学校特集
東京女子学園中学校高等学校
生きる力を磨こう!
東京女子学園は、都営三田線「三田駅」から徒歩約2分、JR「田町駅」から徒歩約5分。まさに東京の中心地で、113年にわたり女子教育を行ってきた伝統校です。「教養と行動力を兼ね備えた女性の育成」を建学の精神に、女性として「いかにより善く生きるか」を考え、それを実践する教育プログラムは、グローバル社会と言われる今も揺らぐことはありません。
「なぜなら、これからの社会を豊かに生きるために必要な力を育むPIL(生徒が教え合う授業)やPBL(問題解決型学習)を、これまでも当たり前のように行ってきたからです。すべての教科でディスカッションやプレゼンテーションを行う学習環境で、しっかりと自分の考えをもつ生徒が育っています」そう誇らしげに語る校長補佐の辰巳順子先生に、東京女子学園の教育を話していただきました。
グローバルに考えて行動する
「地球思考」に磨きをかける6年間
辰巳先生:本校の建学の精神は「教養と行動を兼ね備えた人の育成」です。知識を身につけることは大切ですが、それを社会のため、人のために役立てなければ意味がないと、明治36(1903)年から言い続けてきました。いま盛んに「アクティブラーニング」という言葉が行き交っていますが、これは身につけた知識を活用すること。つまり本校は、アクティブラーニング歴113年の学校なので、「地球思考」〜グローバルシンキング〜というキャッチフレーズのもと、これからの社会を生きるために必要な力を育むことを目標に、すべての教科で「アクティブラーニング」を計画的に行っていきます。
≪具体例≫
【社会科のアクティブラーニング】
①「あなたが安土城を作るとしたらどこに作りますか。その理由も書きなさい」
▼戦国時代の群雄割拠の状況を確認する
▼琵琶湖周辺の地図で、京都につながる経路や琵琶湖周辺の地形を確認する
▼以上の状況を参考に各自で安土城を建築する場所を決めて、その理由を手短にまとめる
▼グループに分かれて、各自の場所とそこにした理由を伝えて話し合う
▼考えをまとめる上で、どこにでも張ることができる「どこでもシート」を使い意見をまとめる
▼発表する
辰巳先生:戦国時代を勉強した後に、このようなアクティブラーニングに取り組むと、「武田、毛利はこういう状況」「地形はこう」など、知識があふれ出て、議論が盛り上がります。アクティブラーニングを実りあるものにするには、生徒の知識を引き出すトリガークエスチョンが重要です。
②「江戸研究」
▼グループを作り、テーマを決める
▼夏休みの課題として、テーマについての下調べをB4の用紙にまとめる
▼各グループで課題を持ち寄り、研究活動を行う
▼大きなパネルに展示できるように研究成果をまとめる
▼各グループがさまざまな方法で、研究成果を発表して質問を受ける
辰巳先生:この研究は半年かけて行います。テーマは江戸時代の人々の生活を各方面からクローズアップするもので、武士の生活、町人の生活、江戸の町割り、子どもの遊び、年中行事など多彩で、詳しく具体的に調べて発表しています。
【美術のアクティブラーニング】
「アートボックス」
▼社会に対するメッセージを書く
▼そのメッセージをどう表現するかなど、常に教師と話し合いながら、箱の中にオブジェをつくる
辰巳先生:玄関にたくさんの作品を飾っていますが美術はもっとも熱心にアクティブラーニングを行っている教科の一つです。
【家庭科のアクティブラーニング】
「お弁当づくり」
▼プランを練る
▼お弁当をつくる
▼コンクールに出品する
【英語のアクティブラーニング】(英語は授業自体がアクティブラーニングですが、いろいろなプレゼンがあります。)
「東京オリンピックボランティアガイド・プログラム」
▼浅草を取材(写真撮影、調べる)
▼浅草寺のいろいろなお堂や仏像、仲見世の魅力を「おもてなし」の心を持って自分の言葉でネイティブの先生に説明する
辰巳先生:雷門の風神像、雷神像、提灯、仲見世、香炉の煙、浅草寺の観音様、浅草寺の由来、いろいろなお堂など、現地で取材してきたことを、ネイティブの先生に写真を見せながら英語で紹介しました。 授業ではディベートやディスカッションを増やしていきたいと考えています。給食の是非など、生徒にとって、言いたいことがたくさんある話題を選び、英語でも活発な意見交換ができるようにしていきたいです。
【国語のアクティブラーニング】
「坊ちゃんのその後」
▼作品を読む
▼坊ちゃんのその後を自由に考え、グループ内で意見交換する
▼発表する
【その他のアクティブラーニング】
理科の「環境問題の発表」
体育の「創作ダンス」など多数
朝と放課後のアクティブラーニング
『朝読解』と『eトレ』
辰巳先生:朝のホームルームの時間(15分)を活用し、全学年が『朝読解』に取り組んでいます。集中力、読解力、思考力の養成を狙いとし、毎朝、1つの新聞記事、あるいは社説などを読み、学年に応じて課題にチャレンジしています。卒業生によると、大学入試の小論文はこの『朝読解』が役に立つそうです。『朝読解』で「自分の意見をもち、表現できるようになった」という声をたくさん聞きます。
【高3のアクティブラーニング】
▼4人グループで社説を読み、どこに線を引くか決める
▼題名を書き、要約して、まとめる
▼賛否やその理由を「どこでもシート」に書いて貼る
▼他のグループの考えに対して意見を出し合う
▼発表を聞いた後にグループで再度議論し、結論を大きい紙に書いて貼る
辰巳先生:『eトレ』は、放課後、スタディ・ホールで行う自学自習です。中1〜高1が対象で、一人ひとりが好きな教科、レベルの問題を選び、学習します。合格すると次のレベルの問題が出てきます。得意科目の演習問題を20〜30枚やる生徒もいれば、担当の教師がいるので、不得意な科目を中心にやり、わからないところは聞いて理解するというスタイルで取り組む生徒もいます。自学自習なので、これもアクティブラーニングです。クラブ活動がない日に活用する生徒が多く、とても熱心なので下校時間を17時半から18時に延長しました。
楽しくなければ英語じゃない!
コミュニケーションできる本物の英語力が身につく
辰巳先生:社会で役立つ英語の力をしっかり育てることを目標としています。英語を好きになってほしいので、iPadやDSを使い、楽しみながら学ぶ授業をモットーに、自然と英語が体に入っていくような工夫をしています。もちろん文法事項の説明など椅子に座って先生の話を聞くこともありますが、生徒が歩き回り、走り回り、時にはハイタッチをしながら基本文を言い合うような授業も織り交ぜています。
英語が日常語として身につく大きな要因は、中1〜高3まで、すべての授業で、日常の話題を話す『デイリー・カンバセーション』を行っていることです。制服・校則・自分の将来など、生徒の興味ある話題を話し合う『トピック・カンバセーション』や、世界の国々の文化、環境、社会問題、観光地などを英語で学ぶ『ワールド・スタディ』など、体型的に学習していきますので、必ず英語を話せるようになります。
『ホームステイ英会話』は、東京女子学園が作ったオリジナルアプリです。iPhoneで『東京女子学園』を検索すれば出てくるので、多くの生徒がこのアプリを活用しています。『英検対策』『TOEIC講座』にも力を入れており、昨年はTOEICで910点(990点満点)が出ました。帰国生ではないので、800点レベルの生徒も刺激を受けています。
このように生徒の英語力が高まっているため、3つの海外研修のプログラムの充実にも力を入れています。1つ目は『セブ島(フィリピン)の英語研修』です。中1〜高2が対象で、春休みの2週間、マンツーマンの授業を受けて過ごします。私も現地を訪問しましたが、先生の発音がよく、なにを言っても優しく包んでくれます。1日に2、3時間はディスカッションやプレゼンテーションなどのグループ学習に取り組む時間も取り入れているため、非常に充実感を味わえます。今年度は28名が参加します。
2つ目は、『シアトル(アメリカ)海外研修』です。1980年から始めて、36年目になります。高1が対象で、夏休みの3週間、1家族1人のホームステイを体験します。午前中は英語の授業、午後はホストファミリーとともに楽しいアクティビティで過ごす充実した内容で、今年度は40名が参加しました。 3つ目は『アデレード(オーストラリア) 海外研修』です。高1 ・高2が対象で、1月〜3月の3ヶ月間、名門高校に通い、そこの生徒と交流しながら授業を受けます。今年度は18名が参加します。 海外研修は精神的な自律を促します。異文化の中でさまざまなことを経験し、日本での暮らしが当たり前ではないことを知るからでしょう。自主的に行動できるようになり、地球思考ができる人になって帰ってくるのが、毎回、楽しみです。
高1が対象のアメリカ海外研修♪
オーストラリアでの海外研修は
高2・3が対象です
一人ひとりが自分らしい一歩を踏み出すために、
自己肯定感を育む6年間
辰巳先生:オリジナル教科書『キャリア・ワークブック』を使い、大学、就職の進路選択だけでなく、どのような人生を生きたいかを考えるのが、本校の『キャリア教育』 です。社会で必要とされる能力を身につけ、将来の夢を具現化し、自分の可能性に挑んでいく強い気持ちを育てます。
その1つが、コア・コンピテンシーの段階別自己チェックです。これからの社会を生きていくために必要な4つの力『キャリアプランニング力』『自己管理力』『自己成長力』『社会把握力』を、さらに8つの要素に分類。それぞれの力がどの程度備わっているかを、6年間にわたり自己チェックし、今後の目標を設定することで、自分の力を客観的にとらえ、足りない力を身につけようと努力することで、「社会に出ても大丈夫。自分らしい人生を歩んでいける」という自信を育みます。また「社会における自分の役割」や自分の「価値観」を認識し、自分の生き方を考え、段階的に将来の目標を自分で考え、実現に向かって計画を立てて取り組みます。勉強の強い動機付けになります。
≪具体例≫
【コア・コンピテンシーの段階別自己チェック】
これからの社会を生きていくために必要な4つの力『キャリアプランニング力』『自己管理力』『自己成長力』『社会把握力』を、さらに8つの要素に分類。8つの要素とはどのようなことかが段階別に記されているシートを使い、自分が当てはまるところにチェックを入れる。例えば「周りの人への思いやり」なら①周りの人の状態がわかる②自分が何をしなければいけないかがわかる③実際に自分は行動しているというように、低いレベルから高いレベルまで、チェック項目が並んでいるので、自分力がわかりやすい。
辰巳先生:自己チェックの後、8つの要素の評価レベルを結んで輪ができるグラフを作ります。中1の輪は小さいですが、6年間かけてだんだんと輪が大きくなります。その変化を見ることで、輪を大きくしようとする意欲が生まれ、輪が大きくなると自己肯定感をもてるようになります。社会で必要とされる力、生きる力が備わっていることがわかるので、自信をもって社会に出ることができるのです。
辰巳先生:中学校では、キャリア教育の前段階として、『自分を知る』『自然を知る』『社会を知る』をテーマに、各学年で行う具体的な取り組みを通して、人の役に立つこと、社会に貢献することの楽しさを味わいます。
≪具体例≫
1年生:〔自分を知る・自然を知る〕・環境問題
・オリエンテーション合宿
・講演会
・環境問題グループ研究発表(起承転結の指導も行う)
・冊子を作る
2年生:〔社会を知る〕・ボランティアの精神
・講演会
・体験ボランティア
・冊子を作る
3年生:〔社会を知る〕・職業調べ
・講演会
・講演会
・職場訪問グループ研究発表
・冊子を作る
辰巳先生:OECD(経済協力開発機構)の調査で、日本の高校生の自己肯定感は約30%と、もっとも低いことがわかりました。自己肯定感は、生徒自身が「できる」という自信を持つことで身につきます。本校では、6年間かけてコア・コンピテンシー、すなわちこれからの社会を生きていくために必要な力を自己チェックし、今後の目標を設定しながら成長することで、最終的に大きな輪にして大学、社会へ出て行くことがキャリア教育の最終目標となります。さらに本校で学んだ大学3年生、4年生を対象としたキャリア・ガイダンスも実施し、就職活動に必要な『履歴書の書き方』『エントリーシートの書き方』『面接の仕方』などの指南も行っています。
マナー・しきたり研修で
基本的な動作を学ぶ
オリジナル作成の礼法の冊子
自分のキャリアを実現する校内予備校
チーム東京女子学園で受験を突破!
辰巳先生:本校では、自分のキャリアを実現するために、放課後、高2・高3を対象に『校内予備校』を開校しています。講義は予備校のプロ講師が行います。伸ばす講義を行いますが、話をただ聞いているだけでは力になりません。復習し、問題を解くことではじめて力がつくので、本校の教師と卒業生が演習を担当。生徒一人ひとりの習熟度をチェックし、相談しながら、必要な学びや受けてほしい試験などを組み込んだ個別のプログラムを作ります。チューターとして日々の学習をサポートする卒業生も、自分の力を後輩のために使いたいと、熱心に指導してくれる人ばかり。学習サポートにとどまらず、受験生ならではの悩みにも対応するなど、力を発揮してくれています。
本校では、「地球思考」〜グローバルシンキング〜をモットーに、創立以来、100年以上にわたりアクティブラーニングを行ってきた実績を活かして、21世紀を生きるために必要な力を育みます。『英語』で夢がふくらみ、『海外研修』や『キャリアプログラム』を通して将来を見つめ、大学受験専門のプロ講師と学園の連携による『校内予備校』でキャリアを実現する、しっかりとした教育プログラムのもと、すべての教科で子どもたちが学び合い、「そういう考え方もあるのか」と友達から刺激を受けて、思考を広げていく6年間が待っていますので、ぜひ本校にいらして、その教育に触れてください。