先生にインタビュー「探究学習編」(2024高校受験情報誌 my SPECIAL ONE 特集より)
首都圏模試センターが発行する『my SPECIAL ONE』のコンセプトは、キミの“スペシャル”になる学校がきっと見つかる、じっくり知る、じっくり選べる高校受験情報誌です。特集記事【先生にインタビュー「探究学習編」】について、ご紹介します。
my SPECIAL ONE(2024年8月発行)
首都圏模試センターが発行する『my SPECIAL ONE』のコンセプトは、キミの“スペシャル”になる学校がきっと見つかる、じっくり知る、じっくり選べる高校受験情報誌です。高校受験において、受験する学校を割り振られてしまう現在の進路指導(入試システム)のもとでは、自分にとってベストの選択肢を探しにくい状況が生まれているのが現状です。先進的でユニークな“ 希望の私立高等学校 ”の存在を、本誌では多くの高校受験生と保護者にお伝えします。
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先生にインタビュー「探究学習編」
高校受験では、一概に『内申点』や『偏差値』だけで判断をすることが最適であるといえません。多面的に各学校の情報を収集し、将来にむけた学校選びをすることが重要となります。今回は、「探究学習」の取り組み事例を一部、ご紹介いたします。
探究学習とは
自ら問いを立てて、その解決に向けて情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換・協働したりしながら進めていく学習活動のこと(未来社会を切り拓くための資質・能力の育成)
京華高等学校(東京・文京区/男子校)
池本先生にインタビューしました。
京華では、「クエストエデュケーション」という探究学習プログラムを行っています。このプログラムでは、様々な企業からテーマが与えられ、生徒たちはそのテーマに基づいて最適な解決策や考えを提案します。その結果、優れた考えやテーマに基づいたアイディアが評価され、クエストカップ全国大会に進むことができます。クエストカップでは、大和ハウス様、塩野義製薬様からのテーマに対する提案が評価され優秀賞を受賞することができました。
この探究学習プログラムをきっかけに、生徒たちは自分の将来や、自分の能力やスキルがどのように活かせるかを考える機会を得ます。これにより、社会に出るという意味をより深く理解し、自分の将来を決める一つのきっかけとなります。
聖パウロ学園高等学校(東京・八王子市/共学校)
小島先生にインタビューしました。
探究学習には様々なプログラムがありますが、今回は、聖パウロ学園が森に囲まれた学校であることから、森に関する探究学習についてご紹介します。生徒たちは「森の教室で授業を受けたくないですか?」という問いに対して、様々なアイディアを出しました。その結果、生徒たちは自分たちで森の中に教室を作ることを決め、場所を選び、下草を刈り、木を伐採し、ウッドデッキで床を張り、机や椅子を作りました。
さらに、生徒たちは春の思い出キャンプを開催したり、お昼ご飯が食べられる場所を作ったりと、様々なアイディアを実現しています。その一環として、ランドスケープアーキテクトの専門家に来ていただき、森の景観や環境を生かしながら森の教室を作ることを進めています。また、生徒たちは森の保水力を上げることを目指しています。具体的には、森の地面を掘り、木の根っこに近い部分におがくずを埋めることで、土を柔らかくし、吸水力を上げることを計画しています。これらの活動は、地域の大人たちの協力を得ながら行われており、多くの専門家から高い評価を受けています。生徒たちは、これらの活動を通じて、森の保全についての深い理解と、自分たちが頑張っていく意欲を持つようになりました。その成果として、グリーンインフラジャパンポスターセッションにて奨励賞をいただくことができました。
実践学園高等学校(東京・中野区/共学校)
武井先生にインタビューしました。
実践学園の探究学習では、高校1年生から全体でオリエンテーションを行い、探究とは何かを学びます。ここでは、文科省が提唱する「探究のスパイラル」を紹介します。これは、自分自身が問いを立て、情報を集め、意見を交わし、課題を解決し、さらに新たな問いを立てるというスパイラルを意味します。実践学園では、この中で社会の答えのない問題や課題に対して、主体的に解決していく姿勢を身につけることを重視しています。特に、社会の答えのない問題や課題に対する解決策を見つけることは、不安や恐怖を感じることもあります。しかし、それよりも、大きな問題や課題を解決する過程で感じるドキドキやワクワクを大切にしましょうと伝えています。
探究学習で得てほしい力としては、課題の発見と解決、主体性、そして動機づけを挙げています。例えば、高校1年生では、地域探究を実施しています。自分の地域で交通渋滞が多いという問題があったとき、将来その問題を解決したいと思ったら、社会学や交通工学、経済学を学ぼうと考えることが大切です。実践学園では、自身の中での幅を広げようという生徒を育てていきたいと考えております。
新渡戸文化高等学校(東京・中野区/共学校)
奥津先生にインタビューしました。
新渡戸文化の探究学習は、他の学校と大きく異なる点があります。それは、生徒たちが主体となり、多様な分野で広がりを見せる探究活動が行われていることです。探究学習の成果は一つに限らず、出口も含めて多様です。私たちはこれを「プロジェクト」と呼び、生徒たちは多くのプロジェクトを作り上げています。昨年だけでも約150のプロジェクトが生まれ、それぞれが異なるストーリーとアウトプットを持っています。生徒たちは自分たちのプロジェクトを通じて社会に挑戦しています。具体的には、探究をする日(水曜日)は、時間割が全て空いており、生徒たちはその日をフル活用して、自分たちでデザインします。何をするか、何をしたいか、どういうことを目指すか、これら全てを生徒自身が考えます。この自由度の高さが新渡戸文化の特徴です。
生徒たちは自分の想いを繋げて様々なプロジェクトを生み出しています。例えば、プラモデルが好きという純粋な気持ちから、自分が持っているプラモデルに実際に乗っていた人がまだ生存していることを知り、その人の家を訪問し、その経験を聞くというプロジェクトもあります。また、その思いを人に伝えるために、同級生向けのオンライン授業を行ったり、様々な人を招いてシンポジウムを企画したりするなど発展をし、更なる多様なプロジェクトが生まれています。新渡戸文化の探究学習では、「100人の大人に出会うこと」を大切にしています。先生だけでなく、様々な人に出会い、自分の思いを伝え、それをプロジェクトとして外に発信することを奨励しています。これらの要素が、本校のプロジェクトを支える要因となっています。
日出学園高等学校(千葉・市川市/共学校)
石川先生にインタビューしました。
日出学園では、探究学習を課外活動や授業外で行っています。具体的には、「フライヤーズ」という名称の活動を約10年間行っております。この名称は、アメリカ合衆国でやる気のある若者たちが集まって何かをしようという意味を込めて名付けられました。フライヤーズでは、商品開発や撮影のお手伝い、説明会のお手伝いなどを行っています。また、毎日のように見学を行い、時間があれば生徒たちが案内を行うなどの活動も行っています。商品開発では、生徒たちは1年間かけて新しい商品を考え、それが実際に商品化されるのかを試行錯誤しながら考えています。
撮影のお手伝いでは、明電舎という企業、エアーサロンパス、カロリーメイトのCMなどの撮影の裏方を中心にお手伝いをしました。これにより、生徒たちは企業の名前を覚え、広告代理店の博報堂や電通など、多くの企業と触れ合うことができます。これは、将来、就職したい企業名を知らない生徒たちにとって非常に大切な経験となります。さらに、ボランティア活動を通じて、本校は人間教育を重視しています。生徒たちは、人として生きていく上で何が幸せで何が幸福か、つまりウェルビーイングというものを学んでいます。これらの活動は、物やお金ではなく、人と人との経験を通じて探究活動を行うという、本校の探究学習のあり方を示しています。
文京学院大学女子高等学校(東京・文京区/女子校)
西山先生にインタビューしました。
文京学院大学女子は2012年にスーパーサイエンスハイスクール(SSH)を取得し、そこから探究研究という学びを深めてきました。そこで学んだノウハウや技法を活かし、探究的な学びや探究活動に取り組んでいます。1年生では、3時間の探究的な学びの時間が設けられています。その中で、「20年後のプリキュアについて考える」というテーマを通じて、未来の社会やニーズを想像しながら探究の基礎を学んでいます。その後、2年生、3年生と進むにつれて学びは発展的に繋がっていきます。3年生になると、各自が一つのテーマを設け、それぞれの教員が担当する、大学のゼミのような形で約1年間継続して研究探究を進めていきます。その結果、様々なテーマの研究が生まれています。
文京学院大学女子では文系の生徒も積極的に研究に取り組んでいます。例えば、マイナビキャリア甲子園への参加や、一昨年にはミツカンの「味ぽん」をテーマにした研究など、様々な活動を行っています。また、一昨年には国際科学技術者という政府主催の大会に参加し、香港の生徒が世界で4位に入賞するなどの成果を上げました。多様な研究活動を行うことで、最終的に大学進学を目指す生徒たちにとって貴重な経験となっています。