2025年1月10日、栄東中学校 A日程(東大)入試が実施されました。
一都三県のうち、埼玉県は最も早い1月10日に一般的な入試の解禁日を迎えます。その埼玉の人気校・栄東中学校では例年、首都圏最大規模の受験生が集結。2025年1月10日に行われた、A日程(東大)入試の様子をお知らせします。〈取材・撮影・文/市村幸妙〉
2025年のA日程の出願者数は、栄東単独で9000人超え
現代社会で活躍するための生きる力を育み、豊かな人間形成と確かな学力形成を両立させている栄東中学校・高等学校。中学では「東大クラス」と「難関大クラス」を設置していますが、どちらのクラスでも積極的にアクティブ・ラーニングに取り組み、高い思考力や表現力などを涵養しています。
2024年入試では、A日程として1月10日・11日が設定され、難易度が揃えられたどちらかの日程を1つ選択し、受験する方式でした。例年、首都圏入試初日となる10日の受験生数が多くなる傾向がありました。
※写真は、校内にある、学問の神様の湯島天神(東京都文京区)とのご縁をもつ「栄東天満宮」
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今年2025年度入試では、1月10日が「東大」、1月11日は「難関大」と入学クラスにより入試日程が分けられました。10日のほうが入試難度は高いため、24年度と比べると同日の受験生数は若干減りましたが、その分11日の受験生数が増加しました。
いずれにしても栄東中学校のA日程の出願者数は、前年比で1000名以上増えました。
▪️栄東中学校 A日程出願者数
2025年:1月10日 5179名 1月11日 3882名 合計9061名
2024年:1月10日 5597名 1月11日 2421名 合計8018名
なお、1月12日の「東大特待」、1月16日のB日程、1月18日の東大Ⅱを加えた2025年1月9日段階での総出願者数は13211名ですが、合否結果により後半日程の出願者数は増えていきます。2024年度入試では、最終的に14016名の出願者数がありました。
12日に実施される記述問題中心の「東大特待」の出願者数は24年度が1497名で、今年は1226名と微減していますが、これは塾での日曜特訓と重なったことも理由の一つと考えられます。
受験生への感謝の気持ちを記した看板が学校のあちらこちらに掲げられています。
受験に来てくれて「ありがとう」の精神 校長先生の想い
栄東がこれだけ多くの受験生を惹きつけているのは、魅力あふれる教育内容への認知が広がっていること、大学進学実績などだけではなく東京オリンピックや高校生クイズなどでの卒業生や在校生の活躍ぶり、さらには東京・神奈川の入試まで比較的余裕のある日程で実際の入試本番を体験できること、かつ同校が標準的な出題形式であること、さらに得点開示が行われるのでこのタイミングでの実力が測りやすいといった点が挙げられます。
なお、本校の収容人数は2500名ほど。そのため、1月10日のA日程では、姉妹校の埼玉栄中高と栄北高校に加え、今年からは受験生たちの負担を減らすべく、さいたま新都心駅からほど近い、ホテルブリランテ武蔵野とTHE MARK GRAND HOTELの2会場を追加して、計5会場で入試が行われました。
2か所のホテル会場は、希望制・先着順での申し込みでした。2024年12月2日の出願開始日以降、思いのほか早く両会場とも定員が埋まったそうです。
2024年度の全体で見た、出願者の居住地域の割合は、東京61.9%、神奈川18.5%、埼玉12.7%でした。年を追うごとに神奈川県からの受験生数が増えています。栄東の求心力の高さが改めて実感できるでしょう。
どの受験生も落ち着いていつも通りの実力が出せますように!
受験生数が多いからこそ、余裕を持って行動したい
広いエリアから受験生が集まることもあり、集合時間は9時と比較的余裕のある時間に設定されている栄東中学校の入試。
筆者は7時50分ごろの学校到着を目指して、上野駅6時59分発の宇都宮線に乗車しましたが、車両内をパッと見渡しただけでも何組かの受験生親子の姿がみとめられます。沿線の赤羽駅や大宮駅などからも通勤客に混ざってたくさんの受験生親子が乗り込んできます。
※写真は、筆者が7時35分頃に東大宮駅に着いた時の改札の様子
電車は到着予定時刻から数分遅れて最寄りの東大宮駅に到着。ホームに降り立つとすでに混雑しています。学校へ向かう道すがら、信号待ちでは待機列ができていたことも印象的です。先生や在校生、警備員さんが誘導役として出ており、優しくテキパキと声をかけてくれます。
和やかに話す親子や元気いっぱいに「おはようございます!」と先生方に返答する受験生の姿にほっこりとしました。
学校までは基本的に一本道で普段であれば徒歩10分程度の道のりですが、人の波に乗りながらおよそ15分程度で学校に到着しました。
※写真は、駅から校内まで続く人の波
受験生たちが登校するピークタイムは8時30分ごろ。集合時間に近づくほどに東大宮駅から列がずっと続いているような状態になります。東大宮駅のホームは人が溢れんばかりになるため、極力時間に余裕のある登校をおすすめします。
構内へ足を踏み入れると、受験生退出に関するお知らせが保護者向けに配布されていました。順路に沿ってぐるりと半周したら親子は一旦お別れになります。
登校時は受験番号ではなく、到着順に試験教室へ入室します。ただし、試験終了後はまず他校の午後入試を控えている受験生、そのあとは受験番号の若い順からの退出となります。
受験番号順の入室でないため、解答用紙の取り違えが起こらないようにQRコードによる管理など、受験生数が圧倒的に多い同校ならではの工夫が随所に施されています。
※入試終了後は受験番号順にグループでの退出となる
各クラブに所属する在校生たちの有志も受験生を直接応援するべく、サポートしています。
チアダンス部に所属するある中3生は、自身が受験生の時に体調を崩していて、在校生に優しく先導された思い出と感謝の気持ちから、毎年入試のお手伝いを願い出ているのだとか。
※写真は、試験教室の黒板に掲示された日程
諸注意の放送前の時間帯にはお手洗いの使用を促すなど、受験生たちができるだけリラックスして臨めるような環境を整える努力が見える栄東中学校の入試。学校の各所に先生方や在校生たちの思いやりがあふれています。
※写真は、控室となっている体育館(講堂)でわが子の健闘を祈る保護者
いよいよ始まった2025年入試
いよいよ始まった2025年入試。インフルエンザが猛威を振るうなか、果敢に入試に臨む受験生たちの姿が見られました。後悔のなきよう、でもくれぐれも無理のないよう、受験生親子が納得できる入試の日々を送れるよう祈念しています!