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学校特集

西武台新座中学校

自分の主観から離れて論理的に考える
ディベートの要素を取り入れた授業によって大学入試に必要な「思考力・判断力・表現力」を伸ばす!

2021年より「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」が導入されますが、すでに多くの大学が、知識の暗記・再生ではなく受験生の学力を多面的、総合的に判断できるような試験を取り入れています。右は実際にとある私立大学で出題された入試問題ですが、あなたならどのように解答しますか?

ある大学で実際に出題された入試問題

世の中で起こっている様々な出来事やニュースを知るには、新聞、テレビ、ラジオ、ブログ、ツイッター、フェイスブック、そして会話、手紙など、様々な手段があります。あなたはどのような手段を使うことが多いですか。あなたの使っている手段の長所と短所について述べてください。
そのうえで、今後社会で起こっている出来事により関心を持つために、どのような手段をどう利用するのがのぞましいが、他の手段と比較して具体的に考えてください。
600字以内であなたの考えを記述してください。

「思考力・判断力・表現力」が問われる問題に共通しているのは、答えが一つに定まらないということです。求められているのは知識そのものではなく、与えられた問題に対して持っている知識を複合的に組み合わせて自分なりの主張を論理的に組み立て、表現する能力です。
その力を伸ばすために多くの学校がプレゼンテーションを中心としたアクティブラーニングを取り入れていますが、西武台新座中学校ではさらに一歩進んだディベートの手法を取り入れた授業を中学1年生から展開しています。
西武台新座におけるディベート活動の中心的役割を担っている英語科の髙味直毅先生によると、ディベートを取り入れた授業には大きく以下のメリットがあるといいます。

1.これからの大学入試対策に求められる論理的思考力と表現力を伸ばせる
2.論題について思考し、判断し、表現する知的体験ができる
3.プレゼンテーションから一歩踏み込み、主観にとらわれない思考力を伸ばせる

早速、髙味先生に西武台新座におけるディベートを取り入れた授業についてお話を伺いました。

これからの大学入試対策に求められる
論理的思考力と表現力を伸ばせる

米国でのディベート経験もある髙味直毅先生
米国でのディベート経験もある髙味直毅先生

「ディベートで鍛えられる論理的思考力と表現力は、これからの大学入試に求められる力そのものです。」と話す髙味先生。大学時代はESSに所属し、英語ディベートで全国3位の実績をあげ、日本代表として渡米。マサチューセッツ工科大学をはじめとする10州10大学の学生と論戦を交わした経験の持ち主です。

ディベートでは、提示された論題に対して賛成派と反対派に分かれます。決められた時間と順番に従ってそれぞれの主張や相手の主張に反駁をして、第三者であるジャッジを説得します。勝敗の決め手は、相手を強い言葉でねじ伏せることではありません。膨大な情報の中から自分の主張を裏付けるエビデンス(証拠資料)を集め、それらを論理的に組み立てる論理構成力や、それを正しく相手に伝える表現力、相手の反論にしっかり耳を傾け、相手と自分の議論を比較したうえで自分の議論が優れていることを納得させる表現力が求められます。

「冒頭で取り上げた入試問題例の場合、マスコミュニケーションと呼ばれる媒体やSNS、また会話まで含めた様々な情報伝達手段の特徴やメリットデメリットを、きちんと整理した上で比較し、どのような理由でどの手段に優位性があるのか、相手を納得させる論拠を明確にする力が問われます。どの手段を選択したかが正解なのではなく、なぜその手段を選択したのか、そこにたどり着くまでの論理の組み立てが大切なのです。これはまさにディベートの論理構成と同じです。(髙味先生)」

論題について当事者になりきって
思考し、判断し、表現する知的体験ができる

ディベートの要素を取り入れた授業の例

イギリスはEUを離脱するべきか(中1)

江戸幕府は開国するべきだったか(中3)

「授業の中にディベートの要素を取り入れると、生徒たちは論題を自分たちに直結する問題として考え、当事者になりきって真剣に議論し、自分たちの言葉で表現してくれます。(髙味先生)」

授業の中にディベートの要素を取り入れるのに適しているのは、一つのことを判断するのに多様な価値観が混在する社会科です。西武台新座では中1からディベートの要素を取り入れたディスカッションを社会科の授業に取り入れ、中3では本格的なディベートに挑戦しています。

ディベートの要素を取り入れた授業で、生徒たちは問題解決の
当事者になりきって、真剣に議論してくれました。

「中1の授業でも、生徒たちは驚くほど多くの情報を調べ、そして与えられた論題について、自分たちがその当事者になりきって、真剣に考えて議論してくれたそうです。中1の授業では、ジャッジ役の独身教員に、『先生が結婚したら、新婚旅行にヨーロッパはどうですか?イギリスがEUに加盟していれば自由に行き来できますよ!』と、ジャッジを説得するというゴールを意識してEUを離脱しないことのメリットを説いてくれた生徒もいたそうです。(髙味先生)」

単なる机上の知識で議論を進めるのではなく、自分たちの生活に直結する問題として考え、メリットデメリットを判断し、ジャッジの共感を得られるように表現する。中1でもこれだけの知的活動ができるのは驚きです。

中3の『江戸幕府は開国すべきだったか』というディベート的活動は2回行われ、2回とも否定側、つまり史実と違う開国すべきではなかったという側が勝利したそうです。これもまたディベートの面白いところだと髙味先生は語ります。

「生徒たちは当時の社会情勢や経済状況など様々な情報を集め、肯定否定それぞれの立場からそれらの情報を吟味して、議論を組み立ててくれました。史実と同じ結論になるかどうかは問題ではありません。現代の中学3年生が、今ある知識と価値観をもとに当時の執政者になりきって思考し、判断し、表現したということに大きな意味があるのです。」

プレゼンテーションから一歩踏み込み、
主観にとらわれない思考力を伸ばせる

プレゼンテーションと違い、自身の考えとは反対の立場で主張することもあるディベート。主観にとらわれない思考力を伸ばすことができます。

プレゼンテーションと比較すると、ディベートには2つの優位性があります。1つは自分自身の主観から思考を解放できるという点、もう1つは相手の反駁を受け止めながら自分の論理の優位性を主張するという点です。

「与えられたテーマについて自分の考えに基づいて発表できるプレゼンテーションと違い、ディベートでは必ず肯定側と否定側に分かれます。自身の考えとは反対の立場でディベートすることもあります。それでも、メリット・デメリットを整理していくと、少し視点を変えれば自分の主観とは違う面がたくさんあることに気が付くはずです。情報を整理して様々な角度から見直すことで、自分の主観から思考を解放できるし、物事を多角的に捉えることができるようになるのがディベートの良いところです。

また発表が終わってから質疑応答があるプレゼンテーションと違い、ディベートでは相手からの反駁とそれに対する反論が一連の流れの中に組み込まれています。自分たちの一次的な主張だけでなく、相手の反駁を受け止め、それぞれの論理を比較した上で自分たちの主張の優位性を限られた時間の中で説く。これもディベートの優れている点です。(髙味先生)」

創設間もない英語部ディベートチームが
昨年関東甲信越地区ディベート大会で準優勝!
今年度は全国ベスト16に!

2015年のディベート甲子園で、
並み居る強豪校を抑え開成に次ぐ準優勝の快挙!

英語部ディベートチームでは髙味先生の直接指導のもと、本格的にディベートに取り組んでいます。ディベートチームが創設されて二ヶ月余りの昨年11月には「関東甲信越地区中学・高校秋季ディベート大会(ディベート甲子園論題部門・中学の部)」に初参加し、渋谷教育学園幕張や開智、広尾学園などの強豪校を抑え、開成に次ぐ準優勝の快挙を成し遂げました。
さらに今年の夏に開催された全国大会関東甲信越地区予選では全国大会への出場権を獲得。初戦で愛知の名門東海中に勝利し、全国ベスト16入りを果たしました。

英語部の発足は中学がスタートした2011年、ディベートチームは昨年発足したばかりです。生徒たちはもちろんディベート未経験。部としても何のノウハウの蓄積もない状態からこれだけの実績を上げるのは大変なことです。
そのあたりの苦労を髙味先生に伺うと、先生の熱心な指導もさることながら、生徒たちの真綿のように素直でなんでも吸収しようとする姿勢に助けられたと話してくださいました。

今年は全国大会に出場。見事ベスト16入りを達成!

「まずは論題から考えられる議論を列挙し、どの議論を提示すれば試合を優位に進められるか比較検討しました。次に、自分たちが提示する議論に対して、どのような反駁が予想されるか皆で考えました。そして、予想される反駁にどう切り返せばこちらの論理の優位性を示せるのか、最終的に勝つためには何をどの順番で話していけばよいのか、私が主導しながら全員で徹底的に準備しました。とても大変なプロセスですが、生徒たちは私のアドバイスを何でも吸収しようと頑張り、私自身驚くような素晴らしい結果を残してくれました。

ディベートチームの生徒たちだけでなく、西武台新座の生徒たちは本当に素直で、私たち教員の指導を真綿のように吸収してくれます。今は教員主導であっても、あっという間に論理的な思考力や表現力を自分のものにしてくれると確信しています。ディベートで鍛えられる力は、大学入試はもとより、企業や国家の戦略策定にも通じる力です。彼らが社会の主力として活躍するときに、この力を大いに発揮してくれることを楽しみにしています。」

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