受験生マイページ ログイン
受験情報ブログ

グローバル教育のこれから【サレジアン国際世田谷】Vol.2

サレジアン国際世田谷のインターナショナルクラスとは
文・鈴木裕之
株式会社スタディエクステンション、...

2023年度から共学化したサレジアン国際学園世田谷。建学の精神に、創立者である聖ヨハネ・ボスコの全人間教育を掲げ、「21世紀に活躍できる世界市民力」の育成を目指しています。

同年度からは、本科クラスとインターナショナルクラスの2コース制を実施。今回は、インターナショナルクラスについて、インターナショナル推進部部長の上田かおり先生にお話を伺いました。

グローバル教育のこれから【サレジアン国際世田谷】Vol.1の記事はコチラ

▼インターナショナル推進部長:上田 かおり 先生

【サレジアン国際】上田先生.png

SAP探究活動のテーマと生徒の成長

SAPの探究活動というのは各グループがテーマを決めていくスタイルなのですか。それとも全員一緒のテーマで進めていくのでしょうか。

上田先生:中学1年生の大きなテーマが文化学、中学2年生になると環境問題、中学3年生では社会問題という大きな枠があって、中学1年生で入ってきたら世界に目を向けるための多角的な視点を手に入れるというところから始めます。多様性とかグローバルな思考を獲得するために、パーソナルな視点、ローカルな視点、ナショナルな視点、そしてグローバルな視点はどう違うのだろうかということを考えるのが4月の最初のレッスンになります。その後は多様性について議論したり、世界の国々の様々な文化習慣あるいはお祭りなどを取り上げたりして、ポスターセッションで発表します。1学期にすでに1回やりまして、オールイングリッシュ、3人グループでした。私も6月上旬ぐらいに見に行ったのですけれども、4月の時にまだ不慣れで両隣からサポートを受けていたSGのお子さんが、入学してまだ2ヶ月ぐらいの段階で、人前で堂々と英語で発表していて、間の取り方だとか、物の伝え方やジェスチャーなどが、誰がAGで誰がSGなのかがもはや分からなくなるほど成長した姿を見せていました。これがSAPを通して獲得されることです。人前でプレゼンする、しかも英語でそれをしないといけないとなると、度胸がつくというか、技術的な面の成長はもちろん、英語で発表する度胸を2ヶ月くらいで身につけていくのには驚かされます。

中1も中2も同じ時期にSAPのプレゼンテーションを行っているのですか

上田先生:私たちの学校では、本科もインタークラスも、10月の学園祭と1月の年に2回、必ず学校をあげて プレゼンテーションとポスターセッションをします。ですので、その2回に向けて大きな流れでやっていくのはもちろんですが、小さなプレゼンというのは、至るところで、日常的にあります。中学2年生のSAPでももちろん発表などは当然のように行われます。生徒からすると、年中何かを分析して、それをまとめて発表するというのが繰り返しあるという学園生活だと思います。

PBLとSAPの役割とその違い

サレジアン国際学園世田谷では、PBLも重視していると思いますが、そのPBLとSAPというのはほぼイコールと考えてよいのですか。それともPBLで指す内容とSAPはまた違うのでしょうか。PBLとそのSAPというのはどういう位置関係にあるのでしょうか。

上田先生:PBLというのはサレジアンの根幹に流れているメソッド、獲得しなくてはいけない考え方のスキルです。これはインターも本科も関係なく、「サレジアンで学ぶ」ということが、イコール「PBLで学ぶ」ということです。ロジカル、クリティカル・クリエイティブ、そして与えられたトリガークエスチョンに対して自分なりの論の展開をしていくという学びです。これは日本語であろうと英語であろうと、本科もインターも、日々の時間割でどの教科でも行っていることなのです。一方、SAPというのはインターだけにあります。本科には「ゼミ」があって、そこで深く探究をしていくことになります。SAPの方は、通常のPBLで十分各教科で学んでいるスキルを活かしながら、文化学や環境問題といったテーマに、違う角度から考えを深めていくわけです。

今後の方向性で計画されていることは何かありますでしょうか。例えば、海外ディプロマ取得コースを始められるというお話を以前に伺ったことがあります。

上田先生:インターの生徒は中学に入学する時には、「サレジアン世田谷に入る」ことがイコール「海外の大学に行く、あるいは海外で活躍する」ということにも繋がっているのですね。色々なアンケートでも集計しましたが、中学1年生も2年生も海外志向が強いです。大学にしてもその生活の拠点にしても、活躍の場がもはや国内だけでは全然ないわけなので、海外の大学進学を見据えた時にアドバンテージになるものを学校として用意しないといけないと思っています。「デュアルディプロマプログラム」というのはそういった意味でも当初から導入するということで着々と準備をしているところです。1期生が高校1年生になる2026年度から始動できるように進めています。

また、海外研修プログラムも構築しているところです。1期生が中3になった時には、インターの子は全員参加で、オーストラリアシドニーに海外研修に行きます。デュアルディプロマがオーストラリアのプログラムを想定しているという繋がりもありますが、シドニー大学やニューサウスウェルズ大学など、一流大学と呼ばれている大学のキャンパスツアーを行い、マッコーリー大学の学生寮に宿泊するようなプログラムを予定しています。中学3年生の11月頃というのは、そろそろ高校生という段階ですので、キャリアのことを考えたり、海外の大学で学ぶ、海外で生活するというのがどういうことなのかをイメージしてもらったりする機会になります。現地の大学生とも交流、ディスカッション・ディベートをする機会も作ります。ちょうど中3のSAPでは、国際的な視野から地球規模の問題や世界政治を学ぶというのがテーマになっていますので、そういうSAPで学んだことの延長線上になるように、アカデミックよりのプログラムを組んでいきます。

また、本科もインターも、中3から高2まで各学年で参加できるプログラムを用意しています。中3では3学期にターム留学をカナダのトロント郊外で実施します。これは英検2級以上を持っていれば誰でも参加できるものです。高校1年生になりますとアメリカのプログラムがあります。大学選びもだんだんと本格化する頃だと思いますので、夏休みに、例えばスタンフォード大学のキャンパスツアーに行き、アドミッションで話を聞くなどといった、アカデミックよりの、レベルの高いプログラムも入れていきます。高1では他にシンガポールに行くプログラムもあります。シンガポール国立大学で、社会問題や環境問題、SDGsや多文化社会などを実際に見て、本科の方であればゼミの集大成、インター生であればSAPの集大成として論文を書くという成果物につなげてもらいます。他には、世界中に兄弟校がありますので、現在もやっていますが、3 週間ほど交換留学に行けますし、あとは高1から高2にかけてはイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアで長期1年の留学もあります。

サレジアンの国際的な学びとデュアルディプロマ

もともとサレジアンさんのネットワークは世界中にたくさんありますね

上田先生:はい、そうです。 オーストラリアのデュアルディプロマについても、オーストラリアに誘導したいということではなくて、デュアルディプロマで海外の高校卒業資格を得ることに意味があります。アメリカに行きたいのであればこのインタークラスの6年間の学びの延長線上にアメリカの大学も想定内にあるわけです。インター生は、保護者も生徒も将来のキャリアのことや大学のことをすごく気にされていると感じますので、それにしっかりと応えていきたいと考えています。