学校特集
聖徳大学附属女子中学校・高等学校
中1から高3までの6年間、週に一度必修で「小笠原流礼法」を学び、"美しいマナー"と"相手を大切に思う心"を育んでいる聖徳大学附属女子中学校。同校が目指すのは「女子力の向上」です。その"女子力"とは、「社会に出た時に明確なビジョンをもち、自立できる力」「まわりの人に必要とされ、頼りにされる力」「新たな可能性を発見し、広げていく力」といった、これからの時代を生き抜くたくましい力のこと。毎日必ず全生徒と先生方が"食堂(じきどう)"で共に昼食をとるなど、変わらずに大切にしてきた伝統と、最先端のICT教育を積極的に取り入れるなどの革新的な学びとの融合が確かな学力へと結びつき、大学合格実績も急伸中! 聖徳女子が大切にしている"伝統"と"今"と"これから"の学びについて、入試広報室副室長の中牧さやか先生にお話を伺いました。
心を形に表す「礼法」で、
礼儀作法はもちろん、思いやりの心を育てる
「小笠原流礼法は立ち居振る舞いなど美しい所作を学ぶことはもちろんですが、相手を気遣う思いやりの心を育てます」と、中牧先生。同校を訪れてみると、靴箱に一直線に並んだ生徒の靴が目に入ります。靴のかかとの位置がピタリと合った横一列のラインは見事なほど。お客様を気持ちよくお迎えするために、生徒の発案で始まったそうです。
手前に出してきれいにそろえている
中1から高3まで、週に1時間行われている礼法の授業では、中学生は正しい姿勢をとる理由から和食や和室、煎茶の作法などを学びます。高校生になると、和服の知識と着付け、和室での立ち居振る舞い、弔事や抹茶の作法などを学び、卒業時には許状が授与されます。この許状は、履歴書にも記載できるものです。「今は洋間が多いので、ドアのノックの仕方など基本的なことを学びながら、徐々に畳の部屋の歩き方や靴の並べ方、箸の持ち方などを習っていきますが、生徒たちは本当に楽しそうに学んでいます。社会に出たあとに『やっててよかった』と実感する卒業生も多く、ある卒業生は、就職の最終面接時に社長が茶器を手にされていたそうです。"お茶の淹れ方"が最終試験だったそうで、無事に合格したと報告しに来てくれました」
毎日の食事を大切に。
全生徒と先生が「食堂(じきどう)」に会する昼食
会食する。放課後には、吹奏楽部の練習場所にも
月曜から土曜日まで、全生徒と先生が"食堂(じきどう)"で昼食を共にするという同校。 聖徳大学人間栄養学部が作成した、栄養バランスに優れた旬の食材を使ったメニューを一緒にいただきながら、校長先生も含めた先生方と楽しい食事の時間を過ごします。
「礼法で習っていることもあり、生徒たちは上手に箸を使います。頭付きの魚が出た時など、残った魚の骨はまるで標本みたいなんですよ」と、中牧先生。温かいものは温かいうちに食べてほしいと、テーブルにはいくつもの十合炊きの電気釜が設置され、昼食時には湯気を立てて一斉に炊きあがります。食器もプラスチックではなく、有田焼などの陶器にこだわっています。食材にはすべて生産地が表記されていて、食事の前には黙想をして「いただきます」の唱和をし、生産農家や作ってくれた方への感謝の気持ちを育みます。
「片付ける時には種類別に食器を分けるだけでなく、ヘラを使って『できる限りきれいに』を心がけ、片付ける人の気持ちになって食器を戻します。食事をいただく感謝の気持ちは、残菜がゼロであることに表れています。最初は苦手な食材があっても、卒業するころには好き嫌いもなくなっています」と中牧先生。
週に一度の生徒たちのリクエストメニューをはじめ、3月の雛寿司、冬至のかぼちゃ、入学式のお赤飯など、季節の特別メニューも生徒たちに人気だそうです。
バランスの良い食事をしっかりと美味しくいただきながら、先生方に見守られて成長期の大切な心と身体を育んでいます。
最新のICT教育を実践し、探究力・協働力・活用力を育む。
そして、50分の授業を70分の質に高める
1人が1台iPadを使用し、電子黒板が設置されている同校では、授業をはじめとした研究活動やグループ活動、部活動など、学校生活のさまざまな場面でICT教育を積極的に活用しています。「授業では学習アプリ『ロイロノート』を使って、たとえば前回の授業の復習問題を生徒に配信します。生徒は解答をiPadで送信し、教員はすぐに採点をして生徒に戻すことができます。答えを一覧にして生徒と共有することもできるので、『答えは同じだけどやり方が違うよね。どれが正しいのか考えてみよう』と、みんなで考える授業も行えます。また、全員の答えをすぐに集計もできるので、間違いがすぐにわかり、探究する力を養うことができます。プリントの配布や回収の時間も省けるので授業を効率的に進められます」と、中牧先生。「あと、やらない子がいてもすぐにわかってしまうので、"お客さん"がいなくなります(笑)」とのこと。
「あくまでも教材としてのiPadですので、SNSなどにはアクセスできないように設定を行っていますし、学校で決まっているルール"聖徳リテラシー"を生徒たちは守っています。各授業でも生徒たちは工夫して取り組み、礼法の『ふすまを開ける』といった所作では、互いの動作を撮影しあって確認しているため、協働力も身についています」 課題作成や調べものにも積極的に活用し、調べた結果をプレゼンソフトでまとめて発表する機会も数多くあるため、生徒たちの情報発信力やプレゼンテーション能力は大きく向上しており、活用力も向上しています。
英語が好きになる"しかけ"が満載。
コミュニケーションとしての「活きた英語」を学ぶ
◆ネイティブの先生が他教科の授業にも参加
また、同校では日常会話から大学受験に対応した高い英語力まで、生徒一人ひとりのレベルに合わせた英語力の向上に力を注いでいます。英語の授業数は公立校の約1.8倍。中学の早い段階から"活きた英語"を学ぶことに主眼を置いて「5人在籍しているネイティブの先生は英語の授業だけではなく、体育などの授業にも参加します。一緒にバスケットをするなど自然に英語でコミュニケーションをとる機会を増やして、まずは、英語に興味をもってコミュニケーションする楽しさを芽生えさせます」と、中牧先生。授業では「話す」「聞く」「読む」「書く」の4技能を徹底的に育成し、小テストや演習型のドリルを使って確実な力を身につけていきます。
◆オーストラリアのファームステイで、
"英語力+コミュニケーション力"を向上
「中3では、シドニーに5泊6日で全員参加の修学旅行に行きます。3〜4人が1組となって2泊3日でファームステイを行います。ホストファミリーのお宅によっては、羊の毛刈りや農作業、家畜へのエサやり、クッキングやショッピングなどを体験させてもらいます。最初は英語で気持ちを伝えることに苦労していた生徒たちも、帰るころには『本当の家族のようにたくさん話ができた』と、別れを惜しんで大泣きするほどに。異文化を経験しながら、コミュニケーションとしての英語を学ぶ貴重な機会になります」と、中牧先生。街に出て英語で現地の人にインタビューをするプログラムも実施しますが、生徒たちは「積極的に話しかけるとコミュニケーション能力が上がる」と、強い手ごたえを感じるそうです。「活きた英語」を実践で学んで、帰国後には英語を学ぶ意欲がさらに高まります。
◆英語劇をとおして、3年間の成長を実感
中1から中3までの3年間、毎年、文化祭で英語劇を行っています。1年は「白雪姫」、2年は「ピーターパン」、3年は「シンデレラ」と英語のセリフを暗唱し、クラスごとに同じ演目を演じて競います。学年によってセリフの長さに差があり、3年生のセリフ量は1年の倍以上。流暢な発音にも目覚ましい成長ぶりを感じさせます。「英語で感情を込めてセリフを言うのは難しいのですが、意地悪な魔女役など、なかなかの迫力もの。演出も生徒たちで行うので、同じ演目でもまったく違うアレンジで観客を沸かせます」と、中牧先生。衣装や大道具も生徒たちで時間をかけて準備をすることで、クラスの団結力も高まります。
3つのコースで自分に合った学びを習得。
2013年に誕生した「S選抜クラス」で、最難関大合格を目指す
国公立大や難関私大合格を目指す「選抜クラス」、聖徳大学や中堅私大への進学を目指す「進学クラス」に加えて、2013年に誕生したのが最難関大学合格を目指す「S選抜クラス」です。基礎学力を徹底して身につけながら先取り学習を行い、高3の1年間は一人ひとりの志望大学に合わせた個別のプログラムで受験指導が行われます。この先取り教育を支えているのが、先生方の手厚い指導です。模擬試験前には「放課後のスタディクラブ」と称した勉強会を開催。一人ひとりの理解や習熟度に合わせたきめ細やかな学びを展開しています。
また、大学入試を目指して表現力やプレゼンテーション力を高めるプログラムも充実しています。「理数スーパーアカデミアという実験重視型の授業では、毎週理科実験のレポート発表会を開催しています。ほかにもリサーチをしてプレゼンテーションを行うグローバルキャンプや英語のスピーチなど、iPadを活用して情報発信のスキルを高めています」と、中牧先生。さらに、部活動も積極的に行っていて、知力はもちろん、希望の進路実現に進んでいくための体力と精神力を鍛えていきます。
将来のキャリアを考える、豊富なイベントや授業を展開。
中1は入学後の「学習オリエンテーション」からスタート
航空会社、銀行、病院など多岐にわたる
キャリア教育としては、中1では学習の大切さを学び、中2ではさまざまな職業を理解するなど、学年ごとに順を追ったテーマを設けて、「なりたい」未来を考えていきます。「入学後すぐに学習道具だけ持って、ホテルで"学習オリエンテーション"を行います。たとえば国語の家庭学習の仕方や、ノートのとり方など、教科ごとに事前準備を行ってから学習に入っていきます。iPadの使い方や決まり事などもここで確認します」と、中牧先生。このオリエンテーションは、寝食を共にして新しい友達と仲良くなることも目的の一つです。このような手厚い指導によって、6年間の学校生活がスムーズにスタートするのです。
そして、「もっと学力を高めたい」という生徒のやる気に応え、先生方も手厚く指導していきます。「SSS(聖徳サポートシステム)」と呼ばれる、学習到達度に応じた放課後の補習、難関大学などを希望する生徒を対象に行っている「ゼミ」、さらには上位クラスの生徒を選抜して行われる「スーパーゼミ」など、目標実現に向けたさまざまな課外授業が充実しています。
毎年恒例の伝統行事! 6年間の成長が見られる、
3泊4日の北蓼科高原体験学習
中1から高3までの生徒が全員参加で行われる北蓼科の体験学習では、田植えやさまざまな作物の植え付け、収穫などの農作業を行います。春に上級生が植え付けたかぼちゃを秋に下級生が収穫し、学校の昼食時にみんなで味わいます。
「3泊4日の校外学習では、3泊目にさまざまな気づきが出てきます」と、中牧先生。「仲間との協力や自然の中での学びでは、生徒それぞれの発見があります。特に最近の生徒は『個』の生活に慣れているので、集団生活をとおして多くのことを学びます。高3にもなると行動計画から持ち物の注意まで、すべて生徒だけで行い、人と協力して行うことの楽しさを知っていきます。中間学年までは生徒はなかなか寝ずに怒られたりしますが、高学年では消灯後すぐに就寝するなど、成長が見られます。高3の春に北蓼科に行き学年で結束力を強固にして、団体戦で臨む大学受験へとつなげていきます」(中牧先生)
前年比144、4%! 国公立・早慶上理・GMARCHの合格者数がアップ。
仲間や先生とともに"団体戦"で受験を乗り切る
体験学習などのさまざまな行事や、礼法などの授業をとおして育んできた人間力が、学力の向上に着実に結びつき、その結果が大学合格実績にも表れています。中牧先生は「人への思いやりの気持ちを形に表すことが習慣になると、いろいろなことに気を配ることができるようになり、感性も冴えてくるのだと思います。たとえば論文を書く場合でも、『そこに目をつけたのか!』と驚くような着眼点や、何かものを見る場合でも誰が作ったのか、何に由来しているのかなど、好奇心が好奇心を呼んでいくような鋭い感性が磨かれていっていると感じます」と言います。 グループでの協働学習や発表などをとおして、互いに良い影響を与えながら、日頃のチームワークの良さで学力を高め合っていると先生方は実感。「誰から言われなくても、生徒たちは受験は個々のものではなく"団体戦"ととらえて臨んでいます。先に受かった子は『落ち着いて受験勉強に専念してほしい』と、陰で静かに友達を支える思いやりをもっています。教員からの『人の気持ちを考えたら、どうなのだろう』のひと言で、一人ひとりが自分自身で考えられる力が育っていますね」(中牧先生)
ふんだんに光を取り入れた、南向きの明るい校舎。
東京ドーム2個分の広大な敷地で、伸び伸びと学ぶ
見守るほか、赤外線監視システムなど安全面も万全
JR松戸駅からバスで15分、北総線秋山駅・北国分駅から徒歩10分とアクセスの良い立地にありながら、緑豊かな自然に恵まれています。「各教室は南向きで、棟ごとに光が差し込む設計になっています。敷地内にゴルフ練習場もあるんですよ」と、中牧先生。ゴルフ部の活動のほかに体育の選択授業でもゴルフの授業が行われている恵まれた環境のなかで、昨年にはプロゴルファーになった卒業生もいるそうです。
明るく開放感にあふれている
「また、室内温水プールの半分は底板を外すと水深が2メートル以上にもなるので、シンクロナイズドスイミングを行うこともできて、学園祭などで水泳部が発表会も行います。水質検査も専門の人が行っているので安心です。体育館も3つあり、床はクッション性が良いので身体に優しいつくりとなっています」 広大な敷地ですが、セキュリティも万全。校内には赤外線センサーを設置しているため、不審者の侵入時には警報が鳴る仕組み。24時間体制で、守衛さんが1時間に1回は見回るなど、徹底した安全対策がとられています。
礼法で美しい礼儀作法を身につける一方、体育祭では木の丸太を運ぶたくましさもある生徒たちを「リーダーになったり、陰で支えたりと、役回りを臨機応変に変える力がある」と中牧先生は言います。社会に出てから大切な協調性とリーダーシップをあわせもった生徒たちは、聖徳女子で学べたことを卒業後も誇りに思っています。「思いやりの心」と「助け合う心」を育んでいる同校の伸びやかで温かな雰囲気を、ぜひ学校説明会や個別相談会などで体感してください。
中学の書道(週1時間)では、毎回墨を擦って書く
広い礼法室。ここで小原流の礼儀や作法を学ぶ
管弦楽部の練習場所としても活用される奏楽堂
体育館の緞帳「朝日桜」は、
旧歌舞伎座で使われていたものを譲り受けたのだとか