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コラム

頑張っているはずなのに、成果が出ない。そんな時どうする?

AI時代に力を発揮するために 親子で伸びる!中学受験
教育ジャーナリスト 中曽根陽子

残暑も残る中、秋の気配もしてきた2学期。夏休み中、みっちり勉強したという受験生。あれだけ頑張ったのだから成果が出るはずと受けたテストで成果が出ない、塾のクラスが下がっちゃった…というのは、実はけっこうよくあることです。その原因はもしかすると夏の疲れが出てきた秋バテかもしれません

子どもを責めても成果はでない。鳥の目で状況を分析しよう

 お子さんの成績が上がらない、塾のクラスが落ちてしまった・・・そんなときに、皆さんはどうしますか? 子どもを責めてもしょうがないと思いつつ、ついつい「このままじゃどこも受からないよ」などと、マイナスの言葉がけをしていないでしょうか? 塾に通って、勉強だってしていないわけではないのに、思うような結果がでない。そんな状況が続けば、愚痴の一つも言いたくなる気持ちよくわかります。でも、そんな言葉でやる気がモリモリ湧いてくるわけはありませんよね。ではどうしたらいいのでしょう。
 実際、学年が上がれば上がるほど、勉強は難しくなっていくし、周りも頑張っているので、そう簡単には成績は上がりません。だから、いくらがんばっていても、順位という結果にはなかなか結びつきにくいのです。しかも、入試がまだ先の5年生くらいだとゴールは見えないし、なんのために、がんばっているのかよくわからなくなっているかもしれません。こんなときは、人と比べるのをやめて、目の前の課題を一つ一つ解決していくことが大切です。その時にやって欲しいのが、鳥の目を持つこと。鳥の目とは、物事をちょっと高いところから客観的に眺めてみるということです。鳥の目で、つまずいている原因を探しましょう。

不調の原因は夏の疲れが出ているのかも

 もう一つこの時期に気をつけたいのが、秋バテです。気候の良い秋は何をするのにも集中しやすいというイメージがありますが、季節の変わり目の時期は、もっとも体調を崩しやすい時期です。特に最近の酷暑で体は思った以上にダメージを受けています。その上2学期は学校の行事も多く、なかなかゆっくりとした時間が取れません。そのため、夏の疲れがどっと出て、自律神経に乱れが生じ、「秋バテ」と呼ばれる症状を引き起こしやすいのです。小児科の先生によると、主な症状には、体のだるさ、疲労感、胃腸の調子の悪さなどがあるそうです。とうぜん体の調子がよくないと、やる気も低下します。
 長引いてしまうと勉強にも悪影響を及ぼしかねないので、まずは、体調を万全にすることを心がけましょう。

体が整ったら心のエネルギーを満タンに!

 体の調子が整ったら、もう一つ大事なことがあります。それは、こころのエネルギーを満タンにすることです。成績があがらない。クラスが落ちちゃった。そういう状況を一番気にしているのは本人です。
 誰だって、成績が悪いより良い方が気持ちいいし、頑張っているのに、思うようにいかなければ落ち込みます。感じ方の振れ幅は人それぞれですが、自分に起きていることは、本人がいちばん知っています。どの子も、人から認めてもらいたいという気持ちがあります。ですから、うまく行ってない時ほど、お子さんのこころのエネルギーを満タンにしてあげて欲しいのです。そのためには、お子さんががんばっているところ、できているところに目を向けて、そこを認めてあげましょう。

できているところに目を向けて、事実を具体的に伝える

 思ったような成果がでないときほどやって欲しいのは、できたところに目を向けて、具体的にその事実を伝えることです。
 しかし、無理にほめる必要はありません。無理にほめようとすると、こっちもストレスになりますし、無理していることは子どもにも伝わります。「この問題よくできたね」とか「計算まちがいしていないね」とか「字がていねいにかけているね」など、なんでもいいので、ただ事実を伝えてあげるだけでいいのです。事実を言うだけなら、大して負担にはなりませんし、子どもも素直に受け止められます。
 子どもはお父さん、お母さんの気持ちを敏感に察します。こころのエネルギーを満タンにするのに一番大切なのは、お母さん・お父さんは自分のことをちゃんと見てくれていると、子どもが感じることです。
 心身のエネルギーが満タンになって初めて、できなかった問題をやり直してみることもできるし、勉強も身につきます。
 思ったような成果が出ないと、焦る気持ちになるかもしれませんが、ただ結果を責めるのではなく、一度鳥の目を持って状況を確認し、冷静に対応しましょう。

中曽根陽子 [教育ジャーナリスト マザークエスト代表]

教育機関の取材やインタビュー経験が豊富で、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、テレビやラジオなどでもコメントを求められることも多い。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱し、講演活動も精力的に行っている。また、人材育成のプロジェクトである子育てをハッピーにしたいと、母親のための発見と成長の場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。