学校特集
城西大学附属城西中学・高等学校
2018年に創立100周年を迎える城西学園。この大きな節目に、改めて教育の見直しを行いました。創立以来大切にしてきた『報恩感謝』(家族や友人など、周りのすべての人から受けている恩に感謝し、報いるために今できること・やらねばいけないことに全力で努力する)をベースに、『天分の伸長』(一人ひとりの能力を高める)、『個性の尊重』(互いの個性を認め合い、尊重し合う)、『自発活動の尊重』(主体性を重んじ、協働できる力を養う)を図る、城西学園の精神はそのままに、時代に即した学びにより生きる力を身につけることができる、学校らしい学校を目指しています。同校は学力で区別する「特別進学クラス」は設けていません。高校で文系・理系に分かれますが、基本的にはフラットなクラス編成で、お互いの個性を認め合い、尊重し合うことの大切さを学びながら成長します。グローバル教育も、全クラスで体験できるよう整備し、世界各国から訪れる留学生を相手に対応力を磨けます。授業も学校行事も、生徒が興味をもって取り組めるよう体験を重視しているため、城西大学の附属校という枠にとらわれず、多彩な進路を切り拓いています。「毎日、元気に学校に通ってくれれば、必ず力がついていく学校」と、熱く語る加藤晃孝校長と、坂本純一先生(入試企画部長/理科教諭)に、城西大学附属城西のキャッチフレーズである「生徒自ら伸びる理由」を伺いました。
知的好奇心を大いに刺激されるため、多彩な進路を切り拓いている
城西大学附属城西は、薬学部をもつ城西大学をはじめ、城西国際大学、日本医療科学大学に内部推薦制度があります。「12月まで推薦権を保持したまま、他大学を受験できる、附属校ならではの優遇制度があるため、高校から入学する生徒の中には、毎年30〜40名の薬学部志望者がいます。中学校から本校で学ぶ生徒の中にも、薬学部を志望する生徒がいないわけではありませんが、6年間の学びの中で好奇心を大いに刺激されるため、高校から入学する生徒と比べると、多彩な進路を切り拓いているのが特徴です」(加藤校長)
生徒が自ら伸びる理由は、環境・体験・サポートを大事にしているから
生徒全員が学校生活を楽しいと感じ、前向きな気持ちでいろいろなことに取り組んで、自ら伸びていけるよう、同校では、3つのことに力を入れています。1つは『平等に学べる環境づくり』、1つは『好奇心を刺激する体験(本物)主義』、1つは『徹底したサポート体制』です。
「学力や興味の有無により生徒を区別するのではなく、クラスに多様な生徒がいる中で、教え合う、助け合う、支え合うことが自然とできる環境づくりを目指しています。人間的な成長を促しながら、授業をはじめ、学校生活のさまざまな場面で、本物を見せたり、体験をさせたりしながら、生徒の好奇心を刺激していきます。興味をもてば、『なぜ、そうなるのか』を知りたくなるのが人間です。知識の習得に加えて、生徒同士で考えたり、議論したり、表現したりすることも楽しい作業になります。そういうことを日々繰り返しながら自分の知識として吸収していくには、自学自習できる環境やサポート体制が必要です。本校では部活動も推奨していますから、自習室を20時まで利用可能にするなど、生徒が自ら学び、伸びる環境を整えることで、生徒一人ひとりが学校を舞台に大きく成長しています」(加藤校長)
◆加藤校長が語る、城西大学附属城西の日常
姉妹校との交流は戦後から始めており、アメリカ・オレゴン州のSweet Home High Schoolとは30年以上の交流があります。修学旅行で来日し、本校に立ち寄る機会もよくあるので、そのつど生徒に紹介し、交流会を開いています。場合によっては、生徒の家庭に1、2泊、ホームステイの協力をいただくこともあります。
本校の学内グローバル化には、ネイティブの教員(3名)の存在が大きく、学校生活の中で日常的に生徒とかかわっています。おかげで、自己主張できる生徒が増えてきました。異文化で育った留学生とのコミュニケーションは、そう簡単ではありません。他者理解と自己主張が必要になります。ですから、留学生とともに銭湯に行ったり、除夜の鐘をつきに行ったり、初詣に行ったりした話を聞くと、生徒の成長を感じます。
語学研修(放課後の講座)も、ネイティブの教員が熱心に行っていることの1つです。その成果として、中3の多くの生徒が英検2級に合格し始めています。中2で英検準1級に合格した生徒もいます。
こうした学内での小さな交流がきっかけとなり、海外へ留学したいという相談が増えています。短期(2、3週間ホームステイ/アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ等)から中期・長期の留学(アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド等、姉妹校が中心)まで、サポートできる体制を整えていることもありますが、費用の面でも、留学にチャレンジしやすい環境を整えていることが大きいと思います。本校の姉妹校であれば留学先の学費は必要ありません。もし必要な場合は、本校の学費をいただかないなど、留学しやすい制度を設けています。海外で修得した単位は学内の単位として認定します。
◆加藤校長が語る、城西大学附属城西の日常
理科では、中学校3年間は『本物から本質を見る』ということを意識しています。机上の学習は本質を考えるためにある。その順番を踏襲して物事を考えるベースを作っていくことを大事にしています。ですから、3年間で行う実験・観察は100を超えます。教科書に載っているものはもちろん、どんな生徒も思わず引き込まれてしまう城西独自の実験も行っています。これは高校入試が無い中高一貫だからできることだと思います。
入学したての中1の理科は植物観察から始めます。「学校の裏手にある公園で、花を咲かせて自生している植物を5種類以上、5分以内に集めてきなさい」と伝えると生徒は驚きますが、しっかり観察すると入学したての4月は10種類以上の植物が花をつけて自生していることに気付きます。採取してきた植物で標本をつくり、その後の授業でも本物の植物を観察しながら授業を展開しています。
化学の授業では初めにマッチの扱い方を1時間かけて練習します。最近はあまりマッチを見かけなくなり、火がついたマッチを怖がらずに持っていられない子が増えています。一番初めに火がついたマッチを安全に持ち続ける練習と、ガスバーナーをバラバラに分解し、部品の意味を考えさせる授業を行うことで、全員が火の扱いに熟達し、安全かつ自在にガスバーナーを使いこなせるようになります。
3年間に多くの実験・観察を行うと、コミュニケーション能力が向上します。また、どう分業し、どう行えば、手早くいい結果を得られるのかを考えられるようになります。理科では、教科書などに書かれていることを想像する力が求められます。風が吹いている時に、たくさんの原子がぶつかっているということを想像できる。そういう力をつける意味でも、まずは感性に訴え、そこから本質に迫ることを大事にしています。
行事も多岐に渡ります。中1の自然体験として田植えの学習があります。なぜ、田んぼに水を張るのか、など、田植えに関する学習をした上で、苗を植え、その後も田んぼの様子を見に行き、収穫して学園祭で販売するところまでを体験させています。中3では裁判所で刑事事件の傍聴をしながら、世の中の仕組みを考えます。中2のイングリッシュキャンプ(2泊3日)では、英語漬けの毎日を体験。その体験を活かして、中3の修学旅行(京都・奈良)では、外国人への街頭インタビューにチャレンジします。
◆加藤校長が語る、城西大学附属城西の日常
部活動を推奨している本校では、高校生が勉強との両立を図れるよう、学習のサポートにも力を入れています。高校生には、放課後から20時まで自習室を開設。自習室には、5教科の担当教員が在室しているため、質問もできます。
受験指導に特化した指導を行う教員集団、J-SATが担当する『放課後ゼミ』や『夏期、冬期、春期ゼミ(50〜70講座/高1から高3)』も開設(夏期学習合宿と小論文講座以外は無料)。部活動が終わった後に、参加している生徒もいます。この他、定期試験で学力が及ばない生徒に対する『指名補習』はもとより、レベルの高い学習を望む生徒を対象とした『WINSTEP講座』も設けています。
複数の人とかかわり、1つのことを成し遂げるのは、大変だからこそ、社会でも役立つ力が身につく
「6年後の入試では、思考力・判断力・表現力が問われると言われています。それらは、毎日の授業の中でも育まれますが、やはりさまざまな体験により、磨かれていく部分が大きい」と語る加藤校長。
同校の体育祭では、3色に分かれての応援合戦を行います。高3を中心に、10分間のダンスの振り付け、選曲、衣装はすべて生徒による考案。例年、意見を戦わせながら、調整し、1つのパフォーマンスを完成させているそうです。今年の高3は、応援合戦とはなんぞやというところから考え、論理構成をしました。パフォーマンスだけでは自己満足で終わってしまいます。本来、応援合戦はダンスに参加していない人たちがどれだけはまっているか。当日のマナーはどうか。そういうところまで指導が行き届いているかどうかを評価すべきものであり、甲子園の応援のように、相手を讃えるエール交換もあっていいのではないか、と提唱したのです。
「6学年を束ねることは、相当な労力を要します。それでも立ち向かい、やり遂げたことへの評価は非常に高いものがありました」と坂本先生。
「毎年、当たり前のように行っていることにも、ふと足を止めて考え、必要なところに手を加えて、より良いものにしていく。そういうことが、仲間と協力し合いながらできている本校の生徒は、大学入試の形式が変わるからといって、そんなにあわてることはないのかなと思っています」(加藤校長)
適性検査型入試・英語技能入試がスタート!あなたの得意を活かせる入試でチャレンジできます。
2017年の入試から、適性検査型入試・英語技能入試がスタートします。その意図は、体験から学ぶことを大切にしている学校だからです。「体験を通して学力・人間力を磨く本校の在り方に共感していただける全ての方に向け、入学の門戸を広げるために設定した入試です。偏差値にとらわれず、多くの方に受験していただきたいと思っています。進学塾に通っていなくても、小学校の授業が理解できている知的好奇心の強い子なら十分に対応できる入試です。公立中高一貫校を第一志望として学習を進めている受験生にとっても、問題の形式が公立中高一貫に近い上に、公立の問題より自分の考えをまとめやすい形式の問いも含まれているので、軽快に解き進めることができる内容です。」(加藤校長)
英語技能入試は、英検3級レベルで、筆記が60点、リスニングが40点の構成となっています。面接は日本語で、5〜10分を予定しています。試験当日に面接票を記入してもらい、その内容について質問するので難しいことはありません。「英検3級程度の力があれば、国語・算数(数学)も、入学後のフォローにより伸びていくと考えています。ですから安心して海外で暮らした経験をお持ちの方や、インターナショナルスクールに通っていた方、英語が好きで海外に興味がある方など、幅広い方に活用していただきたいです」(坂本先生)
加藤校長からのメッセージ
私たちが願うことはただ1つ。学校生活に前向きに取り組めるお子さんに入ってきてほしいということです。主体的に取り組む姿勢は、本校の取り組みに賛同し、お子さんの学校生活を支えてくださる保護者のもとでこそ育まれます。そういうご家庭と手を携えることができれば、本校で過ごす6年間は、非常に有意義なものとなることを確信しています。少しでも興味をもってくださったら、ぜひ一度学校を訪れて、城西大学附属城西のエネルギーを感じてください。多くの皆様とお目にかかれることを楽しみにしております。