学校特集
聖学院中学校・高等学校
昨年、一昨年と人気上昇中の聖学院。その勢いが止まりません。2015年入試では、ついに志願者数が1000名を超えて、1124名(定員170名)に上りました。新年度を迎え、6月の第1回学校説明会参加者は前年比120%。次第に増えて行くのがここ最近の傾向で、7月のプレミアム説明会は前年比180%と軌道に乗っています。
「私どもがお子さんをお預かりするのは、BoyからManに育つ時期。Manでも、優しさと強さを兼ね備えたGentlemanに育って欲しいという教員の熱い思いが、綿密な教育プログラムにより実現し、骨太の男子が育っているところに魅力を感じていただいていると思う」と語る副校長・清水広幸先生に、聖学院が取り組む教育について伺いました。
聖学院中学校・高等学校は、アメリカの宣教師H・H・ガイ博士が1903年に設立した神学校を母体に、 1906年に設立。創立以来「Only One for Others(オンリー・ワン・フォー・アザーズ/他者のために生きる個人)」の理念に基づき、自分らしさを尊重するとともに、他者を生かす共生の精神を育み、キリスト教に基づく『人間教育』『学習指導』『体験学習』を教育の3本柱に、グローバル化が進む社会で活躍できる男子の育成に取り組んでいます。近年、難関大学、および海外大学へも進学者を多数輩出し、大学進学実績の面でも大きな注目を集める中高一貫校です。
中学1年生は『大切なキミ』をテーマに、一年間を通して命の大切さや人間関係を学び合う
聖学院が大切にしている教育について教えてください。
清水先生:教育の3本柱である『人間教育』『学習指導』『体験学習』に、積極的に探究学習を取り入れるとともに、探究学習に必要な知識を構築するためのプラクティス(反復学習)に力を入れています。その背景には社会の流動性があります。子どもたちが10年後社会へ出た時に、なくなっている職業があるかもしれません。求められる力も変わっているかもしれません。そういう社会の変化に対して柔軟に対応し、生きていく力を育むことが、私ども中等教育を担う者の役割です。
そこで、中学1年生からアクティブラーニングを取り入れています。その一つが、中学1年生が総合的な学習として、週1時間取り組む、L.L.T.(Learn Live Together/共に生き、共に学ぶ)という聖学院独自の授業です。毎朝の礼拝を通して、人は皆、かけがえのない命と賜物(才能)をもって生まれてきていることを伝えますが、L.L.T.でも「大切なキミ」をテーマに、一年間を通して命の大切さや人間関係を学び合います。「なぜこの世に生まれてきたのか?」「なんのために生まれてきたのか?」「これからどのように生きていくのか?」そのようなことをグループで考え、意見を交わして、まとめた意見を皆の前で発表します。クラス内での共有を積み重ねていくことで、互いの個性を尊重し、学び合いができる環境ができていきます。
すぐに和気あいあい♪
≪事例≫
自分が生まれてくる確率を計算します。自分を起点に十世代ほど逆さかのぼり、生まれる確率を計算すると、数字の大きさに驚かされます。一人でも欠けていたら自分はこの世に存在しかった。そう考えると、命がどれほど尊いものかがよくわかります。
思春期の多感な時期。悩まない子はいない。
だからこそ自己肯定感を育むことを大切にしている。
中学1年生で、命の尊さや個性があることをクラス内で共有できるのはいいですね。
みんなで呼吸を合わせて「せ~の」。
清水先生:昨年は、養護教諭が妊婦さんだったので、「お腹の中に赤ちゃんがいて、動くんだよ」という実感も交えながら、話をしました。お母さんは10ヶ月もの間、お腹を大事にかばって命がけで赤ちゃんを産みます。そして自分が休む時間を惜しんで、おっぱいをあげ、おしめを取り替えて、成長を見守ります。自分だけで大きくなった子どもなど一人もいません。そうして大事に育てられてきたことを、母の気持ちで養護教諭が伝えると、男の子は黙って聞いています。
男性は子どもを産むことができませんから、「お母さんはすごいな」と思うでしょう。そして段々と自分の思い出を思い出します。叱られた思い出もありますが、そういう時に思い出すのはすべて良い思い出です。病気の時に、お母さんがおいしいものを作ってくれた。熱を出した時に氷枕を作ってくれた。せきが酷い時に背中をさすってくれた。夜中にふと目をさますと、お母さんはまだ枕元にいて、看病してくれていた。そのようなことを思い出す中で、自分はお母さんに愛されている。お父さんに大事にされているという思いが蘇り、自分も自分のことを大事にしなければならない。同時にお父さん、お母さんも大事にしなければならないという思いを持ちます。
私たちがお子さんをお預かりするのは思春期の多感な時期です。誰もが自分のこと、親のこと、友達のこと、将来のことなど、さまざまな悩みに直面します。それは避けられないことなので、聖学院では、毎朝の礼拝をはじめ、さまざまな場面で自己肯定感を育むとともに、人は、成績など一つのものさしだけでは計り知れない、本当にかけがえのない存在であることを伝えていきます。そしてお父さん、お母さんがいる、友達がいる、先生がいる。そしてわたしたちの前にはキリスト教の神様がいらして君を守ってくださるから、一人で悩むことはないと伝えていきます。
高2の「沖縄平和学習」
多くの語り部からの話を通して戦争の愚かさ、
平和の大切さを学びます。
アクティブラーニングを実りあるものにするために、
反復学習で基礎学力もしっかり構築
プラクティスは、どういう学習ですか。
清水先生:L.L.T.は、探究学習を通して聖学院に居場所をつくり、友達関係が豊かになることを目的に行うと同時に、アクティブラーニングの下地をつくっています。アクティブラーニングを実りあるものにするためには、生徒と生徒、生徒と教師の関係ができていなければいけません。基本的な知識も必要です。そこで、プラクティス(反復学習)を行っています。わかりやすく言うとドリル学習です。剣道では型が大事と言われますが、学習にも型が必要です。中学3年間、プラクティスに取り組み、基礎学力が構築されると、子どもたちはその知識を活かして、思考したり、判断したり、表現したりできるようになります。そうした力が社会で求められていますから、毎日90分から120分程度の課題を出して、学力のベースとなるところをしっかりと構築します。課題を出すことにより、生徒に一定の負荷がかかりますが、「学びが楽しい」と言っています。生徒自身が学びの目的を理解し、必要性を感じて取り組んでいるので、自ら学ぶ姿勢ができてきていると思います。
合わせて、中学2年生、3年生の体験学習にもアクティブラーニングを取り入れて、話し合う⇒意見をまとめる⇒発表するという経験を重ねています。中2の夏期学校では北アルプス登山をします。テント生活をしながら、標高約2700mの北アルプスの蝶ヶ岳に登るため、限られた生活環境への対応が求められます。そこでPBL(Project-Based Learning 課題解決型学習)というアクティブラーニングを用いて、全員が無事に登頂するにはどうすべきかを話し合います。10〜15人のパーティごとに役割分担をし、皆で協調して登るための方法を考えるのです。当日は夜明けとともに起きて、標高差1000mの山登りに挑戦します。体力のない子はへばって遅れがちになりますから、協力し合わなければやり遂げられません。頂上から穂高連峰を望む景色は雄大で心に残りますが、それ以上に全員が無事に下山できた時の達成感は大きく「やればできる」という自信とともに、仲間との絆を深めています。この貴重な体験を11月2日(月)・3日(火・祝)の記念祭(文化祭)で発表するため、2学期に入ると生徒たちは再びアクティブラーニングを行い、意見交換をしながら見事に形にしていきます。
テント生活も体験します。
中3の農村体験学習でも、L.L.T.の一環でアクティブラーニングを行います。農作業を体験することはもちろん、現地農家にホームステイし、そこで暮らす方々と触れ合うことを目的としていますので、アクティブラーニングでは初対面の農家の方とどうかかわり、交流を深めていくかということもテーマになります。どんな話題が拡がるのかをシミュレーションすることで、現地でも活発にかかわる姿が見られます。
「クエストカップ」でグランプリを受賞!
教育理念の「Only One for Others」を地でいく提案に感激!
清水先生:アクティブラーニングは生徒主体で問題を発見し解を求めていく力を育みます。一つの成果として発揮されたのが「クエストカップ」です。「クエストカップ」は実在する企業が出すミッション(課題)に取り組む探究型プログラムです。本校では、中3の社会科の授業を1時間を充当して、1年間にわたり取り組んでいます。4人1組で課題解決に向けたブレンストーミングを重ね、意見をまとめてプレゼンテーションします。
昨年度は、テーブルマーク社からの「20年後の飢餓をどう救うか」という課題に取り組み、代表作品を「クエストカップ」全国大会に出品すると、見事グランプリに輝きました。「UDON」というチーム名からわかるように「うどんを用いてアフリカの飢餓を救う」というプレゼンテーションをしました。一人が「アフリカの飢餓のもととなる原材料を奪っているのは、僕たち先進国である。経済力にものをいわせて買い占めているにもかかわらず、日本では買ったものをすべて食べずに、およそ3分の1は残飯にしている。飢餓に苦しむ国の責任は僕らにもある」と主張。続く一人が「その人たちになにかしなければいけないということに気がついた。自分たち先進国が飢餓に苦しむ人たちに何かをするのは当然だ」と主張しました。この考え方は、本校のスクールモットーである「Only One for Others」と一致します。彼らの提案は、フェイスブックやSNSなどを使い、全世界にテーブルマーク社のうどんを発信し、見た人からお金を集める。そのお金を使い、飢餓に苦しむアフリカの子どもたちに学校給食としてうどんを出す。食べた子どもたちが大人になったら、現地にうどん工場を建てて、そこでうどんを作ってもらう。つまり雇用を生み出すというものでした。
この提案が、テーブルマーク社の課題に取り組んだチームの中でグランプリに輝きました。自分たち先進国が飢餓に苦しむ人の食料を奪っているという視点と、どう救うかというところで、雇用を生み出し循環させていくというアイデアが他になく、受賞に至ったそうです。
後日、4人の生徒がテーブルマーク社を訪れ、社長様の前でプレゼンテーションを行うと、大変感激してくださったそうです。アクティブラーニングの成果が、学外で認められたことも嬉しかったですが、日々伝えている「Only One for Others」の精神が彼らの心に宿り、自分たちが食料を奪ってしまったことの責任と、その人たちのために何かしたいという視点をもてたことが一番嬉しいことでした。
タイ研修旅行では北部の「メーコックファーム」を訪問!
社会奉仕活動を通じて現地の人々と触れ合います。
中高時代は子どもから大人に変わる大事な時期。
だから心の価値観と人間力を鍛える体験が不可欠。
糸魚川の農村体験は30年の歴史があります。新しいものと、長年続けてきたものが融合して、今の聖学院の教育があるのですね。
清水先生:私どもは生徒が社会に出た時に、どんな大人になっているか。そこを想定して教育をしなければなりません。適応能力があり、周囲と協調しながらも、リーダーシップが取れる男性に育ってほしいと願っていますが、そういう男性に育つためには中高時代に養うべきことが2つあると考えます。1つは心の価値観です。聖学院ではキリスト教を通して人間を理解し、人間を大事にするという価値観が育ちます。もう1つは体験です。学校でできる体験は2つに大別できます。1つは教員が意図をもって行う計画的な体験です。夏期学校で山を登らせる。糸魚川へ連れて行き、農家にホームステイして農作業を手伝う。沖縄の平和学習やタイ研修旅行で農村部へ連れていくなどの学校行事がこれにあたり、教室の中で培うことが難しいダイナミックな人間力を培います。もう1つは偶発的な体験です。これは友だち同士や先生と生徒、あるいは先輩と後輩など、人間関係におけるさまざまな体験です。社会にはいろいろな人がいるので、学校の中にもいろいろな仲間がいてほしい。いろいろな教師がいてほしい。厳しい先生に対して、どうすればわかってもらえるのかと頭を悩ませることも、彼らが大人になるための大事な体験だと思います。
本校では、体育祭を中高別に行いますが、高校の体育祭は、教師はまったく手を出しません。8年前から生徒に任せて、3年前から準備にアクティブラーニングを取り入れています。すると、騎馬戦や棒倒しなど、危険が伴う競技がフェアプレーになりました。教師が仕切っていた頃は、けが人や反則があったのですが、生徒が仕切り、生徒が審判を行うようになると、反則がなくなったのです。その理由は、大勢の生徒が群がる中で起きていることが、生徒にはわかりますが、教師にはわからないということです。これは肝に銘じなければいけません。
記念祭(文化祭)も11月2日(月)3日(火・祝)に向かい、PBLで10ヶ月くらいかけて準備をします。テーマを決めて、いつまでに何をするかを話し合い、パートリーダーのもとで計画書を作り実行します。うまく行くに越したことはありませんが、時にはうまく行かなくてもいいのです。社会は計画性と多くの人との協同作業により成り立っていますから、生きる力につながる経験になると思います。
学校は、社会に出る前にたくさん失敗をし、たくさん体で覚える場です。アクティブラーニングを通してPBLに取り組む本校にとって、2020年の大学入試改革はありがたいと感じています。知識を問う入試問題から、3つの学力(①基礎的知識・技能の習得 ②これらを活用して課題解決を図る思考力、判断力、表現力の育成 ③主体的に学習に取り組む態度)や思考力を問うような入試に変わっても、私たちは慌てることなく、今やっていることをさらに深め、進化させて、生徒一人ひとりの希望する進路の実現に向けてサポートしたいと考えています。
今年で30年目を迎える「糸魚川農村体験」!
田植えや植林など、都会では得られない
貴重な体験をします。
お母さんは息子さんに対して「なにやってるの」「早くしなさい」「ダメじゃない」と、つい否定語を使ってしまいます。よりよく育てたいという親心であることはよくわかりますが、思春期に入ると、子どもは自分でやることを自覚しながら大きく変わります。BoyからManになるのです。
そのManが、できればGentlemanになって聖学院を卒業して欲しいと願っています。Gentlemanとは弱い人を助けられる人です。社会で活躍することも大切なことですが、女性に対してはもちろんのこと、助けを必要としている人に目を向けて行動出来る優しく強い男性になって欲しいと願い、日々の学校生活に取り組んでいます。ぜひ一度本校にお越しください。そして、聖学院の教育や雰囲気を実感してください。皆様との出会いを心待ちにしております。
入試が変わり、受けやすくなります
◎午後入試の終了時間が18時までになります。 ◎理科、社会が理社で50分の試験となり、配点も50点・50点になります。 ◎ネット出願を実施。入試直前の出願が可能になります。