学校特集
富士見中学校高等学校2024
掲載日:2024年8月7日(水)
西武池袋線中村橋駅から徒歩3分の場所にある完全中高一貫の女子校・富士見中学校高等学校。1940年の学園創立以来、「純真・勤勉・着実」を建学の精神に掲げて歩んできました。教育目標は「社会に貢献できる自立した女性の育成」。日々の学校生活を通じて、生徒の主体性を尊重しています。そんな同校の教育姿勢が垣間見えるのが、文化祭「芙雪祭(ふゆきさい)」です。2024年は9月28日(土)と29日(日)に実施される「芙雪祭」実行委員メンバーの生徒2名と生徒会部主任の先生にお話しいただきました。
生徒のあふれるクリエイティビティと
高い意欲で進化を続ける「芙雪祭」
毎年9月、2日間にわたって行われる富士見中学校高等学校の「芙雪祭」。企画から運営まで生徒たちが担い実施されますが、2024年、実行委員メンバーに名乗りを挙げたのは中1~高2の115名。半年以上前から「芙雪祭」を盛り上げるべく奔走します。現在進めている準備のこと、またその過程で感じるやりがいや成長について、今年の「芙雪祭」実行委員長のS.Nさん(高2)と副実行委員長のS.Hさん(高2)、生徒会部主任の福田修平先生がインタビューに応じてくださいました。
――まずは、S.Nさんが実行委員長、S.Hさんが副実行委員長に立候補した理由を教えてください。
S.Nさん:私は中3の時にも「芙雪祭」実行委員長の経験があり、実行委員長を務めるのは2度目です。文化祭=楽しむもの・お祭りというイメージがあると思いますが、準備の過程では、生徒同士や先生との間で意見の相違があったり、自分とはまったく異なる視点で相手から指摘されたりすることがあります。中3の時に、そうした体験をとても興味深く感じました。そこで、高校でもこの「芙雪祭」の"裏側の魅力"をもっと体験したいと思い、今回立候補しました。
S.Hさん:私は受験生だった時に「芙雪祭」に初めて来たのですが、その時のことがとても印象深く残っていました。それは、富士見の在校生の方たちが「どうして芙雪祭に興味を持ってくれたの?」、「楽しんでね!」とフレンドリーに話しかけてくれたから。他校の文化祭では、外部からの来場者の立場だと少し疎外感を感じてしまうこともありましたが、富士見ではそれをまったく感じませんでした。だから私も「来校者、特に受験生が楽しめるような文化祭をつくりたい」と思い、立候補しました。
―― お二人とも昨年11月に行われた選挙で見事に勝ち抜き、その役割についたそうですね。準備はどのような形で進めているのですか。
S.Nさん:昨年末に実行委員長と副実行委員長が決まり、その後すぐにパート長を募集しました。「芙雪祭」は、企画管理、オープニング&エンディングパート、装飾パート、外部飲食パートなど計11のパートに分かれて準備を進めていきます。パート長は、その各パートのリーダーのことで、高2が務めます。
―― そうなのですね。その後、現在(取材時の6月)までの活動状況はいかがですか。
S.Hさん:各パート長たちと意見を出し合い、「芙雪祭」のテーマを決めました。今年のテーマは、「KOSMOS(コスモス)」で、2つの意味が込められています。ひとつは、お花の「コスモス(cosmos)」。花言葉が「調和、謙虚、純真」ですが、富士見の建学の精神にも「純真」という言葉が入っているので共通点があります。そしてもうひとつは、ギリシャ語で「秩序のある世界、宇宙」を意味する「kosmos」。装飾パートのメンバーから、今年は宇宙を意識した装飾を行いたいという意見もあり、決まりました。現在は今年の「芙雪祭」の土台や骨組み、ルールづくりなどについてみんなで話し合って決めている段階です。
―― 例えば、どんなことについて話し合っているのですか。
S.Nさん:富士見は、校則で校内でのスマートフォンの使用が禁止されています。でもイベント時なので、「スマホを使いたい」という声が生徒たちから挙がっています。それで、「芙雪祭」の2日間だけはスマホを使わせてもらえないか、と先生たちに交渉しています。
生徒会部主任の福田先生は、「芙雪祭」は年を追うごとにマイナーチェンジが加わり、どんどん進化していると言います。
福田先生:従来のやり方を引き継ぎつつも、すべてを踏襲するということはありません。本校の生徒たちの感覚に「同じものをそのままやる」というマインドはあまりないのです。実行委員たちは昨年のアンケートにも目を通しながら、「ここは改善できるのではないか」「今年はここをこうしよう」などと真剣に話し合っていて、その姿から熱意を感じます。実行委員メンバーは全員が「もっと皆を楽しませたい」「去年よりさらに進化したい」、そんなクリエイティビティあふれる気持ちと高い意欲で取り組んでいます。
活動を通し磨かれる、
コミュニケーションスキル・伝達力
続いて、S.NさんとS.Hさんに、やりがいや自身への気づきについて聞きました。
―― 準備の段階で感じている、やりがいについて教えてください。
S.Nさん:「芙雪祭」の催し(イベント)や企画は、生徒と先生の両者が納得したカタチで準備を進めていきます。例えば先ほどのスマホの話もそうですが、生徒たちがやりたいと考えた企画や内容に対し、先生から「こういうリスクがあるけどどうする?」などと想定外の指摘が入ることが多々あります。そこで、その対策を考えたり、折衷案を探したり......そうした作業はとても大変ですが、やりがいでもあります。このようなことは私ひとりで解決できる問題ではないため、副実行委員長のS.Hさんはじめ、パート長たちと話し合っています。生徒たちで解決できずに困ったときは、先生や保護者(PTA)の方々に意見を求めることもあります。さまざまな立場の方の意見を受け止めるようにしています。
―― S.Hさんがやりがいに感じていることは何ですか。
S.Hさん:生徒主体で進めることです。一人ひとり、自分から行動しないと何も始まらないし、自分で企画を考えないと何も生まれません。生徒主体で進めることは楽しさややりがいがある反面、大変さが伴うということを実感しています。私の場合、最初の頃はメンバーに話しかけることや話し合いの際に意見を言う勇気がなかなかなか出ませんでした。もともとそういうことが苦手で、億劫に感じていたのです。ただ、そのまま後回しにしていたら、仕事は進まずにどんどん溜まっていく一方。そこで、「このままではいけない!」と思い、勇気を出して行動に移していきました。
―― お二人とも、普段の授業や部活動ではなかなか味わえないような貴重な体験をされていますね。「芙雪祭」の準備を円滑に進めていく上で大切にしていることを教えてください。
S.Hさん:パート長たちと頻繁に情報共有するようにしています。普段はパートごとにそれぞれで活動していることが多いため、パート外の人間は意外と進捗状況や課題点が見えていません。ただ、最終的には「芙雪祭」というひとつの目標に向かっているため、活動内容にズレが生まれないようにきちんと各パートの動きや進捗を把握しながら、進めなければなりません。情報共有はグループチャットで行ったり、芙雪祭室という会議室で集まったりして行っています。
S.Nさん:面倒くさがったり、つい後回しにしてしまったりがないように進めるのが大事だと感じています。S.Hさんから情報共有の話が出ましたが、私も同感です。実行委員はやることがたくさんあるため、「そういえば伝えるのを忘れていた」という伝達ミスが起こりがちです。また校内だけでなく、PTAや飲食店、連携している大学など外部の方々と関わる際にも伝達モレがないように気を付けたいと思います。
福田先生は、このような体験から得られる成長について次のように教えてくれました。
福田先生:「芙雪祭」を生徒主体で進めることを尊重していますが、企画や内容については安全性などを考慮しながら教員サイドでもしっかりと確認しています。校長や教頭も出席する学年主任会という会議に2人も出席することがあり、その場では「本当は違う理由があるのでは?」「理由と目的が矛盾しているけど、どう考えているのか」など、先生方から率直かつ鋭い指摘が入ることがあります。しかし、2人はきちんと準備してその会議に臨んでいますし、緊張しながらも一生懸命に立ち向かう様子を見ると、本当に素晴らしいなと誇りに思います。こうした体験を通して、コミュニケーションスキルや伝達力などが大きく磨かれると思いますね。生徒たちは「やりたい」という意欲が旺盛なので、それを引き続き持ち続け、実行に移していってほしいと思います。
学校生活のあらゆることが
「17の力」に紐づく
富士見生の主体性が強く発揮され、大きな成長に繋がる場は「芙雪祭」だけではありません。体育祭やそのほかの行事でも同じだと福田先生はいいます。同校では、教育目標として「社会に貢献できる自立した女性の育成」を掲げており、その実現のために必要な力として、「自分と向き合う力」「人と向き合う力」「課題と向き合う力」の3つを挙げています。
さらに、これら3つの力は「17の力」にわかりやすく細分化され、生徒たちが授業や課外活動、行事など学校生活のあらゆる活動を通して身につけられるようルーブリックとしてまとめられています。日々の授業はもちろん、「芙雪祭」や体育祭などの行事、課外活動などで、これらの力を磨いていけるのです。
最後に、S.NさんとS.Hさんが今年の「芙雪祭」の見どころと受験生親子へのメッセージで締めくくってくれました。
S.Nさん:今年のテーマは「KOSMOS」なので、コスモスのお花のように華やかで宇宙のように無限大な楽しみ方で、「芙雪祭」を心ゆくまでお楽しみください。オープニングセレモニーやエンディングセレモニー、毎年恒例の「Fステ」(生徒が体育館のステージ上で、ダンスや歌を披露するイベント)、大階段の装飾など、見どころはたくさんあります。来校をお待ちしています!
S.Hさん:在校生だけでなく、外部の方にも楽しんでもらえるのが「芙雪祭」。なかでもスタンプラリー企画は、在校生と受験生がコミュニケーションを取るきっかけになるでしょうし、ゲームなど来場者参加型イベントではきっと富士見の雰囲気をもっと身近に感じてもらえると思います。皆さんが楽しく、そして気持ちよく参加できる「芙雪祭」をつくり上げますので、ぜひご期待ください。
今年の「芙雪祭」の開催は、9月28日(土)と29日(日)です。ぜひ、富士見中学校高等学校の生徒の意欲とクリエイティビティを肌で感じに訪れてみませんか。