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学校特集

国立音楽大学附属中学校

17年度、高校普通科に「特進コース」を新設!
音楽を軸に全人教育を行う同校が、さらなる学力向上を目指して、新たな改革を進行中!!

日本初の音楽大学の附属中高として、1949年に開校した国立音楽大学附属中学校・高等学校。67年前の創立以来、「音中・音高」として親しまれてきた長い歴史を誇りながら、2010年には中学に「普通コース」を設置するという画期的な改革に踏み出しました。そこには同校の、音楽を志向する、または音楽が好きな生徒への深い思いがあったわけですが、さらに来年度から、高校普通科を「特別進学コース」と「総合進学コース」に分けることを決定しました。伝統ある音楽教育は変わらず万全の体制で行いますが、中学普通コースと高校普通科の改革にも余念のない同校の、「個」を重視する教育の魅力についてご紹介します。

転コースが可能なシステムで、
音楽コースも普通コースも、その軸をさらに特化していく

国立音楽_校長の星野安彦先生
校長の星野安彦先生

中学受験生は12歳。好きなことはあっても、将来の方向性を決めるにはまだ幼い年齢です。音楽の道に進みたいと思っていても、志望がかわることは十分にあり得るでしょう。そこで自分と向き合い、本当にやりたいことを見つけるために、同校は6年前に「普通コース」を設けました。同時に、中1〜高1の前期までは、試験に合格すれば「普通コース(普通科)→音楽コース(音楽科)」「音楽コース(音楽科)→普通コース(普通科)」と転コース(転科)できるようにするなど、生徒の針がどちらの方向に振れても対応できるようにしていましたが、いま、さらなる改革が進行中。それは"志望の方向転換"という観点を含みつつも、学力のいっそうの向上を目指した改革です。

背景には、意欲旺盛な生徒が年々増えているということもあるのですが、まずは来年度、2017年から高校の普通科に「特進コース」を新設。そして、段階を踏んで中学の普通コースのカリキュラムも変革していく予定です。一方、まだ詳細は明らかになっていませんが、音楽や楽器の素養がなくても、中学入学段階からの6年間で音楽大学を目指せる力をつけるカリキュラムの構想も練っているとのことです。ちなみに、高校から入学した音楽科の生徒が、3年間で音楽大学に進学できる力をつけるプログラムはもうすでに始まっています。

国立音楽_コース変更可能な教育体制
※ 来年度から高校普通科に「特進コース」を設置。中1〜高1前期までは試験に合格すれば転コースが可能。

校長の星野安彦先生は言います。「生徒の多様な志望に対応できるように、いま、さまざまな角度から新しいカリキュラムを検討中です。そして、生徒たちを鍛え育てていくことで、本校の教育の裾野をもっと広げていきたいと考えています」

つまり、音楽コースも普通コースも融合しながら、それぞれ軸になる部分を特化していくイメージです。入試広報室室長の滝沢秀先生が続けます。「本校に中学普通コースや高校普通科があることを、まだご存じない方もいらっしゃると思います。だからこそ、この改革は重要ですし、いまの時代に、そして生徒たちの多様な志望に応えるために、私たち教員も奮闘中です」

進学準備はどうなっている?
「普通コース」の学習カリキュラムを紹介

このように、改革まっただ中にある同校ですが、ここで、改めて同校で展開されている教育を振り返ってみます。 同校には制服も、校則らしい校則もありません。"自由でのびのびとした"校風のなか、生徒たちは日常的に音楽を感じながら学校生活を送っています。 まず、同校の中学入試には3つのタイプがありますが、その入口から見てみましょう。

  1. 「音楽コース」実技型......国・算・視唱・音楽実技・面接
  2. 「音楽コース」教科型......国・算・適性検査(※)・面接
  3. 「普通コース」教科型......国・算・面接
    ※ 2017年度入試: 歌唱(「故郷」ヘ長調で1番を暗譜で歌う)

2. の「音楽コース」教科型というのは、基本的に高校の音楽科に進み、声楽を専攻したい受験生のための試験です。中学受験時は音域も音量も定まらない変声期前後にあたりますから、あえて実技は行わないというわけです。
また、新入生の半数は附属小学校からの生徒になりますが、中学からの入学生は自然にとけ込んでいくそうです。
「附属小学校から上がってきた生徒と中学から入ってきた生徒は、なんの隔てもなく仲が良くなり、中学から入った生徒が違和感をもつことはないようですね。中1では担任が気をつけて見ているのですが、生徒たちは想像以上に適応力があるようです」と、副校長の木﨑充裕先生は言います。

国立音楽_中学「普通コース」の授業風景
中学「普通コース」の授業風景

中学は「音楽コース」と「普通コース」、高校は「音楽科」と「普通科」の2つに分かれていますが、中学のクラスは両コースの生徒が混合し、音楽も含め、ほとんどの科目を全員一緒に学びます。しかし、各コース独自の授業も行っています。中1は音楽と合唱の授業は両コース共通で受けますが、「音楽コース」では週に2.5時間の音楽の専門授業(レッスン・ソルフェージュ・創作)を行い、「普通コース」は普通コースのみの国語・英語・音楽の授業を行います。中3になると「音楽コース」は週に4時間の音楽の専門授業(レッスン・ソルフェージュ・創作・校内演奏会)を受け、「普通コース」は国語・数学・英語・選択(数・英)の授業を受けます。普通コースに国語の授業が多いのは、あらゆる分野の基礎になるものは言語であるという考えからです。

国立音楽_中学「音楽コース」のレッスン授業
中学「音楽コース」のレッスン授業

また、同校は授業週5日制ですが、土曜日は、音楽コースの生徒たちはほとんどがレッスンに費やし、普通コースでは国・数・英を中心に土曜特別授業(中2後期・中3前期)が実施されます。また、夏期・冬期の期末テスト終了後、音楽コースでは約1週間実技試験がありますが、その間、普通コースの生徒には少人数での特別授業が。複数教科の先生による「コラボレーション授業」や模擬試験、その解説授業などが行われます。ほかにも必要に応じて、随時補習も実施されます。

さらに、高校普通科では多種多様な選択授業が用意され、それぞれの志望に合わせた指導が展開されます。そのため、生徒は"自分だけの時間割"を作り、少人数の授業(生徒2人に対して先生1人の場合も)で学びを深めていきます。そして、放課後補習、土曜講習、夏期・冬期講習、志望大学別問題演習といった、きめ細やかなサポート体制のもと、難関大学進学を目指していく......というのが現段階でのプログラムですが、今回の改革で、来年度からはさらに指導体制が強化される予定です。

音中・音高だからこそできるアクティブラーニング
そして、新たな取り組みを紹介

必修の授業「合唱」がアクティブラーニングである理由とは?

同校には中1から高2まで週に1〜2時間、授業として「合唱」があり、また中学で最も盛り上がる行事の一つに6月に開催される合唱コンクールがあります。コースにかかわらず、全員が行う「合唱」に込められた意味を、星野校長に聞きました。「合唱は、1クラス30人強で一つのものをつくっていくわけですが、全体から見れば、自分は30分の1のでしかありません。ですから『私一人くらい、いなくてもいいかな』と思うかもしれませんが、これが違うのです。おもしろいことに、一人抜けただけでバランスが変わり、できあがる曲がまったく違ってくるのです。『あれ、今日はなんか響かないな』と、とくに音楽の素養がない生徒でもそう感じますね。オーケストラなど"合わせもの"はすべて同じなのですが、全員がそろって一つのものをつくっていくという作業によって、自分はたしかに一人なのだけれど、全体を構成するには欠かせない存在なのだと体得することができるのです」

国立音楽_毎年6月に開催される「中学校 合唱コンクール」
毎年6月に開催される「中学校 合唱コンクール」

先生は、それは社会に出たときに必要になる力にも通じると言います。「自分の立場をわきまえ、コミュニティーの中でどうすれば自分を役立てられるか、社会に出ればそういうことを考えていかなくてはなりませんが、『合唱』は自分を発見し、確認し、生かしていく総合的な学習といえます」(星野校長)
歌詞の意味を考え、それを表現し、仲間とハーモニーをつくっていく。それは一人ひとりが自分のもてる力を発揮してこそ、みんなで力を合わせてこそできるもの。まさしく、同校を象徴するアクティブラーニングといえるかもしれません。

今年度から始まった中学普通コースの「コラボレーション授業」

同校は音楽を軸にしながら、創立時から5教科でもアクティブラーニングをさまざまに実践してきました。そして、新たな取り組みとして今年から始まった「コラボレーション授業」もアクティブラーニングの一例です。教科融合型ともいえる課題解決型の学習で、以下の流れで実践されます。

講義→調査→思考→レポート(ポスター)作成→発表

「たとえば、今年のコラボレーション授業の課題は『地球温暖化』を予定していますが、理科と社会科、そしてレポートにまとめる段階で国語科、グラフを入れる際には数学科、最終的にパワーポイントを使って発表するために情報科と、複数の教科で一つのものを作っていきます」と、入試広報室副室長の谷津真由美先生。

中1でレポート発表、中2でポスター発表(グループ学習)、中3で研究発表(研究文集を作成)という一連の流れのなかで、問題を解決する力や、自分の意見を発表する力を身につけていきます。

習熟度別授業と英検対策の強化
国立音楽_高校「普通科」の授業の様子
高校「普通科」の授業の様子

これまでも土曜講習は英語と数学を習熟度別で実施していましたが、今年度から、中2・3の通常の英語の授業でも習熟度別授業を開始。また後期だけは国語と数学でも習熟度別を取り入れるなど、段階的に実施していく予定です。数学担当でもある木﨑先生は、「意欲あふれる生徒はどんどん伸ばし、遅れの出た生徒にはしっかりと着実に指導しています。完全に半々に分けるのではなく柔軟に実施していますが、かなりきめ細かな対応をしています」と言います。

また、近年、同校の英検の実績がグングン向上しています。土曜講習では、習熟度別に「4級対策」「3級対策」といった授業も展開していますが、その効果もあってか、3年くらい前までは全校でも受験者数は10名くらいでしたが、いまでは中学だけで40名くらいが受験し、中2の段階で普通コースの半数以上が3級を取得。なかには2級、準2級を取得する生徒も。「昨年の中3は、音楽コースの生徒も含めて1割の生徒が準2級を取って附属高校へ進学しました。今後の目標としては、中学卒業までに全員が3級取得、そのうち半分くらいは準2級を取得できるようになればいいですね」(谷津先生)

ちなみに、音楽コースに入学したあと、中2のときの英検受験をきっかけに英語のおもしろさに目覚め、舵を切り替えて上智大学の外国語学部に進学したOGもいます。

高1からドイツ語が選択可能に

今年度、高1から第2外国語として「ドイツ語」を選択できるようになりました。さらに、来年度からはイタリア語も加わるそうです。ドイツ語、イタリア語とくれば、さすが音中・音高と思いますが、導入の経緯を星野校長に聞きました。

「ドイツをはじめ、海外の高校との交流も増えてきて、ドイツ語圏への興味促進の意味からも、ドイツ語を取り入れることにしました。また、ドイツ語の先生が言っていたのですが、ドイツ語を学ぶことによって、必ず英語も伸びると。その相乗効果も、これからの楽しみですね」

先生が言うように、同校は音楽をとおして海外のさまざまな学校と交流しています。たとえば、ドイツのベルリンにあるカニジウス高校、オーストリアのリンツ音楽高校、オーストラリアのスコッチカレッジ高校などですが、これらの学校も含めて今後、留学のための協定を結ぶ予定とのことです。

今年度の約140名の高1のうち約80名という半数以上の生徒がドイツ語を選択したことは、先生方にとっても予想外だったそうですが、ここにも生徒たちの好奇心の旺盛さが垣間見えます。

音中・音高の生徒は多士済々。
刺激に満ちた環境だから、さまざまな風が吹いている

国立音楽_クラブ活動も盛ん。上は中高ブラスバンド部
クラブ活動も盛ん。上は中高ブラスバンド部

ところで、今年のリオデジャネイロ オリンピックには、同校の大先輩が出場しました。ヨットのセイリング470級の吉田愛選手です。吉田選手は3度目のオリンピック出場という大ベテランですが、同校の音楽科でピアノを学びながらヨットにも打ち込んでいたのだそうです。

また、在校生には日本棋院の院生(14歳でアマ六段位が必要)やカートの選手がいます。同校は音楽に特化した教育でスタートしたため土日はレッスンなどに費やされますが、その授業5日制が、音楽に限らず打ち込むものをもっている生徒にとって魅力なのです。上記の生徒も、土日は日本棋院に行ったりサーキットへ遠征に行ったりします。また、昨年卒業したバレエを習っていたOGは、在校中から世界的バレエダンサーである熊川哲也率いるKバレエ カンパニーのスクールに通い、昨年正式団員に昇格したそうです。

国立音楽_中1の遠足は横浜・中華街へ。餃子作りに挑戦して「いただきます!」
中1の遠足は横浜・中華街へ。
餃子作りに挑戦して「いただきます!」

「これからは、さらに進路の幅が広くなるのではないでしょうか。本校は自由ですから、逆にいえば、それだけ自分の方向性を考える時間もあるのです」(滝沢先生)

自由な校風といえば、それにまつわるおもしろいエピソードも聞きました。一般大学が20校くらい集まる「大学ガイダ ンス」で、ある大学の先生が言っていたそうです。会場になる教室の入口あたりで、様子を窺いながら入室をためらう生徒が多い学校がほとんどなのだそうですが、同校の生徒は迷うことなく入室し、堂々と着席するのだそうです。そして、驚くほどいろいろなことを積極的に質問するのだとか。

自ら自主性や積極性を身につけ、夢に向かって多様な進路に向かう生徒が多いのは、音楽でも学習でもその他のことでも、それぞれ熱中するものをもつ仲間がいる刺激的な環境のなかで、「人は人、自分は自分でいいんだ」というアイデンティティーを育む同校ならではでしょう。

国立音楽_5月に実施される体育祭。毎年、白熱の戦いが繰り広げられる
5月に実施される体育祭。
毎年、白熱の戦いが繰り広げられる

「高校の学校説明会では毎回、サポート役を募って手を挙げさせるのですが、みんなとてもよくやってくれます。こういう話をしてほしいという指示は一切していないのですが、思い思いに一生懸命、自分の学校のことを語ってくれます。なかには、『これが生き甲斐になっています』という生徒もいるくらいなんですよ(笑)」(滝沢先生)

一人ひとりが方向を模索するのを温かく見守り、それぞれが見つけた志望を力強くバックアップする同校。学校説明会に足を運ばれ、同校に流れている自由で清々しい風をぜひ感じてみてください。

卒業生の進学大学は多彩

「普通科」の約9割の生徒が4・6年制大学に進学していますが、そのうちの約2割は国立音楽大学へ内部推薦制度で進学しています。普通科から推薦可能な学科は「演奏・創作学科(コンピュータ音楽専修のみ)」と「音楽文化教育学科」です。また、「音楽科」の約8割が国立音楽大学へ進学し、そのほかは他の音楽大学などへ進学しています。

●高校「普通科」からの主な現役合格大学(過去3年間/抜粋)
東京芸術大学/東京学芸大学/都留文科大学/早稲田大学/上智大学/明治大学/青山学院大学/中央大学/法政大学/学習院大学/津田塾大学/東京女子大学/日本女子大学/同志社女子大学/学習院女子大学/白百合学園女子大学/成蹊大学/成城大学/明治学院大学/武蔵大学/獨協大学/國學院大学/日本大学/東洋大学/駒澤大学/神奈川大学/東海大学電気通信大学/東京理科大学/東京薬科大学/芝浦工業大学/北里大学/東京電機大学/東京工科大学/神奈川工科大学/国立音楽大学/昭和音楽大学/多摩美術大学/武蔵野美術大学 ほか
●指定校推薦
中央大学/成蹊大学/成城大学/獨協大学/東洋大学/専修大学/神奈川大学/玉川大学/日本歯科大学/麻布大学/女子栄養大学/東京電機大学/工学院大学/フェリス女子大学/大妻女子大学/実践女子大学 など約80校300学科

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