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学校特集

昭和学院中学校・高等学校2024

目指すのは生徒が笑顔になる授業!
~自ら考えて動き、将来を決める生徒を育てる~

掲載日:2024年8月22日(木)

5つのコース制を導入して5年目となり、年を追うごとに人気が高まっている昭和学院中学校・高等学校(千葉県市川市)。「明敏謙譲」を校訓に掲げ、知・徳・体の全人教育を行っており、算数や国語だけで受験できる1科入試や英語入試などユニークな入試制度をとり入れ、中3での全員による海外ホームステイを始めとする英語教育にも力を入れています。24年度から校長に就任した山本良和先生に、同校の教育理念や目指している生徒像などについてお話を伺いました。

学校生活の大半を占める「授業」の充実を

昭和学院_4月から校長に着任した山本良和先生
4月から校長に着任した山本良和先生

 1940年に創立された昭和学院は、入試改革や新コース制導入などの学校改革を断行し、大きな変容を遂げてききました。千葉県の私立中高一貫校の中でトップクラスの難易度となり、都内の公立中高一貫校志望者の併願校としての人気もすっかり定着しています。校内には活気がみなぎり、生徒が先生や友だちと笑顔で話している様子も目に飛び込んできます。

 昭和学院は中学入学時には4つのコースに分かれ、中3からはIA(インターナショナルアカデミー)、TA(トップグレードアカデミー)、AA(アドバンストアカデミー)、GA(ジェネラルアカデミー)、SA(サイエンスアカデミー)の5コース制となります。

IAコース:英語力や国際感覚を磨くコースで国際社会で活躍する人材を育成
TAコース:ハイレベルなカリキュラムで難関国立大や難関私立大への進学を目指す
AAコース:難関大進学に対応した質の高い授業で文武両道を実現
GAコース:興味関心に合わせた授業を選択できる柔軟なカリキュラムで個性を伸ばす
SAコース:探究活動や総合的な学習をふんだんにとり入れ科学のロマンを追い求める


 5年前に導入したコース制はすっかり定着し、生徒たちは自分の興味関心と力に合ったコースを選択して学校生活を送っています。

 今年4月に校長に着任した山本先生は、3月までは同じ敷地内の昭和学院小学校で校長を務めていました。それ以前は筑波大学附属小学校(東京・文京区)で21年間算数教育に携わり、国内外で研究授業を行ったり多数の書籍を執筆している算数教育の第一人者です。昭和学院小学校で校長となる以前から14年ほど講師として同小学校の授業改革に関わったことでも知られています。その改革は見事に成功し、昭和学院小学校は県内私立小で随一の人気を誇ってます。

「ずっと小学校で教えてきた教員が、中高の校長になるのは珍しいかもしれません。でも年齢や発達段階は違っても"人間が何に興味関心を抱き、どうすれば成長するか"は同じはず。これまでの知見や経験則を活かして、授業のより一層の充実を目指していきます」と山本先生は力強く語ります。

生徒が自ら関わり笑顔になる授業

昭和学院_グループワークなど互いに学び合う授業も多い
グループワークなど互いに学び合う授業も多い

 山本先生が何よりも大事にしたいと考えているのは「生徒が笑顔になる授業」です。「学校生活の中の教育活動の大半は、言うまでもなく授業です。部活動や友達と過ごす時間が楽しみなのは素晴らしいけれど、まずは授業自体がいつも楽しくてワクワクするものであるべきだと考えています」。
 授業の中で学習対象や事象に主体的に"自分ごと"として関わっていると、自然と笑顔が生まれます。逆に"お客さん"状態だったら笑顔にならないし、退屈して眠気に襲われることもあるでしょう。
 クラスの人間関係や先生との関係が良好で、教室が信頼感や安心感に満たされている中で、自分が考えたり自ら手を動かしたりして自分から知識を獲得し昇華させていければ、誰もが笑顔になるはずです。
「なぜこうなるんだろう」「自分だったら、どう考えるだろう」という疑問が湧いてきて、自ら問題と向き合って考え、皆と共有したり追究して心の底から納得感が得られるのが本当の学びです。5教科に限らず全ての授業をそんな場にしたい、という理念の下で今年度がスタートしました。

【敢えて情報を減らして生徒に知識を組み立てさせる】

 山本先生は「笑顔になる授業」を実現する手法の1つとして「情報のコントロール」を挙げます。授業は未知の情報を得る場でもありますが、生徒が自分の中にある情報を組み立てて体系立った知識を構築する場でもあります。
 その日に教える内容が全て記載されたプリントを作って授業の最初に配布したら、「今日はこれを学ぶんだ」と一目瞭然です。最初にその日の学びの全容が分かってしまうと、そこから先の興味・関心の広がりは期待できません。

「ですから、敢えて情報を少なく見せることが有効です。情報が少なければ"もっと知りたい""なぜこうなるのだろう"という思いから、次の活動が展開していくこともあるからです。先生が敷いたレールの上を走るだけなら、進み方も行きつく先も同じで、横道にそれたり違う景色を見るチャンスは訪れません。 生徒が『今日の授業は自分たちで作った』と思えるような、真の学びにつながる授業を展開したい」と山本先生は話します。

 また、山本先生が考える授業の形の1つは「先生がいちばん後ろに座り、生徒が皆の前に立って自分の意見や考えを話す」ものです。山本先生は小学校の国語や算数などの授業でも、その形をとり入れてきたそうです。「そうした授業を行うためには、生徒がもっと話したくなる、表現したくなる場面をどう作るかがポイント。今までの中等教育の常識、ベストだと思っている形態を疑うことから始めていきたい。既成の枠に収まらないことに着手し、今まで誰も見たことがないようなワクワクする授業を目指していきます」(山本先生)。

【全員参加の授業は心地よい緊張感】

 もちろん、大前提として生徒が自分で獲得できない情報や知識は、しっかりと教えていきます。しかし、理科や社会科でも単なる情報の伝達で終わらせず、事象が何を意味するのか、それに対して自分はどんな意見を持つのかなど、ベースの情報をもとに授業を展開していくことが重要です。

「たとえば日本史で"五箇条の御誓文"を取り上げるとします。知識として御誓文の内容を教えることは基本ですが、『自分がその時代に生きている民衆だったら、これをどう感じるか』を考えさせたり、話し合いをさせることも重要です」と山本先生は話します。価値判断の基準は為政者や民衆など立場によって異なり、同じ事象に対する見え方や考え方は様々です。その時代に思いを馳せ、自分の身に置き換えて考えると、単なる知識の暗記にとどまらず本質が見えてきます。「表面的な知識の習得やテスト対策ではなく、生徒の人格に資するような教育を行い、混沌とした世の中を生きていく術を身に付けてほしいと考えています」。

 山本先生がイメージする「生徒が全員参加する授業」とはどんなものなのか――保護者会で山本先生が保護者に例示した問題を教えていただきました。

昭和学院_
【画像をクリックすると拡大します】

【問題】見た目が同じ100円玉が8枚あります。
このうち1枚は偽物で、偽物は本物より少し重いです。天秤ばかりを使って偽物を見つけるには、何回天秤ばかりを使えばいいでしょうか。


 山本先生が保護者に「何回で見つけられるか考えて、全員一斉に答えを指で示してもらいます」と言ったところ、全員が真剣な表情になり、指を折りながら答えを考え始めたそうです。
「これがまさに、私が目指す授業です。1人を当てて答えさせたら、『自分が当たらないといいな』と考えるし、指名されない生徒は"お客さん"になってしまいます。でも全員一斉に答えを示すようにすれば、その瞬間から"自分ごと"になります」。

 ちなみに山本先生が小学校の授業でこの問題を扱ったときは2回~7回までの答えが現れました。すると子どもは「同じ答えだね」と言い合ったり「どうしてその回数になるの?」と互いに話し始めます。先生が「7回と思った人は、どのように天秤ばかりを使うんでしょうね」と言うと「分かった!1個を固定するんだ」という子どもがいたり、「6回まで釣り合ったら、残りの1個が偽物だから、7回目はやらなくていいのでは?」「運がよければ1回で分かっちゃうよ」など、様々な意見が飛び出しました。自分の答えを説明するだけでなく、人の答えを想像して説明させることも、発展的な学びの一助になります。

 こうした"自分ごと"の授業をしていると、どの生徒にも「そうか、分かった!」と心から納得できる瞬間が訪れます。それは教科書を読んだり先生の話を聞くだけは絶対に得られない、心が揺さぶられる経験になります。自分や相手の考えを表現したり聞いたりしているうちに「4回だと思ったけど、もっと早く見つけられそうだ」と考え始めて、「3個を1つの袋に入れて量ればいいんじゃない?」などその子らしい表現、伝わりやすい表現で自分の考えを表す生徒も出てきます。最初の問題から発想を広げて、「最初の100円玉が何個までだったら2回で分かるかな」「3回で分かるのは100円玉が最大何個?」と考え始める生徒もいます。先生の話を聞くだけでなく、自分で考えを深めて表現したくなる場を設けることが生徒の自走式の学びにつながるのです。

 教わるだけだったり丸暗記しているだけでは笑いませんが、自分で学ぶことができると生徒は自然と笑顔になります。さらに問題意識を持って情報を獲得し、自分から発展的に内容を高めていった知識や情報、そしてその学び方は「消えない学力」として、ずっと自分の中に根付きます。

目標や進路を自分で決められる生徒を育てる

 山本先生は「主体的な学びのキーワードは『決める』です」と力を込めます。正しい学び方で知識や情報を獲得した生徒たちは、自分を肯定できるので自分らしさや個性を大事にし、自分で決める力が育っています。もし自分が選んだコースが違うと思ったら、コース変更できるタイミングで他のコースに進む選択ができます。人の言葉に惑わされず、自分の意志でやりたいこと、進むべき道を選ぶことができるのが理想です。

昭和学院_コースをまたいで盛り上がるスポーツ大会
コースをまたいで盛り上がるスポーツ大会

 山本先生が掲げる理念を体現すべく、6月には中高の先生方が自分の担当教科以外の授業も見学する『授業研究会』を実施しました。見学後に「私だったらこうする」「あの場面はこうした方がいいのではないか」と意見を言述べ合う協議会も実施しました。

「先生同士が学び合い切磋琢磨して、今まで誰も見たことがないような未知の授業を作ってほしいのです。生徒が笑顔になる授業を行うには、先生自身が授業を面白がる必要があります。そして自分の予想を覆すような意外な反応や意見が出たとき、『なぜそんな発想になるんだろう』と面白がりながら分析して、次の授業に生かしてほしいですね」――山本先生は全教科の先生方に大きな期待をかけているのです。

【DXハイスクール認定を受けてデジタル教育も推進】

 5つのコースでそれぞれの能力と個性を伸ばし、その先には難関大学への進学も視野に入っています。しかし合格することはゴールではなく、その先にある自分の人生の目標に行きつくための通過点に過ぎません。「受験のための表面的なノウハウを身に付けるだけなら、合格するとモチベーションが消えてしまうでしょう。わが校の生徒の良さは、合格の先に自分の世界を持っていること。目標や夢を持ち、本人が進路を自分で決める環境を日々用意していきたいですね」。

 コース制の導入以来、さまざまな夢を抱く個性豊かな生徒たちが入学し、学校全体が活気づいている同校。今年度からは文部科学省の「令和6年度高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」にも採択されました。情報や数学等の教育を重視するカリキュラムを実施し、ICTを活用した文理横断的な探究的な学びを強化する学校が認定される事業です。これまでもICT化を進めてきましたが、今後はSA(サイエンスアカデミー)コースの中で『情報Ⅱ』の科目を設定するなど、今まで以上に高度なデジタル教育にも取り組んいく予定です。

 現在、高3生と1人ずつ面談している山本先生は、「素直で面白くて快活な生徒が多いですね」と生徒を評します。面談では全員に「学校に改善してほしいところはありますか?」と聞いていますが、異口同音に「ほとんどありません」という言葉が返ってくるそうです。「先生方はとても親身になって、きめ細やかに質問や進路の疑問や相談に答えてくれる。施設環境も思った以上に素晴らしい。昭和学院で過ごせて本当によかった」「先生やクラスメートなど、人間関係が良くて安心して過ごせる」という生徒たちの言葉を聞いて、「本当に嬉しい」と山本先生は笑顔を見せます。「みんな本当にいい顔をしていて自信に溢れている。大学受験について聞くと『まだ第一志望の合格は自信がないけれど、高みを目指したいし、この大学に行きたいから頑張ります』と胸を張って言い切るのも素晴らしい。自分で目標を定めて努力している姿に、頼もしさを感じます」。

 山本先生の下で、新たな一歩を踏み出した昭和学院。先生方も一丸となって、これまで以上に充実した学びの場を提供し、未来に大きく羽ばたく生徒たちを育てていきます。

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