2021年度入試でも変わらぬ高い人気を誇る豊島岡女子学園
東京・神奈川入試2日目の2月2日。この日に第1回入試を行った、女子最難関層が集う豊島岡女子学園。応募者数は2020年度入試の1096名から微増の1109名と、依然高い人気となりました。2021年度第1回入試の様子や2020年度に同校で行われた教育についてお伝えします。〈取材・撮影・文/市村幸妙〉
首都圏トップ層の女子受験生が一堂に会する
校舎へ一歩足を踏み入れると、校長の竹鼻志乃先生をはじめ、受験生を出迎える豊島岡女子学園の先生方の声が響きます。この明るいあいさつの声に緊張がほぐれたという受験生も多かったのではないでしょうか。
今年度、これまでの入試の時と異なるのは、新型コロナウイルス感染症対策のため、保護者が学校内に入れないということ。また例年はズラーッと100名以上が並ぶ塾の先生たちの応援が自粛されたことです。
その他、登校時の混雑回避のために、集合時間を8時、8時10分、8時20分と3段回に分け入試を実施。受験番号順ではなく、入室順に着席して、点呼・説明、そして試験の時間を待ちます。
昨年までは受験番号ごとに順次退場していましたが、今年はバーコードで入室時間を認証して退出時間を保護者にお知らせするなど、保護者が学校の外で安心して待つことができるよう、新たにシステムを構築。
試験教室はこれまで7列だったところを6列に1列減らし、密を避けるよう対策を講じました。
また、いざというときには冷暖房完備の体育館での受験対応も検討するなど、様々な角度からの備えが行われていました。
さらに試験当日は、新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者で無症状の方や、体調不良の方への対応として、2人の看護師を別棟に常駐させるなどの措置がとられ、対策は万全です。
しかし、さすが豊島岡女子学園の受験生たちです。日頃からの体調管理がきちんとできていたのでしょう。今年は体調不良の受験者は一人もいなかったとのこと。これらは幸い杞憂に終わりました。
竹鼻先生は「受験生のみなさんが健康で受けに来てくれたことがとてもうれしかったですね。しっかりと実力を発揮していただけたらと思います」と話してくれました。
受験生・在校生への思いを形に充実した教育は加速
先に触れた通り集合時間は8時〜なので、入場開始時刻は7時を予定していましたが、その前にはすでに数組の受験生親子が正門前で待っていました。ちょうどこの時間はとても雨足が強かったため、6時50分に開場されました。
雨の影響で遅延になる可能性などに備えて多くの受験生は早めに出発したのか、今年は7時10分頃をピークに、池袋駅や東池袋駅から受験生の人波が続きました。7時45分頃には雨は弱まりましたが、多くの受験生はもう校内へ入った様子。
校門前では歩行者などに気遣いながらも、手を振り合ったり、堅く握手したり、はたまた離れがたそうな様子の親子なども見られました。
この日、受験生をサポートする役割は進路が決定済みの高3生が受け持ちました。例年は高2生が担当するので、無念に思った在校生が多かった模様。ただし、高3生も試験教室には入らずに、適宜サポートをする形を取ったので、通常時よりは受験生との触れ合いが少なくなったことを残念そうにしていたのだとか。
なお、2020年の休校要請が出た際には、いち早くオンライン化に切り替え、根を詰めないこと、つながりを感じられるようにといった、様々な配慮をしながら授業などの対応を行った豊島岡女子学園。在校生や保護者にとって大きな安心感につながったことでしょう。
竹鼻先生に学校再開後の様子を伺うと、「生徒たちも教員も、実際に会って一緒にいられる時間を大切に思い、大切に使うようになりました」と教えてくれました。また修学旅行が中止になってしまった中3生たちからは、せめてもの代替案としてクイズ大会やクラス対抗の「運針リレー」などのアイディアが出てきて、生徒たちの運営によって行われたのだとか。同校らしい取り組みと、生徒たちの自主性が生かされた教育が光ります。
さらに学校でみんなでいられる時間を有効に使うべく、これまでは希望者参加だった中学生対象の「モノづくりプロジェクトJr.」の講座は、2020年度は全員で行ったのだそう。友達と一緒に手を動かしたり、それぞれのクリエイティビティに触れ合ったりと、制約がある中でも充実した時間を過ごせたことは、貴重な青春の1ページになったはずです。
このように在校生はもちろん、受験生も大切にしている豊島岡女子学園。同校は2022年度入試から高校募集を停止し、完全中高一貫校になります。中学募集定員数は変わらないので、これまで以上に生徒一人ひとりに目が行き届くきめ細かな教育ができる体制が整えられます。ますます注目が集まること間違いありません。