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聖和学院中の楽しく取り組める新設「英語プログラミング入試」とは?

聖和学院中学校が今春2020年入試から新設した「英語プログラミング入試」の様子をご紹介します。

聖和学院中学校〈神奈川・逗子市。女子校〉では、今春2020年入試から新たに「英語プログラミング入試」を導入しました。初年度は、2月1日(土)午前の第1回「A入試」と、2月3日(月)午後の第4回「E入試」のなかで実施されましたが、今回はそのうち「E入試」で行われた「英語プログラミング入試」の様子を取材させていただきました。(取材・撮影・文/北 一成)

「英語プログラミング入試」導入初年度の志願者は?

聖和学院中学校〈神奈川・逗子市。女子校〉では、今春2020年入試から新たに「英語プログラミング入試」を導入しました。

初年度は、2月1日(土)午前の第1回「A入試」と、2月3日(月)午後の第4回「E入試」のなかで実施されましたが、今回はそのうち「E入試」で行われた「英語プログラミング入試」の様子を取材させていただきました。

ちなみに2月1日(土)午前の第1回「A入試」で行われた初めての「英語プログラミング入試」の志願者は3名、当日は3名全員が受験に訪れ、このうち2名が合格したと伺いました。

続いて、この2月3日(月)午後の第4回「E入試」のなかで行われる「英語プログラミング入試」の志願者は最終的に7名となりましたが、このうち3名は、すでに聖和学院中の他の入試で合格を得ている受験生もいて当日は欠席となりました。

中学入試に広がる「プログラミング入試」導入の動き

首都圏の中学入試に「プログラミング入試」が登場したのは、一昨年2018年に、埼玉県の大妻嵐山中学校〈比企郡嵐山町。女子校〉が、同校の「みらい力・表現型入試」のなかに選択で導入したのが最初です。

続いて昨年2019年には、東京都では駒込中学校〈文京区。共学校〉が「STEM入試」のなかで導入、聖徳学園中学校〈武蔵野市。共学校〉が「アピール入試」のなかで導入し、神奈川県では相模女子大学中学部〈相模原市。女子校〉が、神奈川では初めての「プログラミング入試」導入に踏み切り、大いに注目を集めて話題となりました。

そして今春2020年入試では、東京都では八王子実践中学校が「プログラミング入試」を新設。神奈川では、この聖和学院中学校が「英語プログラミング入試」というユニークな形式の新入試導入に踏み切りました。

今年2020年度からは小学校でもプログラミングが必修化

2017年に告知され、2018~2019年の移行期間を経て、この2020年から全面実施される新しい小学校の学習指導要領のなかでは、「プログラミング教育の必修化」という意味合いが盛り込まれています。

実際には「プログラミング」が教科化されたわけではありませんが、学習指導要領改訂に向けた中央教育審議会の議論のなかで「プログラミング教育の必修化」が検討され、「コンピュータを受け身ではなく、積極的に活用する力」「プログラミング的思考(論理的思考力)」が求められるという結論になったのです。

小学校の新しい学習指導要領では、以下の2つの学習活動が定められています。

(ア)児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動

(イ)児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動

このうち(ア)はタイピングなどコンピュータの基本的な活用スキル、(イ)はコンピュータを動かすための考え方(=論理的思考力)を身につけること、と理解してよいでしょう。

こうした今後の教育の変化に応じて私立中高の教育にもプログラミングが導入され、その動きや考え方が、学習指導要領の変化を先取りする形で、中学入試にも反映され始めているのです。

聖和学院中の「英語プログラミング入試」導入の背景

実はこの聖和学院では、中高とキャンパスを同じくする系列の聖和学院幼稚園と、JR 辻堂駅近くにある聖和学院第二幼稚園で、『KOOV(クーブ)』と呼ばれる、先進的なプログラミング教育のツール(ロボット・プログラミング学習キット)を、STEAM 教育の一環として、すでに2017 年から導入しています。そのノウハウを生かして、中学や高校の授業でも『KOOV(クーブ)』を使った授業を導入して、英語学習に生かしています。

この『KOOV(クーブ)』を使ったプログラミングの授業は、幼稚園では毎週全学年(年少、年中、年長)で実施されていて、「3 歳から」プログラミング学習ができるものです。しかも「英語とプログラミングは親和性がある」ことから、幼稚園でも年長組の授業はネイティブの先生も常駐し、説明も指示もすべて英語で行っていて、園児は英語でのコミュニケーションを楽しみながらプログラミングを学んでいるといいます。

幼稚園児でも楽しく学べる英語でのプログラミング授業を発展させれば、中学生も楽しく学べないはずがありません。こうして聖和学院の先進的な英語教育にプログラミングとICT 教育の要素が加わり、さらに一歩先を行く英語教育が展開され始めているのです。

そうした聖和学院のSTEAM教育を反映したものが、この新たな「英語プログラミング入試」なのです。

ネイティブの先生2名と日本人の先生1名が試験を担当

2月3日(月)当日の午後に受験に訪れた4名のうち3名は「14:30開始(14:15受験生集合)」の回に、残り1名が「15:30開始(15:15受験生集合)」の回にチャレンジしました。

14時15分までに集合した早い回の3名の女子受験生は、入試会場となる校舎に入ると保護者と別れ、ふだんは英語科・情報科をはじめ各科目で多目的に活用され、生徒一人ひとりが備え付けのコンピュータを使うことができるコンピュータトレーニングルームに入り、14時30分からの試験開始に備えます。

ここで受験生を迎えてくれたのは、聖和学院の系列幼稚園と中高で、実際に『KOOV(クーブ)』を使った英語での授業を担当しているネイティブのショーン先生とアンナ先生、〇〇先生の3名です。

聖和学院中の「英語プログラミング入試」は、45分間の「事前説明」と、10分間の休憩を挟んでの60分間の「英語プログラミングテスト(実技)」で行われます。

『KOOV』の基本操作を教わり、簡単なロボットを組み立て操作

試験会場のコンピュータトレーニングルームに取材で入らせていただいた時刻には、すでに最初の45分間の「事前説明」が始まっていましたが、開始から数分後にも関わらず、受験生は『KOOV』を使い、練習課題である「カニさんロボット」を組み立てながら、途中途中で実際の動作を確認していました。

「事前説明」といっても、ただ説明を聞くのではなく、実際に手を動かし、自分の手でロボットを組み立て、iPadを使って動作を確かめつつ、課題の「カニさんロボット」を仕上げる過程で、プログラムを試行錯誤して調整していきます。

この「英語プログラミング入試」の受験生の大半は、昨年から今年1月まで行ってきた、この『KOOV』を使った「英語プログラミング」の「事前体験練習会」に参加したことがあるため、ほとんどためらいなく、必要と考えたパーツを集め、課題のロボットを組み立てながら、iPadのタッチパネル操作でプログラムを考え、実際の動作を確かめていきます。

なかには「事前体験練習会」に未参加の受験生でも、3名の先生方が丁寧に説明をしてくれて、ときには隣に座って、一緒に組み立てや動作確認のアドバイスをしてくれるので、入試というよりは、まるで楽しく取り組める「プログラミング授業」のようです。

「英語プログラミングテスト」では、やや難度の高い課題に挑戦!

45分間の「事前説明」での基礎課題のトライアルを終え、10分間の休憩が終わると、いよいよ60分間の「英語プログラミングテスト」が始まります。

取材に付き添ってくれた広報ご担当の栢本さゆり先生によると、このテストでは、先ほどの課題よりも、やや難度の高い課題に取り組む予定だといいます。

すでに課題の説明を終えたのか、再び試験会場のコンピュータトレーニングルームに入ったときには、もう受験生は3名とも、先ほどまでよりも活発に手を動かし、パーツを集めに動いたり、先生方にアドバイスを求めたりと、テスト本番に入ったことでの緊張感やカタさはまったく感じられません。

今回のテストの課題は、自動車(電車?)型のロボットを組み立て、それを紙に書いたオーバル(陸上競技のトラックのような)形状のコース(道路or線路?)の上を、コースに沿って走らせるという、ややハードルの高い課題です。

それでも見ていると、前半の「事前説明」の時間帯よりも、このテストの時間帯の方が、受験生の動きや、アタマを使って試行錯誤している様子は、むしろ活発化している印象さえ受けます。

交わされる英語の会話や単語は基礎的なものだけ!

「英語プログラミング入試」という名称と形式に含まれる「英語」というところに、やや敷居の高さを感じてしまう小学生と保護者がいるかもしれませんが、決してそんな必要はありません。

このテスト時間のなかでも、ショーン先生やアンナ先生が使う英語は、決して難しいものではなく、小学生でも理解や発声できる基礎的な単語と会話ばかりです。つまり、ここでは決して「英語の得意不得意」や、英語検定などのスコアで測られる英語力が問われているわけではないということです。

ちなみに、「テストの最中の会話は原則として英語ですが、うっかり日本語を使ってしまったからといって、減点をするようなことはありません」と栢本先生。

むしろ、「課題の達成のために、試験官の先生と積極的にコミュニケーションをとろうという意欲や姿勢を見ています」とアンナ先生も話してくれました。

「入学してからも、先生はもちろん周囲の仲間や先輩・後輩とも積極的にコミュニケーションしながら、楽しく学び、学校生活を送るのが、聖和学院の教育と英語学習のスタイルですから…」と栢本先生もいいます。

空間的な力や数的な力、論理的に考える力、粘り強さを問う!

アンナ先生は、「子どもたちがプログラミングに取り組む様子を見ていると、どういう力を持った子か、感じられるようになります。空間的な力が優れている子や、数的な力の高い子、論理的に考える力を持つ子などです。ロボットの実際の動きや誤差を観察して、粘り強くプログラムを微修正していく姿勢も大切な力です」といいます。

そうした力を感じ取ることができるという「英語プログラミング」ですが、試験に立ち会っていた3名の先生方の様子は、受験生と観察し、評価しているというよりは、一人ひとりの受験生が課題に向かう意欲を高め、あきらめずに試行錯誤して、最後は自分の力で課題の達成に近づくことを応援するかのように、ところどころ受験生に寄り添い、個々の持つ潜在的な力や感性を引き出してあげているという印象を受けました。

そして60分間のテストを終えて、それぞれ自分で納得できるところまで課題を進めることができた様子の受験生も、やはりホッとしたようです。

それもそのはず、筆者が見る限り、前半の「事前説明」と、後半の「英語プログラミングテスト」の時間帯ともに、受験生は自分の手とアタマをフル稼働して、課題への取り組みに熱中していたのではないかと感じました。

そして受験生の退室前には、ショーン先生の所見が述べられた後に、3名の先生方からそれぞれの受験生にがんばったことへの労いと称賛の言葉がかけられ、握手が求められている様子が、また聖和学院らしく感じられて、とても素敵でした。

「英語プログラミング特別入試」を2/9(日)に追加実施!

この2月3日午後の第4回「E入試」の「英語プログラミング入試」に訪れた受験生は、この日の夜の合格発表で、幸いみな無事に合格できたといいます。

こうして、ひとまず終了した2回の聖和学院中「英語プログラミング入試」ですが、今回の2回の入試では受験できなかった受験生や保護者からの反響や要望に応えて、2月9日(日)AMに再度、「英語プログラミング入試」を特別に追加実施することが公表されています。

入試の前日2月8日(土)には9時30分より事前体験練習会(予約制)が開催されるそうです。

この聖和学院中学校の2月9日(日)AM実施「英語プログラミング特別入試」に関心のある方は、コチラの記事もご覧いただき、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?