聖学院の「思考力ものづくり入試」とは?(1/3)
整理した考えを文章にして表現する。
今春2017年の首都圏中学入試の話題として、マスコミ(新聞・TVなど)各社がスポットを当てた「思考力入試」。その中学入試における思考力入試のなかでも、先進的かつユニークな形式として注目されているのが、聖学院中学校〈東京・北区。男子校〉の思考力入試です。
「思考力+計算力入試」と「思考力ものづくり入試」
今年は2月2日に実施された同校の思考力入試には、「思考力+計算力入試」と「思考力ものづくり入試」の2つのタイプがあります。昨年は2/2に「思考力+計算力入試」、2/3に「思考力ものづくり入試」が行われましたが、今年はその両方とも2/2に同日実施する形になりました。
聖学院中学校ではこの2月2日(木)の午前中に、「思考力+計算力入試」と「思考力ものづくり入試」に加えて、「英語選抜入試」が行われ、午後には「4科・2科選択」による「特待・アドバンスト入試」が行われました。
このうち、今回は「思考力ものづくり入試」を、特別に取材させていただくことができましたので、その様子をお伝えしていきます。
生徒作品のレゴブロックがお出迎え
この日の午前入試の受験生集合時刻は8時15分。7時30頃から到着し始めた受験生の親子は正門を入って長い坂道と校舎に向かう階段を上って、右手の講堂に入っていきます。入り口では、係りの先生方と、きれいに飾られた生徒作品のレゴブロックや生花が受験生親子を迎えてくれます。
講堂でしばし暖を取りながら、保護者とともに試験の開始を待った受験生は、やがてそれぞれの試験教室に向かうべく案内されて、講堂のピロティ奥の階段から校舎棟の各フロアへと上っていきます。
中央のテーブルに数多くのレゴブロック
今回様子を見せていただく「思考力ものづくり入試」の試験教室は、5階のフューチャーセンターとなっています。試験開始時刻の8時30分が迫ってきたので試験教室に伺うと、すでに19名の受験生(志願者は23名)が着席し、静かに開始を待っていました。2つずつ机を横に並べた受験生の席が、教室の両脇に10列ずつ用意されて、その中央のスペースに、数多くのレゴブロックが、3つのテーブル上に用意されています。
別の会場で実施される「思考力+計算力入試」の志願者は35名。この2種類の思考力入試が、今年の聖学院では2月2日(木)同日に実施されます。
時間配分の注意
数分前になると、「思考力ものづくり入試」の進行から評価・採点までを担当する先生方も揃いました。この入試の責任者の一人、内田先生から注意事項が伝えられます。「80分は長いようでも作品作りに熱中していると時間がたつのが早いですから、時間配分に気をつけてください」という意味のアドバイスも内田先生からありました。
受験生のペース配分に配慮
8時30分になると、これから80分間(8:30~9:50)行われる「思考力ものづくり入試」がいよいよスタートしました。受験生は一斉に問題用紙を広げ、課題を読み始めます。
この試験開始から終了まで、教室前方と廊下側一面のホワイトボードには、残り時間が大写しでデジタル表示され、受験生がペース配分の参考にすることができるようになっています。
今回の出題は当面非公表となりますが、基本的な形式や内容は、ほぼ前年と似たものになっているようです。
「自分の好きなこと」をレゴで表現
最初の問いは、「自分の好きなこと」をレゴの作品で表し、150字の記述で書かせるものでした。
2番目の問いは、配布された問題用紙に示された、海外の食糧問題と食糧自給率などの資料(表やグラフと文章)を見て、その解決方法をレゴの作品で作らせ、やはり150字の記述で書かせるものです。
今年はレゴで作品を作る問いは2題(前年は3題)で、最後の問いは、自分自身がその解決案にどう関わっていきたいかを、やはり150字程度で記述させる問題でした。
集中力とスピード
問題用紙と向き合った受験生は、課題をざっと読み通すと、次々と試験教室の中央に用意されたレゴブロックのテーブルに向かい、自分の作品に必要と思われるブロックや人形、動物などのパーツを取りに行きます。動きが早いのは、まずは最初の問いで課された作品を作り始めるためでしょうか。
レゴブロックを取って自席に戻った受験生は、めいめい黙々と作品を作り始めます。その集中力とスピードに、初めてみる筆者は感心させられるほど。そして、ある程度まで作品ができると、おもむろに解答用紙に記述を始める受験生もいれば、作品を眺めながらしばし考えている様子の受験生もいて、ペース配分はさまざまです。
聖学院の「思考力ものづくり入試」とは?(2/3)