学校特集
三田国際学園中学校・高等学校
三田国際学園の魅力は、なんといっても国際色豊かで、英語が身につく環境でしょう。インターナショナルクラスでは英語の学習歴を問わずに受け入れており、育った環境が異なる生徒たちがホームルームや実技教科、行事、部活動などの課外活動を共に過ごしています。これは、他校のインタープログラムにはない、三田国際学園の大きな特色と言えます。
多様性に満ちた環境がインターナショナルクラスの魅力なら、本科クラスの魅力は知的好奇心が大いに刺激され、学びへの意欲が引き出される、探究型の学習にあります。真のリベラルアーツを目指す『基礎ゼミナール』(中2~)では、生徒が自分の興味主体に基づいて講座を選択。少人数のゼミ形式で学問の面白さを追究するため、本科クラスでも一人ひとりの個性が際立っています。
「特色ある2つのクラスが混ざり合う環境こそが、三田国際学園の魅力」「恐らく生徒たちは、普段の生活の中でクラスを意識したことがないのでは?」と語る楢島知哉先生(インターナショナル指導部長/英語科主任)、田中潤先生(学習指導部長/社会科主任)ですが、三田国際学園を受験するにはクラスを選択しなければなりません。そこで、各クラスの特色と、三田国際学園の入試について伺いました。
知好楽とは、人生に於けるすべてのことは知ることからはじめ、それを好きになり、最後に楽しむ境地に至ったときこそ、初めて自分のものになり、豊かなものになる」という孔子の教えです。三田国際学園では、明治35年の建学以来の教育理念である「知好楽」を受け継ぎ、グローバル時代に生きぬく子供たちを育てる今も大切にしています。
世界標準の教育の実践をめざす①国際共通語である『英語』
②英語を使って思いを伝え合う『コミュニケーション能力』
③科学を理解する『サイエンスリテラシー』
④情報を使いこなす『ICTリテラシー』
⑤確かな知識とスキルに裏付けられた『考える力』
三田国際学園中学校の2つのクラスは、どちらもこの世界標準の教育を柱に展開されます。
また、クラスを問わず、すべての教科で考えることを支援する相互通行型授業を実施しています。
クラスの特色を知って、子どもの個性に合うクラスを選ぼう
楢島先生:三田国際学園では、クラスを選んで受験しなければなりません。そのために納得できるまで学校説明会や個別相談会に足を運び、受験してくださるご家庭が多いことはうれしい限りです。
田中先生:本校に興味をもってくださるご家庭の多くは、英語が身につく環境に魅力を感じてくださっているように思います。本科クラスはもちろん、インターナショナルクラスも英語の学習歴を問わずに受け入れていますので、クラス選択で悩むようです。「どちらが良いのか迷っている」などとご相談を受けたときには、お子様の個性や興味・関心の志向に合ったクラス選択ができるよう、それぞれのクラスの特徴をお話ししています。
2つのクラスを受験することもできるのでしょうか。
田中先生:受験機会が複数あるので、両方のクラスを受けることも可能です。ただ、それぞれのクラスに特色があり、入学後のプログラムにも違いがあります。事前にどちらで学びたいかを決めて受験されたほうがいいと思います。
本科クラス
自分の興味をとことん追求したい、好奇心旺盛な子に向いている!
田中先生:本科クラスの特色は、知的好奇心を大いに刺激する授業です。相互通行型授業を中心に、生徒の自発的な学習意欲を引き出し、学ぶ楽しさ、知る面白さを体感しながら、基礎学力を身につけることができます。
中2から始まる『基礎ゼミナール』は、本科クラスの特色を凝縮した授業です。担当教員の専門性を活かした8つのゼミから、興味関心のあるゼミを選択。各15名程度の小規模な授業なので、毎週土曜日を楽しみに臨んでくれます。中3の学園祭(MITA International Festival)で行うプレゼンテーションを最終目標としており、どのゼミも、論文・資料の調べ方、文章の書き方、プレゼンテーションの表現方法などを学ぶことから始め、各ゼミのテーマをさまざまな角度から掘り下げています。実体験から学ぶことを意識していますので、高大や社会との連携にも積極的に取り組み、学問を追究する面白さや、発想する楽しさを味わってもらえる授業にしたいと考えています。
『基礎ゼミナール』の具体的な活動を教えてください。
田中先生:プログラミングを行うゼミでは、表参道のApple Storeに行き、GarageBand(ガレージバンド)で音楽を創ってきました。私は経営に関するゼミを担当しており、先日、東京証券取引所に行ってきました。秋には、神奈川県の町興しフェスに参加します。大学の先生にも来校していただき、テーマを持ちながら学習を進めて、最終的には株式会社の設立を目指しています。
生徒さんの反応はいかがですか。
田中先生:興味のあるテーマに取り組んでいるので非常に積極的です。学びへの意欲がかき立てられて、いきいきと取り組んでいるように思います。夏休みに、自分で本を購入し、1つの単元を調べてプレゼンテーションをする課題を出すと、1つではなく、3つも調べてきている生徒がいました。理由を尋ねると、「来年起業するから、少しでも知識を増やしたい」と言うのです。自分で問題を発見したり、客観的な解決方法を見つけたり、検証したりする、研究者たる姿勢が育っていることを実感しました。理系のゼミには、高校に上がったらスーパーサイエンスコースで研究したいという生徒も出てきています。
1年次から相互通行型の授業を行っていますが、それが『基礎ゼミナール』の土台となっているのでしょうか。
田中先生:そうですね。自分たちで考え、ディスカッションして、何かを創っていくというCo-Creation(共創)の発想が、授業にも、行事にも、担任の指導にも根づいているので、生徒自身も一緒に授業や学校を創っているスタンスをもっていると思います。
初年度の生徒と1年間、過ごしてきて特徴的だったのは、新しいことに対して積極的であったということです。高校生でもあまり興味を示さない科学史などにも興味を持って聞きますし、サイエンスラボでの実験授業(週1~2回)でも実験操作の手際がよくなっています。操作をする人、記録をする人、まとめをする人...というように、グループで役割分担をして取り組むことができるようになっています。実験経過の写真撮影も上達。自分なりにまとめる力もついてきました。
本校では、論理的思考(疑問⇒仮説⇒検証⇒結論)を習慣づけるために、教科を問わず相互通行型の授業に取り組んでいます。まだ完全とはいえませんが、問題解決に向かっていく『型』のようなものは理解しているように思います。問いに対して考えない生徒がいない、自分なりの答えを書くことができる、というのが、この1年間で見られた成果です。本科クラスの生徒でいえば、1年間、相互通行型授業を積み重ねてきたことが、『基礎ゼミナール』の積極的な取り組み姿勢にもつながっていると思います。
インターナショナルクラス
グローバルな環境の中で、個性と英語力を磨ける環境が整っている!
楢島先生:インターナショナルクラスには、入学する直前まで海外に住んでいて、日本の教育を受けたことがない子もいれば、日本の学校で育ち、英語の学習歴がまったくない子もいます。さまざまなバックグラウンドをもつ子が集まり、ホームルームや実技教科、行事や部活動などの課外活動をともに行うのがインターナショナルクラスの大きな特色です。
本校では、15名のネイティブの教員がさまざまな取り組みを行い、生徒の英語力を伸ばしています。また、彼らはインターナショナルクラスの副担任としても活躍しています。 毎日の朝礼、終礼では教壇に立ち、「今日は体育委員会があるよ」「明日は○○があるから、××を忘れないように」などという連絡事項などを生徒に英語で語りかけます。
中学校に入ってから英語を学び始めた子も対応できていますか。
楢島先生:担任(日本人の教員)がフォローするので大丈夫です。保護者の方が驚いていましたが、インターナショナルクラスの生徒は英語のシャワーを浴びている時間が圧倒的に長いため、(日常会話における)リスニング力、理解力は飛躍的に向上します。発音もネイティブに近いので、毎日の積み重ねにより、日常会話での英語力は伸びる環境にあると感じています。
また、バックグラウンドが異なれば、生活環境や文化的価値観に相違があるのは当然です。掃除1つとっても、アメリカでは学校の掃除を生徒がしないので、習慣として身についていませんし、雑巾がけも「経験がない」という子がいます。最初はとまどいますが、次第に『一人ひとり違う』ということを認識し、受け入れて、知らないことは教え合う、学び合うということが根づいていきます。
英語の習熟度別授業はどのように行われていますか。
楢島先生:インターナショナルクラスでは、Standard(スタンダード:英語の学習歴がない)、Intermediate(インターミディエイト:間のレベル)、Advanced(アドバンスト:英語圏で育った帰国生が中心)の3段階に分けています。英語はこのクラス展開で授業を行うため、学習面で学習歴の有無にかかわらず、マイナスの影響を受けることはありません。英語以外の教科を英語で行うイマージョン教育も、このクラス展開で段階的に 取り入れています。
【Standardクラスの基本的なアプローチ】
基本文法を定着させながら4技能をバランスよく身につけることを目標にしています。
<成果>
・アウトプット活動においては飛躍的に成長しました。
・Speaking、Listening、発音が向上しました。
・ネイティブの英語での授業指示を、生徒は問題なく理解しています。
・このクラスのおよそ半数が中学1年生で英検3級を取得しています。
【Intermediateクラスの基本的なアプローチ】
ListeningとSpeakingの能力の質を高めるとともに、GrammarやWritingも強化し、総合的な英語力を向上させ、Advancedをめざすクラスです
<成果>
・自由に発想するプロジェクト型の学習には、非常に熱中し、教員をうならせるアイデアを出す生徒も少なくありません。
・自分で考えて、何かを表現しようとする力はとても伸びてきています。
【Advancedクラスの基本的なアプローチ】
Discussion、Debate、Presentation、Public Speechなどを通して、批判的思考力、分析力、構成力、コミュニケーション能力を身につけることをめざすクラスです。
<成果>
・Writingの表現力向上を目指して授業を実施してきました。
・題材はさまざまで、Story、Journal Topic、Technologyなど、Serious termなものからやわらかものまで幅広く扱い、一人ひとりが表現力をつけてきています。
楢島先生:HRクラスでの割合は、Standardが大半ですが、Advancedもクラスの3分の1を占めるため存在感があります。彼らの意見が少数派として排除されるのではなく、多様な価値観の一つとして受け入れられるため、クラスでは毎日のように化学変化が起きています。
インターナショナルクラスでは、各学年で週に1回『English Journal』という学年新聞を発行しています。グループごとに持ち回りで編集を担当しており、そのグループにはStandard、Intermediate、Advancedが混在しています。1年生は「自己紹介」を主なテーマに作成、2年生は1年次より継続して発行しているため、毎週異なるテーマで記事を書いています。作成の過程においてAdvancedとStandardとの間で教え合う場面が見られます。
このような関係は、自然に生まれたわけではありません。教員の指導と、生徒の柔軟な受け入れにより作られていきました。教員側は、「Advanced、Standardの区別は優劣による区別ではない」ということを意識的に伝えています。現在の英語力の差は、個人のバックグラウンドの違いや、学習をスタートした時期の違いでしかありません。英語力の差、育った環境の違いを「優劣」ととらえてしまうバイアス(偏見)を生み出す雰囲気をつくらないことを心がけるとともに、その違いは個々人の「強み」であり、互いに認めて、理解し合える『共生』の意識を育てる雰囲気づくりに取り組んでいます。
英語のクラスは移動できますか。
楢島先生:年度末に希望を取り、アセスメントテストを行います。意欲があれば誰でもチャレンジできますが、基準に達していなければ、足りないところを明らかにし、もう1年間、同じクラスで学んでもらいます。インターナショナルクラスの生徒は、全般的に英語学習に対して意欲的ですが、苦手意識を持つ生徒がいないわけではありません。今後は苦手意識を持つ生徒に対するアプローチにも力を入れていきたいと考えています。
言語習得にとどまらず多様性を受け入れる豊かな感性を磨く
楢島先生:英語以外の教科を英語で行うイマージョン教育は、Advancedの生徒に希望を募り、社会、数学、理科で実施しています。それ以外の生徒には、手順を踏んで試験的に行っている最中です。今年度、中2で試みたのは社会科(歴史)で、単元に合わせてクラス交換を行いました。
田中先生:インターナショナルクラスの社会科では、Standard(日本人教員)2クラス、Advanced(ネイティブ教員)1クラスの3展開で授業を行っています。中学の教科書は世界史の中に日本史が入っているので、単元が世界史になるとクラスを交換し、ネイティブの教員がStandardクラスを担当。文明ごとにグループを作り、簡単なテキストを渡して文明の調べ学習を行い、プレゼンテーションをし合います。そこで学んだ内容を、英語のテストに出したりもします。その間、日本人の教員はAdvancedクラスを担当し、日本史の授業を日本語で行います。私も教えますが、Advancedの生徒たちは日本の歴史を学んで来ていないので、とくに新鮮な反応があります。
楢島先生:本校の強みは、ネイティブの教員が、我々と同じ『三田国際学園の一人の先生である』という共通の意識を持って生徒に対応しています。
田中先生:職員室でも日本人の教員と頻繁にコミュニケーションがとられ、アイデアを出し合っています。
楢島先生:私たち教員が1つになって、初めて生徒の多様性を受け入れられると思っています。ただ英語を習得するだけでなく、グローバル社会で活躍できる「世界基準」の力を身につけることを本校ではめざしています。そのため、2年生が参加するグローバルビレッジでの外部研修も単なる研修ではありません。日本に来ている各国の留学生に研修に参加してもらい、言語を超えたコミュニケーションを取りながら、さまざまなプロジェクトにチャレンジします。この行事には、本科、インター、どちらのクラスも参加し、初日にはクラス混成のグループでディスカッションを行うことも試みました。生徒たちは、日常の学校生活においても行事、またはクラブ活動、委員会活動などでクラスの垣根を越えて活動しています。そういう場ではクラスを意識することなく刺激を受け合うので、生徒自身は、本科、インターというクラスをそれほど気にしていないのが現状かもしれません。多様性を受け入れる豊かな感性が、着々と育っているように感じます。
田中先生:入試問題は三田国際学園の顔。本校の学びが体現されたものでなければならない、という考えをもとに作成しています。構成は基本問題が約50%、応用問題が約25%、思考力をはかる問題が約25%です。過去の問題を見ると、応用問題は2つ以上の資料が出て「分析しなさい」「因果関係を説明しなさい」「比較しなさい」というような問題が出題されています。思考力を測る問題では、「物語の続きを答えなさい」「主張を答えなさい」「あなたならどうしますか」というような問題が出題されています。
私たちが入試でみたいものは、まじめにコツコツ勉強して蓄えた力に加え、入学後に伸びていく力です。そのため、本校ならではのルーブリックや、学校の方向性を入試問題に落とし込み、受験生の考える力を引き出したいと考えています。ですから日頃の学習の中で、単に覚えるだけでなく、1つの事象に対してなぜそうなるのかを考えるような勉強の仕方をしてきてほしいと思っています。入試に先立ち、本校の入試問題の傾向などをお伝えする入試傾向説明会を開催しますので、ぜひご参加ください。