは、自然にアクティブラーニングに取り組んでいたんだと思います」と利便性がました現代社会に警笛を鳴らします。
2020年から大学入試センター試験に代わって、「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)が始まります。これは受験生の思考力、判断力、表現力等を中心に評価し、各大学の個別試験では主体的に学習に取り組む姿勢も評価の対象になると構想されています。
昭和学院ではこうした新しい大学入試に向けた取り組みを全力で推進していきますが、昭和学院が育てたい、心と体のバランスの取れた生徒像は創立当初から変わることはありません。それは50年後も100年後も同じことです。その確固たる全人教育と、21世紀にふさわしい教育環境のすばらしさは、実際に学校を訪れ体験してみてください。