1月20日、幕張メッセにて市川中学校の第1回入学試験実施
千葉県の中学入試が2020年1月20日に解禁日を迎えました。この時期の風物詩ともいえる幕張メッセでの市川中第1回入試には「一般入試」2,736(男子:1,760名・女子976名)名、「4科帰国性入試」は68(男子:50名・女子18名)名、「英語選択入試」には18(男子:10名・女子:8名)名の計2,822名の志望者が集結しました。(取材・撮影・文/北岡優希)
1月20日(月)、千葉県での一般入試開始
千葉県の中学入試が2020年1月20日に解禁日を迎えました。毎年幕張メッセで行われる大規模な入試が話題になる市川中学校ですが、第1回入試には「一般入試」2,736(男子:1,760名・女子976名)名、「4科帰国性入試」は68(男子:50名・女子18名)名、「英語選択入試」には18(男子:10名・女子:8名)名の計2,822名の志望者が集結。前年度志願者は2,691名なので、131名増えたことになります。(取材・撮影・文/北岡優希)
緊張している親子やリラックスしている親子が様々
千葉県入試の位置づけは受験生によって異なっていて、第一志望として臨む受験生もいれば、2月1日からの都内の本番受験に備えての前哨戦として臨む受験生も多くいます。
筆者が海浜幕張駅に到着したのは6時25分頃。その時間、受験生家族は数えるほどしかいませんでしたが、20分後には改札口を埋め尽くすほどの人数が押し寄せてきました。
大寒らしい冷たく澄んだ空気を、輝く朝日が穏やかに照らしていきます。その中を歩く受験生家族は表情も会話の内容も実に様々で、まるでこれから買い物にでも行くかのように雑談をしながら笑い合っている親子もいれば、参考書を見ながら黙々と歩く受験生の後ろを、付き人のようについてコートの乱れを整えている親子などもいました。
改札を出たところでは同校の先生方がプラカードを持ち、誰もが寒さに負けずはっきりした声で案内をしてくださっていたので、安心して会場に向かうことができます。幕張メッセまでは徒歩約10分ですが、ピーク時には行列がほぼ途切れなく続くので、通常より時間がかかります。駅を出てすぐのエスカレーターは大変な行列になっており、少し離れた階段でいく親子も多数いました。
今年は例年とは異なる場所
案内に沿って歩いていくと、今年度の試験会場、展示ホール9・10が見えてきました。同日に別イベントがあるため今年は去年とは異なる場所になったとのことですが、及川副校長先生は、幕張メッセで受験をやるようになった最初の年がこの場所だったので、懐かしさを感じる、と言われていました。
塾の先生方の門前激励も、去年は外で行われていたのが今年は建物内に変わっていたため、心も身体も温かい状態で迎えられていました。門前激励は筆者も経験があることなのですが、これは非常にありがたいことです。建物への入場口も、門前激励を想定した動線で考えられており、同校の塾に対する心遣いも感じられました。
入場口から試験会場までの約40メートルの通路の両脇に、多数の塾の先生方が並んでいる様は圧巻でした。別の塾の先生の声掛けであっても、頑張ろうという気持ちになるものです。
塾の先生方の花道が終わり、「展示ホール9」の案内が見えてきたところで、保護者とはお別れになります。ほとんどの親子が最後の声掛けを入念にしています。まさに「中学受験は家族一丸」という光景がそこに広がっていました。そのため人口密度も凄いことになっていたのですが、同校の先生方が見事に捌いており、混乱する様子は一切見られませんでした。
受験生を見送り、展示ホールを出ると、保護者待機スペースである幕張イベントホールまでの道には在校生がさわやかな挨拶と共に「試験終了後の退場のご案内」を配り、イベントホールまでの案内をしていました。案内の先生方とも引けを取らない堂々としたこの振る舞いを見れば、「入学してからも安心だ」と保護者の方々も思うことでしょう。
幕張イベントホールは9,000人収容の大ホールで、その広さに驚いて内部全景の写真を撮っている保護者が多く見られました。もちろん過ごしやすい室温で、飲み物や軽食が購入できる場所もあり、試験終了までの約5時間、落ち着いて待てるようになっていました。
約2,700名が同時に試験を開始する瞬間
会場に入った受験生たちは、お手洗いに行ったり、静かに集中したり、それぞれ備えていました。
試験会場内は、広大なスペースの中で100人ごとのブロックに仕切りなしで分かれ、それぞれのブロックに試験監督の先生と在校生が3人ほどつき、試験用紙を配ったりお手洗いの案内をしたりしています。細かい諸注意もしていますが、メインの注意事項は放送で行われます。これだけの人数ですが、放送が流れているときは見事なまでの静寂で、誰かの息遣いすら聞こえてきそうな空気でした。
1時限目の国語の試験開始は8時35分。開始のアナウンスとともに、約2,700名が一気に問題用紙をめくり始めます。それぞれの受験生のこの日にかけてきた思いがその音にのり、会場の2階にいた私たち取材陣まで風が届くような感触がしました。
それぞれがそれぞれの思いをこの瞬間にぶつけ、戦っている姿をこの目に焼き付け、会場を出たところで、古賀理事長・宮崎校長先生からのお話がありました。今年度は例年より体調不良で別室に行った受験生や、当日欠席が少なかったということ、特に大きなトラブルもなく無事に始められたことがまず何よりも安心したこと、同校在校生の活躍などを話されていました。科学甲子園や、プロジェクトアドベンチャーなど、校内だけでなく外部にも積極的に出る経験をさせることで、生徒が最も力を発揮できる環境に持っていくことが大切だと言われていました。1月12日に第7回高校生ビジネスプラン・グランプリというものがあり、同校高校生が優秀賞をとったということが千葉県のニュースにも出ていました。
同校はアクティブラーニングにも力を入れており、常に開かれた状態にしているため、いつでも授業見学が可能とのことです。これだけの人数の在校生を、厳しい校則で縛ることもなく、各先生方が高品質の授業を行い、それぞれの個性を尊重して伸ばし活躍させるのですから、これだけの受験生が集まるのも納得がいきます。
同校をはじめとした全ての受験生たちにとって、悔いのない中学入試となりますことを願っています。