グローバル教育のこれから【サレジアン国際世田谷】Vol.1
文・鈴木裕之
株式会社スタディエクステンション、...
2023年度から共学化したサレジアン国際学園世田谷。建学の精神に、創立者である聖ヨハネ・ボスコの全人間教育を掲げ、「21世紀に活躍できる世界市民力」の育成を目指しています。
同年度からは、本科クラスとインターナショナルクラスの2コース制を実施。今回は、インターナショナルクラスについて、インターナショナル推進部部長の上田かおり先生にお話を伺いました。
StandardとAdvancedの違い
▼インターナショナル推進部長:上田 かおり 先生
最初に入試制度について伺います。御校には本科とインターナショナルとがあり、インターナショナルは、StandardとAdvancedに分かれているかと思いますが、それぞれの入試の違いやコースの違いについて教えてください。
上田先生:帰国生入試は3回(11月、12月、1月)行われ、海外経験をしてきた、いわゆる文字通り帰国生を対象にした試験です。ありがたいことに、昨年の1期生に比べて、今年は帰国生(=Advancedレベル、AG)が志望者・入学者ともにかなり増えました。Advanced は2月の一般入試でも募集しており、帰国生と同様に英語のレベルの高い受験者が大勢受験してくださったのですが、2月入試では、Standardの受験生もハードルが高くなりました。Standardを望んでいたけれども、狭き門のために本科の方にスライド合格になったお子さんもいらっしゃいました。
そうした2期生(今の中1生)は、AdvancedとStandardの比率が2対1に近いものになりました。ですから、英語ゼロベースで入学して、これから英語を本格的に学ぶという子の両隣には、英語を不自由なく話せるお子さんがバディとして存在しているということになります。これによって、Standard のお子様の英語力が飛躍的にスピード感を持って伸びてくるわけです。今年入ってきた Standardのお子さんは25人いるのですが、5月下旬に中間テストがあり、そのテスト後に発足するIntermediateクラスに、入学後たった1ヶ月半で8人の生徒が上がっていきました。さらにそのうちの1人のお子さんは今度の2学期からはAdvanced英語に行く予定です。英語においてStandard、Intermediate、Advancedとステップアップした生徒は、Advancedレベルの英語に慣れてきたら、トライアル期間を経て、理科・数学・社会のオールイングリッシュの Advancedクラスに、自分の得意な科目から進んでいくことになります。成長スピードの速い英語環境が整ってきたと実感しています。
ホームルームと科目別クラスの仕組み
インターのクラスについて確認ですが、AdvancedもStandardもホームルームは一緒で、 科目のクラスが分かれていく、特に Advancedの方はオールイングリッシュになっていくというイメージでよいですか。
上田先生:そうですね。Standardと Advancedは入試科目が違うというのがまずあります。入学後は、インターナショナルクラスはホームルームクラスが2クラスありまして、StandardとAdvancedがミックスになります。ホームルームではミックスなのですが、英語・数学・理科・社会の4教科の時になるとホームルームクラスが分解されまして、それぞれのレベルのところで英・数・理・社は移動をして授業を受けます。そして、国語とか体育・音楽・宗教といった科目になると、またホームルームクラスになってStandardとAdvancedの混在クラスで日本語による授業を受けることになります。
バディシステムと学びの環境
先ほどのお話にあったバディというのは、特に英語のクラスにおいて、あるいはAdvancedの中に後から入ってくるStandardの方のサポートとして活躍するといったシステムなのですか。
上田先生:バディシステムが一番機能するのは、ホームルームクラスですね。担任がインターナショナルティーチャーですので、4月入学式のその日からオールイングリッシュにさらされるわけです。ですから、入学式の日からクラスの座席をバディ用に組みます。AdvancedとStandardでそれぞれ入学してきた生徒がバディになるように2人ないし3人の座席に組んでしまいます。そして入学式の日から言語的なサポート、主には英語を日本語にしてあげるとか、あるいは逆にAdvancedの生徒が日本語のサポートを受けられるようにするなど、相互に貢献し合うようにします。バディというお友達が、必ずついているという精神的に安心できる環境を用意しているのです。さらに、週2時間のオールイングリッシュによる探究活動「サレジアンアカデミックプログラム」(SAP)の時にもバディが活躍します。SAPは、SGやAGといったレベルごとではなくて、ホームルーム単位で行っているので、担当であるインターナショナルティーチャーが探究活動をオールイングリッシュでどんどん進めていきます。その時にもバディが相当活躍していて、 両隣からStandardの生徒をサポートする様子は、小さな英語の先生が両隣にいるようで、頼もしく感じます。