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【ミライ教育Watching】駒込中学・高等学校

高等学校「国際教養コース」についてご紹介します!

駒込中学・高等学校(東京都文京区・共学校)は、「生徒一人ひとりが光り輝く人間になってほしい」と考えています。今回は、高等学校の生徒が世界で活躍するために、論理的思考力・多元的な視点・問題探求力を育てる「国際教養コース」についてご紹介します。

「次世代のリーダー」に必要なスキルとは?

駒込高等学校は、1926年に東京都文京区に創立された中高一貫の学校です。自由でのびやかな校風で知られる同校は、生徒の多様なキャリアデザインに応えられるように、3つのコースを敷いています。前回は理系先進コースの授業にお邪魔してきましたが、今回は「国際教養コース」についてご紹介します。

国際教養コースとは

国際教養コースでは、生徒が世界で活躍するために必要とされる論理的思考力・多元的な視点・問題解決能力を育むことを目的として授業が展開されています。

語学教育については、他コースよりも英語科目数が多く設定されているだけでなく、TOEFL対策や異文化理解の授業は全て英語で実施されているなど、語学力をブラッシュアップさせるための先進的な取り組みが実践されています。

また、高3生次には、これまでの授業で得た知識や、自分の興味関心で調べた事柄をもとに、卒業論文を執筆します。テーマ設定・先行研究の確認・執筆指導に至るまで、先生が1対1で生徒を指導します。中間発表では生徒のプレゼンテーション動画を撮影し、全ての先生がチェックするなど、大学レベルの指導が行われます。


国際教養コース「現代世界論」の様子

今回は、国際教養コースの独自な取り組みのひとつである「現代世界論」を見学しました。この授業は高1生~高3生の毎学年で毎週1時間設定されています。数人のチームあるいは個人でディベートやプレゼンテーションを実施し、それに対して生徒たち自身が相互評価を行います。

この日は、「ロシアに軍事侵攻されるウクライナを日本政府は積極的に支援すべきか否か」というテーマのもとに、3人1組の2チーム対抗でディベートが実施されました。

前もって収集したデータや資料をもとに作成したパワーポイントを用い、肯定側・否定側のそれぞれの立場から立論していきます。チームが発表した後に、もう片方のチームが反対尋問を行い、最終的にどちらのチームの論証が優れていたかを、第三者のクラスメイトが投票で選んでいました。

論証から判定まで、全て生徒たち自身が行うことにより、自ら発信する力と他者を正当に評価する力を磨くことができます。どちらのチームも、法律・経済・国際社会・エネルギー・人権など、多面的で切り口の鋭い議論を交わしていました。

ディベート後には武石先生が総括し、見解を述べていましたが、生徒たちは非常に真剣な表情で耳を傾けていました。「来年には有権者になるあなたたちは、世界における日本の立場をふまえ、日本政府の政策がそれでいいのかどうかを自分たちで考えて判断し、ここだと思うところに投票しなければならない」という言葉は、ディベートを経験した後の生徒たちの胸に強く響いたのではないでしょうか。

国際教養コースについて先生に聞く

国際教養コースの立ち上げに携わった武石先生に、コースについてインタビューしました。

(写真)社会科主任 武石 慎一 先生

Q. 国際教養コースをつくられたときの思いを聞かせてください。

次世代のリーダーになるような人間を育てたいという思いがありました。英語ができるだけではなくて、英語をツールとして当然に使いつつ、社会で活躍できる子を育成したい。日本人が一番苦手なのは自己主張ですが、それができなければ世界と戦えません。自分の意見をきちんと持って立ち向かうことを、3年かけて訓練しようと思いました。

Q. 国際教養コースのカリキュラムの特徴を教えてください。

チームで物事に取り組んだり、議論を尽くしたりすることを主軸に据えているのが特徴です。現代世界論のような文系の授業はもちろん、環境という理系の授業でもそうしています。理数科目に苦手意識を持つ生徒たちに向けて、「理系的な視点から社会をどのように変えられるか?」というテーマでカリキュラムを展開しています。高1生次は概論的なことを学んで基礎学力を身につけ、高2生次はプロジェクトチームに分かれて研究テーマを定めて追究し、発表します。生徒たち自身で考えて行動することが重要だと思っているので、先生側は必要なときにだけアドバイスしますが、基本的には静観するようにしています。どうすれば優秀な仲間の意見に対抗できるか、質の高い発表ができるか、生徒たちは互いに切磋琢磨していますよ。

Q. 今日見学させていただいた現代世界論はどのような授業なのでしょうか。

高1生~高3生の毎学年で実施しますが、進級するごとに難易度も上がっていきます。高1生はグループのプレゼンテーションで終わりますが、高2生はチーム対抗のディベートで他人の反論に答える練習をします。高3生は個人のプレゼンテーションに質疑応答が加わるため、他者の指摘に自分1人で答えられるだけの知識や話術を身につけておかなければなりません。他人と議論したり対話したりするスキルは、一朝一夕で身に付くものではありませんから、人前で自信を持って自分の意見を言えるようになるために、段階を踏んでトレーニングをしていきます。

Q. 高校を卒業してから、生徒たちはスキルを発揮できているのでしょうか。

大学に入ると、議論やプレゼンテーションをする機会が多くなりますが、やったことのない同級生がほとんどなので、圧倒的にイニシアチブが取れると聞きます。うちの卒業生が教える立場になり、いつも中心メンバーになれると皆が言うので、次世代のリーダーを育てるという理念とうまくかみ合っているなと実感しています。

Q. 国際教養コースのこの先について考えていらっしゃることはありますか。

生徒たちに、対話の大切さを伝えたいですね。一つのテーマについて皆で意見を出し合い、人の意見を聞いて、自分と違う考え方をする人もいるんだということを理解してほしいです。これまでは議論やディベートで勝ち負けを意識してきましたが、そうではなくて、本当にお互いを知るためには、きちんと相手の意見を聞き、自分の意見を伝えることを繰り返すのが必要なのだと知ってほしいです。

未知を探究、未来を拓く「国際教養コース」

国際教養コースの授業で取り扱うテーマは、高校生が普通に暮らしているだけでは触れる機会のないような高度なものばかりでしたが、生徒たちはわからないことをiPadで使って調べたり、先生にアドバイスを受けに行ったりと、自分の世界を広げていこうとしている様子が印象的でした。先生方は、生徒の自主性を大切にしながらも、困っているときには親身になってサポートしてくださるので、自分の好きなことやこうありたいという将来像を、自分からどんどん追究したいと考える生徒に適したコースなのではないかと取材を通じて感じました。

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